日本茶アドバイザーおすすめ 秋に楽しみたい国産紅茶3選


秋も深まり、あたたかい飲み物が恋しくなりますね。今回は数年前からブームとなっている国産紅茶をご紹介します! 紅茶といえばインドやスリランカといった海外産の紅茶がよく知られていますが、近年では全国的に国産紅茶をつくる茶農家が増え、クオリティも高くなり、多方面から注目されています。そのなかから、全国でも生産量の多い静岡県の国産紅茶をご紹介します。

大正時代からつづく安心感のある紅茶、マルチ西村農園の「Papa・Tea」

国産紅茶がつくられ始めたのは、明治時代の初め。政府が輸出用の紅茶をつくることを推奨したことがはじまりでした。当時、既に紅茶の産地だったインドを視察してきた多田元吉という人が日本中につくり方を広め、大正時代には海外に輸出するほどになりました。
そのころから日本茶とともに紅茶をつくっていた、静岡県袋井市にあるマルチ西村農園。時代的な背景もあり、一度は途絶えてしまった自園での紅茶の生産を復活させ、2009年に「Papa・Tea」を販売しました。「Papa」とは、父の日に復活したこと、また歴代の園主であり大黒柱でもあるお父さんたちが一生懸命につくってきたことに由来しているそう。まさに国産紅茶の復活をあらわす紅茶です。

復刻熟成紅茶Papa・Tea ¥500

品種は日本茶でもよく知られている「やぶきた」。色は濃い緋色で、豊潤な香りが鼻をくすぐり、渋み少なめの優しい味わいです。秋のスイーツと合わせるなら、かぼちゃを使ったクッキーがぴったり。口の中をすっきりさせてくれて、お菓子がすすみます。また、秋冬の冷える朝にはストレートで飲むとホッと落ち着くのでおすすめ。冷たくても味がしっかりとしているので、夏にはアイスティーにしても。紅茶好きはもとより、一口でファンになる人が多い紅茶です。

自然豊かな山あいでつくられる、志田島園の「玉川紅茶」

静岡県静岡市の中心部から北へ25㎞進んだ山あいにある玉川地区。そこで7代にわたり茶農家を営む志田島園がつくっている「玉川紅茶」。品種は、茶園で代々栽培されてきた在来種です。在来種とは昔からその土地に根付いてきた、品種改良をされていない茶の木のことで、生育は一筋縄ではいかず、年によっては収穫時期を判断することも難しいのだとか。玉川の地ならではの味を追求した、こだわりの紅茶です。

玉川紅茶 ¥500

淹れてみると、やわらかな橙色がカップいっぱいに広がります。特徴は茶葉の持つふんわりとした甘み。クセになる甘みとさっぱりとしたのどごしの良さで、おかわりしたくなる味わいです。秋のスイーツは栗を使ったケーキやタルトが合います。ほのかな渋みと栗の甘さが口の中でマッチして、幸せな気分にしてくれること間違いなし。ライトな口当たりのため、ランチの後やおやつタイムにもぴったり! 女性のみならず、甘いもの好きの男性にもおすすめしたい紅茶です。

絶好の環境でつくられる、カネトウ三浦園の「霧暁の一茶 稀紅 夏」

一面に茶畑が広がる牧之原台地に面する静岡県島田市。そこでカネトウ三浦園の「霧暁の一茶 稀紅 夏」はつくられています。霧暁(むぎょう)という言葉は、こちらの茶園に深い霧がかかることから名づけられました。霧がかかる土地は昔から良いお茶が育つといわれています。その霧と、140年以上にわたり受け継がれてきた茶園の土、そして初夏の日差しのもと大切に手摘みをされてつくられる紅茶です。

霧暁の一茶 稀紅 夏 ¥1,100

品種は「べにふうき」。淹れてみると、品質の良い紅茶の証であるゴールデンリングが紅色の周りに現れます。口いっぱいに広がるフルーティな香りはあとをひき、体も自然とリラックス。秋のスイーツはさつまいもをふんだんに使ったスイートポテトが合います。まろやかなコクがさつまいもの甘さを引き立て、相性は黄金バランスといってもいいほど。一息つきたいときや秋の夜長のティータイムに楽しむのもおすすめ。大切な人のおもてなしにもぴったりの紅茶です。

沸かしたての熱湯を使うことが美味しさの秘訣!


国産紅茶は海外の紅茶に比べ、全体的に優しい味わいでコクがあり、ストレートで味わっても甘みが感じられます。茶葉から抽出されたタンニンが、どんなに甘いスイーツを食べても、口の中をすっきりとさせてくれて、チーズケーキやマカロン、どら焼き、かりんとうといった和洋を問わず合わせやすいのも嬉しいポイント。
ひとつだけ気を付けてほしいのは、「沸かしたての熱湯で淹れる」ということ。ボコボコと泡が出るまでよく沸騰させたお湯を使ってください。低い温度では成分が十分に抽出されないため、必ず熱湯で、その紅茶のもつ美味しさを最大限に引き出して味わってください。
時の情勢により、一時はつくる人もなくなりかけた国産紅茶。新元号の最初の秋は、ロマンある国産紅茶であたたまってみてください!

【問い合わせ先】
マルチ西村農園
http://www.nishimura-cha.jp/
志田島園
https://shitajimaen.amebaownd.com/
カネトウ三浦園
https://tea-miuraen.jp/

取材・文・撮影/松下文香

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