山之内すず「もう死にたいって思わないな」10年の“病み期”を晴らした3つの奇跡
恋愛リアリティ番組でブレイクし、CMやバラエティで活躍するタレント・モデルの山之内すずさん。放送中のドラマ『何かおかしい』(テレビ東京系、毎週火曜24:30~)に出演するなど、近年は活動の場をさらに広げている。
「私、本当に仕事場で人と喋らないといいますか、芸能界に友達がほとんどいないんです。基本的に、あまり他人との距離を詰められない人間だから、現場でも『私なんかが、芸能人の方々と』っていう気持ちがありまして……。誰かと比べて『私なんか』って、すぐに自分の話に持ち込んでしまうのは昔からの癖です。
ただそれは心の中で思っているだけで、“心の闇”を他人に見せることは、ほとんどありませんでした。『悪口を言わない自分』が好きで、今でも変わらず貫いています。どんなことがあっても他人に当たらず、優しくできる自分に酔っていたからなのかな。思春期には、他人に当たれないぶん“自分に当たる”というか、考えすぎて勝手にツラくなっていました」
出演映画の現場で芽生えた感情
小学校高学年から19歳まで、自分を攻め続けた山之内さん。初めて鬱屈とした気持ちが晴れた“奇跡”は約2年前、出演映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』(川上亮監督、2020年)の撮影現場で訪れた。
「クランクアップのとき、撮影がすごく楽しかったから終わるのがどうしようもなくイヤで、お仕事で初めて『帰りたくない』って泣いたんです。かなりハードなスケジュールだったのに、『これから毎日このスケジュールでいいから、ずっとここにいたい』って思えて。
私は部活もまともにやってこなかったですし、同じ目標にみんなで向かってやり遂げた思い出もありません。『人狼ゲーム』で初めて“成功体験”をして、その瞬間の気持ちの高揚を知ることができたとき、『私、こんな素敵な感情を持ってたんだ』っていう感動がこみ上げてきて。そしたら、『こんな瞬間がまた来るなら、私はもう死にたいって思わないな』って思えたんです」
5番手なのに宣伝では“主役”……「私なんかが」の殻を破った瞬間は?
撮影現場が一丸となって作品を作り上げていく過程は、まさに青春。2021年に配信されたドラマ『悪魔とラブソング』(Hulu)では、同世代の仲間の言葉に救われた。
「ちょうどテレビの影響で『山之内すず』という名前を広く知っていただけるようになった時期と重なって、『山之内すず出演作』という番宣リリースでした。演技経験は共演者のみなさんより浅いし、何より私は5番手ぐらいの役どころだったので、ダブル主演の2人より自分の名前が先に出るのがすごく申し訳なくて苦しかった。それを主演の浅川梨奈ちゃんに相談したとき、こう言ってくれたんです。
『いやでもさ、すずをきっかけに見てくれる人もいるじゃん。私も(もうひとりの主演の)飯島寛騎くんも、すごく感謝してる。だから、すずはそのまま楽しんだらいいんだよ』
その言葉で、ものすごく楽になれました。
“恋愛リアリティーショー上がりのポッと出が、ただやりたいからってだけで演技しやがって”と思っている方もたくさんいらっしゃると思います。自分でも微妙な立ち位置にいると理解していたので、『仕方ないな。でも、もっと真面目にやんなきゃ』と、ずっと自分なりに向き合っていました。だからこそ、演技の先輩でもある梨奈ちゃんの存在に、めちゃくちゃ救われたんです」
仕事で出会った人達が、心を上向きに変えてくれた。そしてついに、「私なんか」を払拭するときが。
「お仕事を通じていろいろな人と出会って、いろいろなものを見て、いろいろなことを知って、シンプルに年齢も成長しました。昨年までは気持ちが落ちたり上がったりを繰り返してはいたんですけど、心が徐々に落ち着いてきたんです。
思春期は『私がいちばん自分のことを嫌い』って思い込んでました。そのころ、友達が『すずは自分のこと大好きやん』と言ってくれたのを、最近になって思い出したんです。当時は『嫌いやって言ってるじゃん』って感じていて、その言葉の大切さに気づけなかった。
でも、『あれだけ自分の話をして、自分のことばっかりになってて、結局、自分のこと大好きなんだな、私』って、ようやく気づきました。そうして自分を受け入れられ瞬間に、今の自分が好きだし幸せだから、これまでの過去ツラかったことも全部、受け入れられるようになりました。『ひとつでも欠けていたら、今の自分はいないんだな』と思えた瞬間、これまでの“闇”が全部、消化されました」
2022年になってからは、別人のように明るくなったのを自覚している山之内さん。気持ちも新たに、今後の“野望”は?
「実は病み期によく文章を書いていて、嫌いじゃないなって思えていたことのひとつ。ただ、上手くは書けないから、修行は必要だと思います(笑)。
それから、“声のお仕事”はしてみたいですね。もともと自分の声は可愛くないし、低くて中性的なのがコンプレックスで。家族に音痴と言われ続けてきたせいもあって嫌いだったんですけど、自分のことを受け入れられるようになってから、逆に『この声でよかったな。むしろ“いい塩梅”かも!?』と思えるようになりました。まだやったことない表現ができたら、もっと楽しくなれるんじゃないかって、わくわくしています」
<PROFILE>
山之内すず(やまのうち すず)
2001年10月3日 兵庫県神戸市生まれ。2019年ABEMAの恋愛リアリティーショー『白雪とオオカミくんには騙されない』でデビュー。SNS総フォロワー数は110万人超。TVCM、地上波バラエティをはじめ、現在放送中の『何かおかしい』(テレビ東京系、毎週火曜24:30~)に出演するなど、女優としても活躍中。好評配信中の「1 PICTURE 1 STORY」vol.3のインスパイアソング『あの子になりたい』が初のデジタルシングルリリース
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