「夢現」=ゆめげん?「花穂」=かほ? 読めそうで読めない漢字5つ

見たことはあるけれど、どうしても読み方を思い出せない。もう一息で読めそうなのに……。そんな時、とても歯がゆい気持ちになりますよね。
この記事では、そうした“読めそうで読めない漢字”をご紹介。
全問正解を目指して、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

1.「吃驚」

「きっきょう」と読む「吃驚」。実は「きっきょう」以外にもう一つ、別の読み方があるのです。
もう一つの読み方をしても、「きっきょう」と読む場合と同じく、漢字そのまま「驚くこと」を意味します。
もう一つの読み方は日常的に用いられる言葉ですが、漢字表記よりもカタカナまたは平仮名で表記されるケースが多いでしょう。

そんな「吃驚」の正しい読み方は……

びっくり」です。パソコンやスマートフォンによっては「びっくり」を「吃驚」と漢字変換できる機種もあるため、実際にメールやLINEなどで「吃驚」を使っている人もいるかもしれませんね。

2.「算盤」

「算盤」とは計算用具の一つ。細い棒に刺した珠を移動させて数を計算することから、「算盤」を使った計算のことを「珠算」と言います。
電卓が普及している現在でも「算盤塾」は全国各地に存在しています。もしかすると、実際に小中学生の時に「算盤を習っていた」という人もいるかもしれませんね。
そんな「算盤」の正しい読み方は……

そろばん」です。「そろばん」の語源については諸説ありますが、中でも室町時代に近世中国語の「そわんぱん」から「そろばん」となった説が有力とされています。

3.「夢現」

「夢か現実かはっきりしない、ぼんやりした状態」のことを、「夢」と「現実」それぞれの漢字をとって「夢現」と書きます。
たとえば眠りに入る直前や眠りから覚めたばかりの瞬間は、意識がぼんやりしていることも多く、まさに「夢現」の状態と言えるでしょう。

「むげん」「ゆめげん」と読むのは誤りですよ。「夢現」の正しい読み方は……

ゆめうつつ」と読みます。「現」といえば「げん」と読むことが多くありますが、「現」には「うつつ」「うつし」といった訓(漢字の意味に基づき、それに当てた日本語の読み)があることを覚えておくと良いでしょう。

4.「花穂」

ススキやケイトウなどのように「穂のような形に咲く花」のことを「花穂」と言います。
まるで人の名前のようにも見えますが、この意味の場合「かほ」や「はなほ」とは読まないので注意しましょう。
「花穂」の読み方で難しいのは「穂」の部分。「ほ」は「穂」の訓読みですが、では「穂」の音読みは何と読むのでしょうか?

正しくは……

かすい」と読むのが正解です。「花穂」のほかに「穂」を「すい」と読む言葉には「一穂(いっすい/一本の穂)」「出穂(しゅっすい/稲や麦などの穂が出ること)」などがあります。

5.「自棄」

「自暴自棄(じぼうじき)」という四字熟語があることから、「自棄」を「じき」と読む人も少なくないでしょう。
もちろん「自暴自棄」の場合は「じき」と読みますが、「自棄」の二文字だけになると読み方が変わります(そのまま「じき」と読む場合もあります)。
ヒントは「自暴自棄」の意味。自分を粗末に扱うこと、要するに「やけくそ」という意味がありますね。

そんな「自棄」の正しい読み方は……

やけ」です。ちなみに「やけくそ」は漢字で「自棄糞」と書きます。「自棄(やけ)」の読み方と併せて「自棄糞」も覚えておくと良いでしょう。

 

読めそうで意外と読めない漢字、あなたはいくつ正解できたでしょうか? もし5問すべて正解できた人がいたとしたら、かなり漢字に詳しい人だと言えるでしょう。

また、もし今回読めなかった漢字があったとしても、次に同じ漢字が出てきた時にきちんと読めれば問題ありません。今回読めなかった漢字については、ぜひこの機会に正しい読み方を覚えておきましょうね。

参考文献
加納喜光『読めそうで読めない漢字Q&A―もう間違わない!実例集 』講談社

文/大内千明 画像/Shutterstock(EvgeniiAnd、takasu、Gearstd、photo_jeongh、WAYHOME studio)