現役東大生!ホテルプロデューサー龍崎翔子が、夢を叶えるためにしているコト
【PROFILE】1996年生まれ、京都出身。株式会社L&Gグローバルビジネス代表取締役。東京大学経済学部在学。19歳のとき母親と会社設立、富良野のペンションを購入して『petit-hotel #MELON富良野』を開業し、今では5つものホテルのプロデューサーに。インスタアカウント@shokoryuzaki
―― 人を動かすって、大変なことですよね。
龍崎さん:そうだと思います。なんかそれは本当に不思議なんですよね。ありがたいことなんですけど、いつも気づいたら誰かが周りにいて、助けてくれるみたいなことは小中高大とずっとそんな感じでしたね。昔からプロジェクトを起こすのが得意なタイプで。基本的に旗を立てるタイプなんです。こういうことがやりたいっていうのを明確に言うというか。例ば小学生の頃は、欽ちゃんと香取慎吾さん司会の仮装大賞にクラスで出たんですよ。私主催で(笑)。
担任の先生も出演してくれたり、保護者の方も衣装作りを手伝ってくれたりして。毎月自宅でパーティをしたりとか、合唱の指揮者や劇の監督をするとか、結構そういうのを中心になってやるのが好きなタイプだったんです。
ただ一方でプロジェクトマネジメントとかはそんなに得意じゃなくて、仕事を段取り良く進めるのがもっと別に得意な人がいると思っているので、いつもそういう部分が得意な人に支えられてきているなと思います。旗をあげたら仲間が集まって、その仲間が動かしてくれるうねりに、自分も乗せてもらっています。
―― 立てた旗の方向性が明確じゃないとみんな力にはなってくれないですよね。
龍崎さん:たしかに、自分が何をしたいかを明確に言ってるのでそれに共感してくれた人が集まってきてくれているのかなと思いますね。ホテルのコンセプトは私が中心になって少人数で考えることが多いんです。
ただ、一方通行のコンセプトにしてしまうのではなく、そこで働いている人を全員集めて、ホテルのコンセプトを自分たちなりに咀嚼して考えてもらう機会は定期的に設けています。このコンセプトを別の言葉や、別の写真で置き換えたらどうなるかな…みたいな。そういうインプットとアウトプット、冷凍解凍作業を頻繁にやってるので、それでみんなに腹落ちしてもらっているのかな、と思います。
口に出すことで、夢が形になっていく。
―― 何かしたいことがあっても、口に出すのが恥ずかしいっていう人もいます。
龍崎さん:わかります。でも周りに言うことで勝手に話が進んでいくことって結構あると思っていて。私のホテルの夢とかはまさにそんな感じで、小学生の時にホテルを経営したいと父に言ったら、父の友達に知れわたって、そこからアドバイスをもらったりして。色々アドバイスをもらい、結果的に最初エアビーから始めて、大学1年生のときに休学して母とふたりで富良野に一年間移り住んで、最初のペンションを開業しました。
仮装大賞も今思えばそうで、友達とこういう出し物やったら面白いよねっていうのを、なぜか担任の先生に言ったんです。そしたら先生がいいじゃん!がんばれ!ってなって、やめるにやめられないっていう(笑)。みんなが過程を見てくれていたので、すごくたくさんの人が集まってくれて。口に出すことで、自分だけでなく周りを巻き込んだ流れが生まれて物事が進んでいく感じはあると思います。
だから夢を持ったら、「人に言う」ってことが大事。言う人は選ばないといけないですけど。ただ、基本的に私の原動力は私はマイナス1を1にするところにあるなとな思っています。
マイナス1を、プラス1にしたい。
―― ゼロからではなく、マイナスからなんですね。
龍崎さん:ゼロイチだとあんまりイメージがわかない感じで。なんでこうなんだろう?もったいないし、楽しくないし、なんか嫌だなって一般に思われていることを、それいいじゃん!ってところまで持っていくのがすごく好きなんです。ホテルプロデューサーを目指したきっかけも、家族で旅行をしている時、ホテルが全部同じに見えるなと子供ながらに思って。もっと気分が上がるようなホテルを作りたい、そうじゃないと旅自体が楽しめないって思ったのが最初の原体験。
そういう不便、不快、不満っていう、耐えられん! 見てられん!って思ってしまうものを、どうにか自分がいいやんと思えるレベルまで引き上げたいという気持ちが自分の原動力なので。自分が何か動かない限りはずっとその不満にさらされることになっちゃうんですよね(笑)。
今までのホテル業界ってあまり選択肢がないように感じていて、どこも似たり寄ったりだったところに新しい選択肢の幅を広げたいと思っています。選択肢の多様性がない状況はホテル業界に限らず様々なシーンであるなと思っていて。自分らしいチョイスができないのは、ヘルシーじゃない。選択肢のない膠着したシーンに、新しい選択肢を作っていきたいと思っています。
——選びようがなかったところに、新たな選択肢を作 っていくと。
龍崎さん:今まで社会から見すごされてきたものにクリエイティブを施して、それが結果的に世の中の選択肢が広がることに繋がったらいいなって! 選択することは、その人のアイデンティティーが削り出すことだと思っています。例えばこのネイルをしているのも、時計をしているのも、自分らしいと思っているからで。もし自分らしくないと感じているなら、微妙な違和感を感じながら生きることになりますよね。
日々選択の積み重ねをして生きていく中で、自分らしい選択肢を見つけ、最適な選択をすることが、自分の人格を知る助けにもなると思いますし。私が全部の選択肢を作るのはもちろん不可能なのですが、他のプレーヤーの方にインスピレーションを感じてもらうきっかけになっていただければ。そうやっていろんな人が続いていけば、結果的に世界に選択肢が増えていくことになる。そういう取り組みをこれからもやっていきたいと思っています!
【龍崎さんプロデュース、5つのホテル】
撮影/佐々木大輔 ヘアメーク/Ryo(ROI) 取材/広田香奈 編集/小林麻衣子 ※掲載の情報はJJ12月号を再構成したものです。