2019年05月23日 12:00
/ 最終更新日 : 2019年05月24日 15:09
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兄弟、それとも友達?『さんびきのおさる』が描く、不思議で素敵なつながり
「おさるがさんびきあそんでいます いぼんとにぼんとさぼんです」という書き出しで始まる『さんびきのおさる』は、いつでもどこでもいっしょの3匹のおさるさんを描く、短くも素敵な絵本です。3匹のおさるがいったい兄弟なのか、それとも友達なのかは明らかにされませんが、確かなことは、3匹がとにかく仲良しだということ。楽しいことも大変なことも、なんでもかんでも手をつないで、みんないっしょ。感受性の豊かな子どもたちにこそ、そんなおさるさんたちの「つながり」が、キラキラして見えることでしょう。ひとりでは渡れない大きな川も、みんなで手をつなげば向こう側までたどり着ける。それはつまり、兄弟でも、友達でも、ひとりではできないことが誰かとならできるということ。これからの人生に大切な教えを、子どもたちにそっと、優しく届けてくれる。『さんびきのおさる』はそんな絵本です。
作者のあべけんじさんはフランス在住の絵本作家で、すでに3冊のシリーズが現地で刊行されて話題を呼んでいます。本作もフランスの子どもたちを夢中にさせた作品で、満を持して日本に逆輸入という形になりました。いい物語は、国境を越えて子どもたちの心に響く。そのことを、この絵本は教えてくれると思います。そんな素敵で心温まる『さんびきのおさる』を、週末ののんびりとした昼下がりに、子どもといっしょに楽しんでみませんか?