買い物・食事・移動…「新しい生活様式」で私たちの暮らしはどう変わる?

 

4月7日に7都道府県に、4月16日には全国を対象地域に発令された緊急事態宣言は、5月25日、5都道府を最後に約1か月半ぶりに全国的に解除されました。これは決して「コロナ禍が終息した」を意味することではなく、少なくとも新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が開発されるまでは、「コロナと共存するための暮らし方」にして感染拡大をとどめていくというもの。そのベースが、厚生労働省が先ごろ発表した「新しい生活様式」の考え方です。私たちの暮らしは、新しい生活様式でいったいどう変わっていくの? Mart編集部は様々な具体例ともみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

新しい生活様式って、要はどういうこと?


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出典:厚生労働省HP 「新しい生活様式」実践例

新型コロナウイルスは無症状や軽症でも、他の人に感染を広げるため「自分が感染することから守る」だけでなく「周りに感染を拡大させない」ことがとても重要になります。そのために生活する上で

1.人と身体的距離をとることによる接触を減らすこと
2.マスクをすること
3.手洗いをすること

の3つを基本として行動しましょう、が新しい生活様式のベースです。


具体的に、日常生活で注意すべきこととは?

日常の中では、家の中だけでなく、学校、職場、買い物の場面とあらゆる場面で意識しましょう。新しい生活様式では、より具体的な場面で下記のように行動パターンを提示しています。

・まめに手洗い・手指消毒
・咳エチケットの徹底
・こまめに換気
・身体的距離の確保
・「3密」の回避 (密集、密接、密閉)
・毎朝で体温測定、健康チェック。発熱または風邪の症状がある場合はムリせず自宅療養。

を念頭に置いた生活を。

 

買い物は?


食料、衣類、雑貨と生活のためには日々何かしら買い物をする場面が多々ありますが、売る方も買う方も協力しあって「安全で安心な買い物の場面」をつくっていくことが大切です。

・通販も利用
・1人または少人数ですいた時間に
・電子決済の利用
・計画をたてて素早く済ます
・サンプルなど展示品への接触は控えめに
・レジに並ぶときは、前後にスペース

 

食事は?


外食では感染予防に加えて 混雑する時間帯を避けることも有効。お店の応援にもつながります。

・持ち帰りや出前、デリバリーも
・屋外空間で気持ちよく
・大皿は避けて、料理は個々に
・対面ではなく横並びで座ろう
・料理に集中、おしゃべりは控えめに
・お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

 

娯楽やスポーツは?

・公園はすいた時間、場所を選ぶ
・筋トレやヨガは自宅で動画を活用
・ジョギングは少人数で
・すれ違うときは距離をとるマナー
・予約制を利用してゆったりと
・狭い部屋での長居は無用
・歌や応援は、十分な距離かオンライン

 

公共交通機関の利用は?

・会話は控えめに
・混んでいる時間帯は避けて
・徒歩や自転車利用も併用する

 

冠婚葬祭は?

・多人数での会食は避けて
・発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

 

そして気になる学校は?


学校再開により、子どもたちも新しい生活様式のもと、学校生活が始まりました。文部科学省では「学校の新しい生活様式」として、集団生活の場面での感染防止や対応のほか、部活動、給食、部活動と具体的な活動場面で、学校はどう予防するかをマニュアル化しました。内容は学校側の対策方法が主ですが、学校側だけでなく送りだす保護者も正しい知識と心構えで子どもたちをサポートすることが、より過ごしやすい環境につながると言えそうです。


東京都の「新しい日常」はどう理解すればよい?

東京都  暮らしや働き方の「新しい日常」(新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップの策定について(第382報) 「新しい日常」が定着した社会の構築に向けて より)

厚生労働省 新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」実践例 より


国の新しい生活様式を踏まえて、東京都が新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ~「新しい日常」が定着した社会の構築に向けて~を発表しました。事業者と消費者(都民)が共存して感染症拡大を防ぐ生活スタイルを唱えています。「新しい生活様式」と「新しい日常」。いったいどう違うの?と混乱しそうですね。どう受け止めていけばよいのでしょうか?

一級キャリアコンサルティング技能士で「生き方・働き方カウンセラー」の鵜飼柔美さんは「どちらも共通しているのは私たちが最初思っていた“コロナがなくなったら”という期待は通用しなくなったということだと思います」と前置きした上で「両者とも、毎日の生活のそばに新型コロナウィルスに感染する危険があるということを前提として、その感染リスクを抑えるための正しい知識と、それに基づいた新しい行動を日常の当たり前にしていこうというものです。そう聞くととても大層なことのように感じますが、近年、私たちは花粉症や熱中症といった新しい脅威を前に、以前は気にしていなかった花粉や日光、気温を意識するようになり、さまざまな対策をとるようになりました。そういうことではないでしょうか」と分析。こう聞くと、少し心が軽くなるのは私だけではないのではないでしょうか?

 

新しい生活様式、うまくやっていけるのか不安…でも前向きに行こう!

上記「新しい生活様式」の項目を見ると、守らなきゃならないことがたくさんありすぎて、疲れそう、できるのかと不安も隠せません。そんな言葉には、鵜飼さんはこう答えてくれました。「私たちの脳には新しいことをすることに抵抗を示す頑固さがプログラミングされていますので、面倒に思うことも当然あるでしょう。しかし、意味を知り、納得して行動をしているうちに定着して当たり前になります。『新しい生活様式』や『新しい日常』として示されているのはひとつの工夫例なのです。他人が決めたことに従うのは面倒だなと思ったときは、なぜそうするのか、その目的を果たすために他に方法はないのか、複数方法があればどれを採択するか、主体的に決めれば面倒ではなくなりますよ。そして私たちが本当に取り戻したいものを考えてみてはいかがでしょうか。それは新型ウィルスがなくなることというよりも、そういう工夫を近しい人と話し合ったり納得したりする笑顔のやりとりだったりしませんか」。

なるほど、生活をよりよくする工夫と考えれば、自分はどうすべきか判断がしやすくなります。笑顔があふれる日々を送るには、新しい生活様式に前向きに望むことが近道と言えそうです。

 

取材・文/新里陽子