妊娠に関する相談の約3割が10代という現実。皆さんはオープンな性教育していますか!?
「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。2月号は「女のピンチに立ち上がる女がいる」というテーマで、さまざまな困難から脱け出し、立ち直ろうとしている女性に寄り添い、支援をしている方々をご紹介しています。
私が担当したのは、「NPO法人ピッコラーレ」代表理事の中島かおりさん。中島さんはご自身の第2子を出産した際、「にんしんSOS東京」の発起人である宗 祥子助産師との出会いをきっかけに30代で助産師になりました。
皆さんは、“生まれたその日”に亡くなる赤ちゃんが児童虐待死で最も多いことを知っていますか? 中島さんは「そのほとんどが母子手帳未交付、妊娠検査未受診であった」という報告から、「社会から孤立し、ひとりで出産に至っている妊婦を救うためには東京で365日いつでも相談できる窓口を必要とする必要がある」と考え、‘15年にクラウドファンディングで資金を調達し、発足しました。「妊娠に関するすべての相談に寄り添います」と中島さん。「NPO法人ピッコラーレ」は「産む、産まない、育てる、育てない」に関わらず、相談者の意思を尊重して寄り添っています。
メールは24時間体制で受け付けており、現在10代からの相談は約3割だそう。「若い子にとって、匿名で相談できるのは大きいと思います。行政の窓口では顔や住所を明かさないといけないことが、メールや電話で相談できることはひとつハードルが下がり、最初にどうしようと打ち明ける気持ちになるのかなと思います」と中島さんは言います。
息子しかいない私が驚いたのは、16%は男子学生からの相談という事実。親が思っている以上に普段から子ども達にプレッシャーをかけている言葉に、「自分でどうにかしなさい」「迷惑をかけないようにしなさい」があると聞きました。それが「親に心配をかけたくない」「親を失望させたくない」という気持ちにさせ、打ち明けにくくさせている。私も子育て中は言っていたなと反省しました。
中島さんの著書『漂流女子』には性暴力を受けての妊娠や親からネグレクトされていた少女の妊娠の実話がありました。風俗店の寮に住んでいた女性から、「誰にも言わずひとりで赤ちゃんを産みました」というメールが届いたこともあったそう。孤立せざるを得なかった困難を抱えた若年妊婦のための居場所が必要と考えた中島さんは、今は「Project HOME」という安心して過ごせる拠点を作り、支援しています。
「親に相談できなかったらこんな窓口があるんだよ」といろんな人に知ってもらいたいと思います。そして親は「正しい知識がないから子どもに性の話はしづらい」と思うより、「親に心配をかけたくない」という気持ちを子どもに持たせないよう、相談しやすい環境を作るためにも、もっとオープンな性教育が必要だなと思いました。
撮影/BOCO