小島慶子さん、20代の私が「専業主婦になりたい!」って時代錯誤ですか?

「ママは専業主婦だった」という20代。だから私も結婚をして出産したら専業主婦に…そう考えていませんか?
もちろんそれは自由。でも一度、「ママの時代」じゃない、「私たちの時代」に専業主婦になるということを考えてみました。

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「専業主婦」について 小島慶子さんに聞いてみた!

―20代前半のJJ読者の中には、意外にも専業主婦願望の女性が増えています。職業として専業主婦を選ぶことについて、小島さんはどう思われますか?

そもそも今は専業主婦か働くかの2択の時代でもないと思うけれど、そうかぁ…、いろんな選択肢がある中で、専業主婦を望む大学生が増えているんですね。


―就活も大変だし、仕事ってきつそうだし、パワハラとかも心配だし…と。

それより楽そうだから、と専業主婦を夢見る大学生が多いイメージです。

女性の雇用環境はなかなか改善されませんからね。今でも働く女性の半数以上は非正規雇用で、働き続けてもお金持ちになれるわけでもなく安定もしない。

そんな生活を避けるために、収入のある男性に専業主婦として養ってもらうのは、短期的には合理的な判断だと思います。

でも長期的に見ると
リスクがあることは否めない。

例えば一部上場企業・年収1千万円以上のハイスペックな相手と結婚しても、会社が合併して年収が大幅減になる可能性もあるし、リストラされる可能性だってある。

ハイスペな男性は自信家で独立願望もあったりするから、起業して収入が減るかもしれない。出会った時の肩書と年収はあてにならないんです。

そもそも、今の30代の男性は父親世代と同じだけ働いても、親の年収の8割しか稼ぐことができない。だから「共働きじゃないと困る」と言う男性も多いんですよね。

母親世代は一回ハイスぺな男性を夫にしてしまえば、そのまま安定した生活を送れていましたが、今後はそうはいかない。

専業主婦希望の読者は幸せな母親を見ているのかもしれないし、それ自体はとてもハッピーなことですが、母の助言は参考程度に聞くくらいがいいかもしれません。

―母親世代の時とは、状況が違うと知っておくと。

そうです。今は、一度手にした「高収入の夫」が永続する保証はないんです。それに、よく専業主婦=3食昼寝付きと言うけど、

その3食は自分で
作らないといけないですからね。

昼寝している間に妖精が片付けといてくれるわけじゃないし、家事は無限のループです。専業主婦って全く楽じゃない。

そして子どもが生まれたら育児も加わりますよね。高収入男性は人一倍の激務ですから、想定されるのはワンオペ育児。育児や家事は無給だし褒められることも少ない。

そういう面もあることを分かった上で選択しないと「楽だと思ってたのに!」となりますよね。仕事は嫌なこともあるけど、お給料がもらえて、実績を評価される。

仕事をするということは、お金をもらいながら経験を積めるということなんですよ。

子持ちの女性が離婚すると貧困に陥る可能性は高い

―もし将来離婚した場合、どういうことになるでしょうか?

これも知っておいてほしいことですが、

日本ではシングルマザーの
相対的貧困率が50%を超えます。

これはつまり、子持ちの女性が離婚すると貧困に陥る可能性が高いということ。養育費がもらえなかったり、育児と仕事の両立ができる環境が整っていないことが要因です。

子どもの相対的貧困も、7人に1人。「日本にストリートチルドレンなんかいないよ?」と思うかもしれない。でも、「見た目普通の人が貧困」なのが日本なんです。

―離婚したくても経済的に許されないことが多いのですね…。それでも専業主婦になりたい場合、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか?

いつでも働き出せる下準備や心構えをしていくことが大事です。いくつか方法はあるけれど、まずは1回就職しておくこと。

企業も1回も働いた経験のない人は採用を躊躇しますよね。大学を卒業して何年か働いた実績を作っておくことは大事です。

もうひとつは手に職を付ける。自分の得意分野を生かせることでいいと思いますが、資格保有者が有り余っているようなものは雇用に結びつきにくいので要注意。

専業主婦になるまでの社会人生活で、使える資格をとり、多少なりとも実績を作っておけるといいですね。それから実際に専業主婦になってからも、元同僚や働いている友達と繋がっておくことも重要。

もしかしたらその人たちが将来働き口を紹介してくれるかもしれないので、お互いの環境が違ってしまっても努力して人脈は繋げておいたほうがいい!

―危機管理をしておくことが必須なのですね。

つい先月、世界経済フォーラム(WEF)がジェンダー・ギャップ指数を発表しましたが、日本は先進7カ国の中でも最下位の121位でした。安倍政権は「女性が輝く社会」を掲げているのに、毎年先進国で最下位で(!)まだまだ男女格差が大きい世の中です。

 今、20代前半のみなさんが「女で得した」って思うことがあっても、それは、日本社会の上位を占めている男性たちが「女性は若さにこそ価値がある」と考えていることの表れでもあるんです…。

若い女性にチャンスがあるのはいいことだけど、年齢や容姿で評価されて、職場の華扱いで終わるのでは先がありませんよね。職場にいろんな年齢、いろんなポジションの女性がいるのが当たり前になってほしいです。

こんな話をすると、日本で女性に生まれたら、貧乏くじを引かされるのか…って気持ちになるかもしれませんね。

でも決して女性の能力や努力が足りないのではなく、これまでの日本が作り上げてきてしまったもの。

おかしいのは世の中であって、
あなたが悪いんじゃない!

だから自分を責めたり、「どうせ、女だから」なんて思わないでほしい。専業主婦を選ぶあなたでも、働くことを選ぶあなたでもいいんです。

ただ残念ながらこの社会では、まだ女性にはいろんな落とし穴があることを知って、用心してほしい。そして「こんなのおかしいぞ」って気づいてほしい。落とし穴の位置を知らないと、よけられないから。

そしてみなさんがもっと大人になった時、その経験を基に、後から来る人たちが歩きやすい道を作ってあげられるような人になってほしいんです。私も小さな穴を、コツコツとひとつでも埋めたいと思っています。

教えてくれたのは…

小島慶子さん

タレント・エッセイスト。元TBSアナウンサー。二人の息子を持つママ。雑誌VERYの巻頭連載「もしかしてVERY失格!?」は9年間もの間続いた、伝説的なページ。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』は、共稼ぎ夫婦向け媒体、日経DUALでの大好評連載が一冊に。働くママの本音が読めばわかるかも!? ¥1400(日経BP)

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