海外転勤で夫婦関係はどうなった?知られざる駐在妻のリアル【駐妻白書2020】

婚活の末結婚を決めた彼が、結婚したばかりの夫が、急に海外転勤になったら…あなたならどうしますか?サラリーマンである以上、辞令は急にやってきます。今の時代珍しいことではなくなりつつある海外転勤。それに帯同して海外に移り住んだ奥様達を世間では『駐妻(ちゅうづま)』なんて呼ぶらしい。実は、筆者自身も新婚早々 夫に帯同して海外へ引っ越した、いわゆるアラサー「駐妻」の一人です。

【駐妻白書2020】では、世界各国に住む駐在員の奥様72名にアンケートを実施!すでに駐在している方や駐在予定の方はもちろん、未知の世界をちょっと覗き見してみたい!なんて方にも分かりやすく、謎のベールに包まれた「駐妻」の生活や実情、リアルな声をお届けしていきます。

第七弾の今回は駐妻の夫婦関係について!海外転勤がきっかけで、夫婦のあり方や関係性にどんな変化があったのか調査していきます。

駐在妻の夫婦関係アンケート①駐在になってから夫婦仲は変わりましたか?

6.9%の方が【悪くなった】と回答しているのに対し、半数以上の方が【現状維持】もしくは【良好になった】と回答しています。また、4.2%の方が【駐在を機に結婚した】と回答しています。

具体的にどのような変化があったのでしょうか?

一番多かった回答は…【夫婦の時間が増えた】

「日本と違い飲み会がほとんどないため、夫婦の時間が増え、平日の夜ご飯を一緒に食べたり週末一緒に出かけることも増えた。」(30代/アメリカ在住)
「日本にいたときより飲み会が減り、家族で過ごす時間が増えた」(30代/香港在住)
「お互い遅くまで飲み歩かないようになったので、夫婦ふたりでの会話が増えた」(20代/アメリカ在住)
「一緒に過ごす時間が増えて、色んなことを共有できるようになった。自分に余裕ができて夫のサポートが全力で出来るようになった」(30代/中国在住)

“日本と比べると”飲み会の頻度が減ったという回答が多い印象でした。日本で共働きだった夫婦の場合は、自分自身が専業主婦になることによって、特に二人の時間が増えたと感じる方が多いのも納得です。

二番に多かった回答は…【夫婦で協力するのが必要不可欠】

「喧嘩が減ったし、話す相手もお互いしかいないので協力し合うようになった」(20代/アメリカ在住)
「夫以外頼れる人がいないので夫が若干協力的になった」(30代/アメリカ在住)
「2人で支え合っていくのが生活に不可欠なので、よりお互いのことを考えてサポーティブな関係になったと思います」(20代/マレーシア在住)
「お互いに、お互いを頼ることが多く、週末も基本的にずっと一緒に居るので、相手に向き合う時間が増え、より相手への理解が深まったと感じる」(30代/中国在住)

日本では家族や友人に気軽に相談できていたことも、環境や住む場所が変われば、なかなか気軽に話せなくなるものです。そんな理由もあって、夫婦が一番の理解者になりやすいのかもしれませんね。

環境の変化が原因のお悩みも…

「夫が在宅の仕事なので家にずっと二人ともいるので自由な時間がなくなった」(30代/アメリカ在住)
「夫の仕事のストレスがもろに私に来る。職場では英語でコミュニケーションがうまく取れないことが、かなりのストレスらしい」(30代/アメリカ在住)

昨今のコロナ禍で日本在住者からも、「配偶者が常に家に居る大変さを実感した」という声を良く聞きます。今でこそ日本でも定着しつつある在宅勤務ですが、アメリカではさらにメジャーになっているようです。また、【駐妻白書2020】と銘打っていることもあり、今までは駐在員の奥様のストレスやお悩みに目を向けていましたが、実際は駐在している本人もストレスを感じているケースが多いのも頷けます。

駐在妻の夫婦関係アンケート②駐在になって配偶者と喧嘩したことはありますか?

【特になし】と答えた方が、約32%に対し、【ある】と答えた方が約68%。この結果からも分かるように、喧嘩や揉め事を乗り越えて、より良好な夫婦関係に至っているケースも多いようです。

駐在妻の夫婦関係アンケート③駐在になってから配偶者と喧嘩した原因は?

一番多かった原因は…【出張・ゴルフ・飲み会・残業などの頻度】

「出張が予想以上に多くて、家に1人のことが多くて怒りました!(生活に慣れてからは、出張中はご飯作らなくてラッキー!と思えるほどたくましくなりました!笑)」(20代/フランス在住)
「ゴルフや接待などの付き合いの頻度」(30代/中国在住)
「わたしが渡米してきたばかりなのに帰宅が遅い」(20代/アメリカ在住)
「夫の飲み会の多さ」(40代/中国在住)

会社にもよりますが、駐在で海外に引っ越しても日系企業である限り、ゴルフ、飲み会などのお付き合い、出張や残業などは日本と同じようについて回るようです。コメントにもあった「出張ならご飯を作らなくてラッキー」というように、筆者の周りにも発想を転換して、楽しくお一人様生活を楽しんでいる方も多いように感じます。

二番目に多かった原因は…【家事の分担】

「渡航直後、私が苦労してスーパーで買出しをして作った食事のメニューに文句が出たこと。日本にいたときと同レベルを希望されても、価格、品揃え面から無理!」(30代/香港在住)
「今までは家事を分担してたのに、家事をする量が駐在してから変わったこと」(20代/中国在住)
「仕事をしていない分、家事のレベルを上げるよう期待されたけど、私はあまり家事が得意でもなく、夫は割と得意なので、喧嘩になることがあります」(30代/中国在住)

第四弾の『結婚で海外移住は憧れ!?それとも…駐在妻が苦労している4つのこと【駐妻白書2020】』でもご紹介したように、日本と同じ感覚で食料品を入手できなかったり、苦労が多い中作った食事が不評だと悲しくなるのも納得です。また、今まで日本では共働きだった方が、急に専業主婦になり、環境の変化や気持ちの変化に苦労するケースも多くあるようです。

三番目に多かった原因は…【金銭面】

「俺が稼いでると専業主婦であることを見下すわけではないですけど、そういう発言が多々あり仕事を続けたいと思っていた私からするととても腹立つ発言なのでモメました」(30代/アメリカ在住)
「金銭面。(物価が高すぎて家計費がかなりかかるのに文句を言われた)」(30代/アメリカ在住)
「強いて言うなら現地、日本円の貯金含めたお金の使い方」(30代/中国在住)

前述の『家事分担』にも共通する原因ですが、共働でバリバリ働いていた夫婦が駐在するパターンでは、金銭面でのお悩みも多く聞かれました。夫婦で別のお財布で管理していたものが、急に夫婦一緒のお財布になると考えると、夫婦共々戸惑ってしまうのも納得です。

同率で三番目多かった原因は…【不妊治療など】

「不妊治療」(40代/香港在住)
「子供を作る時期」(30代/アメリカ在住)
「セックスレス。(駐在員は環境が大きく変わりストレスが大きくなるらしくその気にならないとか…。)」(30代/中国在住)

こちらも、意外と多かった回答でした。今住んでいる場所で出産や子育てができるのか、出産するなら日本へ里帰り出産を選ぶべきなのか。など妊活だけでなく、付随する多くの悩みがあるようです。

その他にも…

「駐在新生活と第三国での結婚式の準備が重なり、お互いストレスからかなりもめました」(30代/香港在住)
「ダイエットしてるのに夫の体重が減らないこと」(20代/セルビア共和国在住)

海外生活で起こるトラブルを乗り越えて、夫婦関係を構築!

慣れない駐在先での生活を送るに当たって、様々なトラブルや喧嘩などを経て、夫婦で駐在生活を乗り切っている様子が伺えました。日本とは異なる環境で暮らすことで、夫婦の価値観を見直したり、お互いの意見や希望を伝えたりしながら、協力して生活を送っているようです。

【駐妻白書2020】第七弾では、駐在妻の夫婦関係についてご紹介していきました。第八弾では日本への一時帰国や離れている日本の友達との関係について特集していきます!

文・写真/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に駐在員の夫に帯同し中国へ引っ越し。気づけば駐在生活も4年目に突入。現在は旅行関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで随筆をスタート。
Instagram:@yuuurie_1211
Blog:Travel in Style~海外在住トラベルライターの旅Blog~