【夏のおさかなマスクを考える】冷感を求めるなら手ぬぐい生地がベスト!

「あれ?布マスクしていると息苦しいかも……」。おさかなマスクをして坂道を歩いていたら、急にそう感じた5月の初旬。このままでは真夏にマスクをできないと焦って色々な布で作っている中で、試しに手ぬぐいを使ってみたら、これが大ヒット! 生地がしっかりしていて、一見暑そうなのに、着け心地抜群。その理由は「和の底力」! 手ぬぐいの製法に秘密があったのです。

どうして手ぬぐいが夏に心地いいの?

他の綿の生地と比べて、特別変わったところがなく見える手ぬぐい生地が、どうしてこんなに心地良いのだろう?その疑問を神野織物さんが解決してくれました。

神野織物さんに手ぬぐいのお話をお聞きしました。
「手ぬぐい製作の知識」ブログより

手ぬぐいは、生地にストレスをかけないで作られている!

「ハンカチなどを作る『洋ざらし』は80分程度で負担をかけつつ繊維が処理されるのに比べ、手ぬぐいの『和ざらし』は約40時間程度の時間をかけて、生地(原反)をそのまま、精練。生地にストレスをかけないため、毛羽立ちがり、糸が無理やり引っ張られたりしていないので、多くの空気を含んだ柔らかい生地に仕上がります」

この”多くの空気が含まれている”が、手ぬぐいの最大のポイントでした! 私が感じた「生地はしっかりしているのに、なんだかふわっとしている」秘密はここにあったのです!

手ぬぐいの生地は「常に空いている快適な電車」状態だった!

手ぬぐいマスクの魅力は、洗った後に、すぐ乾いて皺にならないこともあげられます。びっくりするくらい早く乾くので、1枚しか布マスクがなくても生活できるかも!と思うくらい。とにかくあっという間にスッキリと乾きます。この乾きやすさのおかげで、着用中に口元の湿度があがりにくく、涼しく感じるのかもしれません。

神野織物さんは、この「乾きやすさ」を電車に例えて教えてくださっています。

「洋ざらしは、水を抱える場所がすくないため、入りにくく、一度水が入り込むと、出にくいのです。和ざらしの手ぬぐいは、水が入りやすいということは、出るのも簡単なのです。
電車を想像してもらうと、わかりやすいでしょう。満員電車の中央に入り込むのは、入り込むのも当然大変ですが、出るのはさらに大変です。『すみません』とかいいながら肩をすぼめながら、出ていくわけですけど、下手すると間に合わず、ドアの前で、周囲からの同情の視線に顔が真っ赤になります。それが、空いている電車なら、入るのも出るのもスムーズですよね。洋ざらしは満員電車で、和ざらしは空いている快適な電車みたいなもので、吸水性と速乾性に優れているのです」

知れば知るほど、「和ざらし」の製法、手ぬぐいってすごい! 肌触りがよく、エアリーで、乾きやすい。探していた究極の夏向き生地は、昔から日本にあった身近なものだったのです。

取り都合よし、適度なハリあり、縫いやすさも最高!

手ぬぐいの心地よさは納得できましたが、さて、作りやすさはどうでしょうか? 上のマスクは手縫い、下のマスクはミシン縫いで作成。おもてもうらも手ぬぐい生地です。縫いやすくて、仕上がりもパリッとしていて気持ちのよい出来になりました。1本の手ぬぐいから何個もマスクを作れるのも嬉しいところです。


もし「柄ものはちょっと恥ずかしい」「いわゆる普通のマスクが良い」なんて方がいたら、おもて布もうら布も、無地の手ぬぐい(さらし)で作ってみてください。暑苦しくない上に、周囲に自然に馴染むマスクができあがります。おさかなマスクは縫い目がおもてに出ないので、粗が目立ちやすい白い生地でもきれいに仕上がります。

たくさん失敗したけれど、どの布にも良さや楽しさが詰まっていた!

おさかなマスクに向く布ってどんな布? 友達からの質問に答えたことがきっかけで、「夏に最初の1枚を作るならまずどの布が良いのだろう」と考えるようになり、3回にわたり、そのおすすめの布を紹介してきました。

実はわたしも縫いにくくて挫折しそうになった布があったり、張り切って作ったけれど思ったほど付け心地がよくなくてがっかりしたり、おさかなマスクを作っている中で、「布選び」はたくさん失敗もしました。

だから、もし今からおさかなマスクを作るなら、遠回りして欲しくなくて、最初の1枚は紹介した定番のおススメ生地で、確実にきれいに作って欲しいです。でも、手作りって失敗するのも楽しいもの、とも思っています。工夫することでワクワクを味わえたり、おススメをそのまま使うより自分の「好き」で作った方が気分が盛り上がったりしますよね。

「好き」な布で作りたい気持ちと「おさなかマスク」に向いている布選びを、程よくマッチさせて、自分だけの「おさかな」を楽しみつつ作る人が増えたら嬉しいです。

「わたしのおさかなマスク」、できあがったら、ぜひMartハンドメイド部に! 投稿お待ちしています。

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取材・文/はまくま

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