じんわりしみる新・愛読書〈有名人編〉【4】神崎 恵さん

Martのビューティ企画でも大人気の美容家・神崎 恵さん。今回はコスメではなく愛読書をおすすめしていただきました。「美しさってなんだろう?」という根本的な疑問について改めて考えさせてくれる2冊。美容に携わる神崎さんならではセレクトが光ります。

 

神崎恵さん

美容家であり、3人の息子をもつ母。自らあらゆるものを試していき、本当にいいと実感できるものだけをすすめる、というスタンスが世代を問わず幅広い層に支持を得ている。

 

神崎恵さんおすすめの一冊

『カケラ』湊 かなえ/著 集英社 ¥1,500

女性だったら共感できる世界観に引き込まれます

湊 かなえさんの小説の、人間の心理の深い部分に触れてくるようなところが好きで、全作品を読んでいます。なかでも、最新作の『カケラ』は、美容を仕事にする私にとって特に気になる作品でした。ミステリー小説の伏線として、美容整形を希望する女性たちが出てくるのですが、女性だったらきっと「その気持ち、なんとなくわかるな」と共感できることばかり。物語の面白さとともに一気に引き込まれてしまいました。

本の帯に書いてある「私に欠けているものを、全部ちょうだい」という言葉にもドキリとさせられました。美容の魔力に取りつかれた女性の「闇」のようなものを感じさせる言葉ですよね。私自身も、若いころには、そのような感覚にとらわれていたことがあったと思います。不完全さも魅力であることに気づかなかったんですよね。「美容って何のためにあるのだろう」「キレイって一体なんだろう」そんなことを考えるきっかけにもなる本だと思います。

 

こちらの一冊もおすすめ

『「 育ちがいい人」だけが知っていること』諏内えみ/著 ダイヤモンド社 ¥1,400

一人の人間として大事なことが詰まった一冊

どんなに美しくメークをしても、どんなにエレガントな装いをしても、その人の立ち居振る舞いや言葉の選び方などで、その努力が台無しになってしまうことがあります。美容家として、私自身も普段、人の見た目の背景にある空気感や雰囲気を大切にしたいと思って活動しています。

その意味で、この本には美容にもつながる要素がたくさん詰まっていて、とても興味深く読めました。単なるマナー本ではなく、一人の人間として、思いやり深く、心地がよい印象を与えられる人になるための実用的なコツが満載なんです。普段の自分の振る舞いを振り返ってみるのにもよい内容だなと思いました。大切な友人にもプレゼントしたくなるような本でした!

※表示価格は本体価格です。

 

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イラスト/小林 晃 取材・文/田島えり子 構成/Mart編集部

2020年9月号
特集「癒されて、夏」
コラム「ウィズコロナの今こそ!"じんわりしみる"新・愛読書〈有名人編〉」より