【ベテラン美容編集】が惚れた!ロングセラー化粧水って?

光文社で30年以上美容を担当し続けるベテラン美容編集部員が語る、イチオシの殿堂コスメ連載です。今回はシミへのアプローチがテーマ。選ばれたコスメはアルビオンの「薬用 スキンコンディショナー エッセンシャル N」です。「スキコン」という愛称でロングセラーを記録している大人気化粧水がリニューアル!どこがパワーアップしたのか?詳しく解説します!

▼あわせて読みたい
【ベテラン美容編集】が思わずリピ買い!夏の時短スキンケア6選

今月の殿堂コスメは、アルビオンの「薬用 スキンコンディショナー エッセンシャル N」

肌に記憶を残す化粧水「スキコン」。中国でも「日本三大名水」の一つ「健康水」と呼ばれて大人気なのはご存じのとおり(ちなみにあとの二つは「神聖水」SK-Ⅱと「雪肌精」)。そのアジアで愛されるロングセラーがリニューアルしました。その間、美白やエイジングに寄せることもできたのに、「スキンコンディショナー」という名前のとおり、健全な肌の基本・肌の代謝にこだわり続けて、さらにパワーアップ。

薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N[医薬部外品]165ml ¥5,500(アルビオン)。48年ロングセラーの化粧水がリニューアル。初代からハトムギ配合だったが、その内容は進化している。今回、キー成分である濃縮ハトムギエキスにハトムギオイルを配合したことで、スキコンの真髄である表皮ターンオーバーを整える働きが強化された。また、原料は厳選された「オーガニック北のはと」。数ある国産ハトムギの中でも〝ヨクイニン〟として認められている、北海道北部・名寄市の研究センターで開発・栽培されている純粋なハトムギで、食用(粉末、グラノーラなど)・漢方、化粧品はスキコンだけに使用されている。ちなみにスキコンという愛称は言葉を略して短く言う流行などなかった時代、顧客台帳に記載する商品名を便宜上、短く「スキコン」と書いたのが始まり。2022年5月17日発売。

\ここがすごい/

1:美肌の基本・正しい肌代謝にこだわり続ける
2:使用する原料や抽出技術を研ぎ澄ませていく
3:愛されたテクスチャーや使い心地はずっとそのまま

正しい代謝にこだわって肌の救世主に。シンプルだけどクセになる化粧水のさらなる進化

国産ロングセラーというと美ST世代が思い浮かぶのは、やはり化粧水。1985年誕生のコーセー「雪肌精」、1980年の「SK-Ⅱ フェイシャル トリートメント エッセンス」、そして1974年のアルビオン「スキンコンディショナー エッセンシャル」。その中でも最長の〝スキコン〟が「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル N」としてリニューアル。スキコンのキー素材であるハトムギは「ニキビケア」のイメージが強かったため、今の自分には必要ないかなと思っていた私は、リニューアルをきっかけに久々にスキコンを使いました。で、実際に使用したところ、心地よさと後肌の保湿感、毛穴の引き締めやキメの整い方への効果がすごい、と深く実感。さすが48年ロングセラー!

スキコンは1974年に超高級スキンケア「グランデューク」のエッセンシャルラインの中の一つとして誕生しました。当時、一般の化粧水は700~800円だったのに150mlで5,000円という高さ。また、当時の多くの化粧水は透き通ったピンク色や水色だったのですが、あえての白濁。1本で朝も夜もOK、という〝攻めてる化粧水〟でした。しかし、10年ほど売れず……でも、販売店の方やBAさんたちが地道にサンプリング。サンプルパウチなどない時代ですから、コットンに浸して渡していたそうです。アルビオンのBAさんは「一流の化粧品を売る人間は一流の人間であれ」と、意識の高い教育を受けた人々。商品力に惚れ込み、お客さまの肌に良い製品を届けたい、という彼女たちの情熱がすごいですね。その後、スキコンをペーパーマスクに浸みこませて使う「マスク美容法」が1983年からスタート、ほどなく年間100万セールスに成長しました。

製品としては、1998年グリチルリチン酸ジカリウム(甘草の根茎や根から抽出。医薬部外品の抗炎症有効成分として承認)を配合して「薬用」にパワーアップし、2011年に国産ハトムギ「北のはと」を使用開始、さらに2017年から有機栽培の「オーガニック北のはと」に替えました。

ハトムギの中にあるヨクイニンには代謝機能の正常化と解毒作用があります。代謝の乱れから角化エラーによって出るイボや、毒素のせいで出る吹き出物にヨクイニンが効くことは有名です。それだけでなく代謝の乱れはバリア機能の低下から、その人の弱いところにさまざまなトラブルを出現させます。だから、表皮ターンオーバーを正常化することで、肌を整える・乾燥による肌荒れを防ぐ・肌を引き締める・キメを整える・肌のくすみをとる・火照りをとる、など多くの効果をも叶えられるのです。

スキコンは2011年にハトムギの「爆砕」技術を導入し、これによってアミノ酸が抽出しやすくなり、濃縮ハトムギエキスとして成分を強化しました。そして今回のリニューアルでは、ハトムギオイルを配合したのが最大のポイント。ハトムギエキスは水溶性ですが、オイルにしか溶け出さない有用成分を発見したのです。セラミド生成促進作用のある〈β-シトステロール〉、細胞増殖作用のある〈スティグマステロ―ル〉、コラーゲン&ヒアルロン酸生成促進作用のある〈環状フォスファチジン酸〉、メラニン生成抑制・チロシナーゼ活性抑制作用のある〈リノール酸〉など10数種類も! 30 ml抽出するのに必要なハトムギは1万粒ほど。酸化しないように直前に脱殻・精白を行うことでフレッシュなオイルを抽出し、じっくり染み出させた後に余分なものを揮発させています。また、ハトムギオイルは油分なので、圧倒的に支持されてきたスキコンならではのベタつかず、キレのあるテクスチャーは、処方が0.001比率が変わっただけでも、心地よさや後肌に影響を与えてしまいます。だから〝これぞスキコン〟という触感の調整には細心の注意が払われました。

スキコンが大きな存在になったのは、商品力はもちろん、社員やBAさんの深いスキコン愛と活動、さらにユーザーの肌の感動体験のレスポンスから、「じゃ、何が効いているのだろう、もっと効果があるのでは?」とスキコンに関わる人々がハトムギの研究を続けた、という幸せな循環によるものではないでしょうか。肌や美容に対する価値観によって現状に留まらず変わっていくべきですが、長く愛されている佇まいはそのままで、研ぎ澄ませていくのが正しい進化の姿。感触、香り、ハトムギの力の偉大さ。シンプルだけど守り抜くこと、一つの化粧品をみんなが育てていくことの大切さを感じます。

\使っています♡/

乳液をコットンで使うのがアルビオン方式ですが、化粧水もコットン使用が正解。平坦に見えても肌はフラットではなく折りたたまれているため(伸ばすと肌面積は約2倍にもなります)、キメの隅々までまんべんなくムラなく浸み込ませるにはコットンがいいのです。ちゃんとエビデンスがあって、使用前を100とすると、角層水分量が手使用では170%にアップ、コットン使用では210%にアップ、マイクロスコープで見るとコットン使用でキメの整い方が改善。アップするだけでなくそれが留まることもわかっています。私はゆらぎ肌なので肌が熱を持ったように火照る時があるのですが、スキコンで好転したのは肌の代謝が正常になったから(代謝が速く未熟な細胞が生まれる人は火照って、遅い人はくすむそう)。本文に書いた毛穴やキメへの効果も、正しい代謝によって細胞がしっかりしている健全な角層が肌表面をツルンとさせるからなんですね。一点、私は大丈夫でしたが、アルコールが配合されているのでアルコールアレルギーのある方は注意してください。今は先にスキコン、後にフローラドリップとW使いをしています。1回の使用量はコットンに中指が透けるくらいが目安ですが、私は少し多めに。1日朝晩2回の使用で、165ml入りだと約1カ月弱もちます。330ml入りは9,350円で1,500円ほどお得。次はそっちにします。

こちらの記事もおすすめ

業界騒然⁉リニューアルした【48年ロングセラー商品】って?

私たち美ST世代と同年代のアルビオンを代表するロングセラー化粧水「スキンコンディショナー」がこの初夏リニューアル!今までの大好きな使い心地のままパワーアップした「新・スキコン」は、ハトムギオイルを新たに加え、さらに美しい肌へと導きます。

2022年6月19日 20:30

《ビューティ担当のベストコスメ》【第28回】アルビオンの「フローラドリップ」

「発酵」と聞くと、肌に良さそう、健康に良さそう、と思う人が多いはず。伝統の食品技術の延長である「良かったから化粧品にも応用してみました」という時代から、化粧品を作るために行う高度な発酵へと進化しています。肌への安全性を保ちながら多くの有用成分を配合するには、発酵という技術が欠かせない。自然でありながら最新科学でもある発酵を究めた名品が、日本ブランドから誕生しました。

2020年4月11日 20:00

【美味しくて環境に優しい】SDGsなおやつ「Any O'clock」って何?

SDGs、知ってはいてもどう参加していいかわからないという人も多いはず。でも、大丈夫。Any O’clockなら、食べるだけで世界で取り組んでいる環境・人道活動に参加できるんです。美味しく食べて地球のためにもなる、愛で繋ぐおやつの登場です。

2022年7月15日 12:00

2022年『美ST』8月号掲載「新・名品コスメの殿堂」 撮影/河野 望 イラストレーション/大沢かずみ 編集・文/石原晶子

美ST