五感を刺激!カウンターで食べられる都内の【肉専門店】3選

肉の焼ける音・香りをライブで満喫できるカウンターが魅力のレストランに40代50代の女性が集まっています。専門店だからこそ味わえる上質な肉が五感と全身の細胞を刺激し、アンチエイジング効果も期待できる人気店を3つ紹介します。

店主自ら落札する銘柄和牛の突き抜けた美味しさに陶然となる

カウンター席の魅力は、そのままでも美しい「素材」が、五感を刺激する「料理」となっていく過程を体感できることにある。よりすぐりの肉を心置きなく堪能するには、最高の舞台装置だ。名店ひしめく東京・銀座の「肉屋 田中」。純但馬系・長期飼育の神戸牛や特産松阪牛のなかから、店主の田中覚さんが自ら落札する〝最上〞の和牛に出合える店だ。料理は、四季折々の素材を盛り込んだおまかせコースが基本で、前菜・八寸から始まり、造り、椀、焼物......といった全十数品。どの品も素材への敬意を感じる逸品だが、出色はやはり銘柄牛のヒレ、それもシャトーブリアンを使ったステーキだ。この日の肉は、月齢40カ月超の神戸牛。炭火の遠火でじっくり、およそ1時間半もの時間をかけて焼き上げる。口当たりは驚くほどシルキーで、その清らかな旨みがスーッと体に染み入るよう。「最上の肉を扱うには、それ相応の覚悟が必要。その脂、血まで、すべておいしく召し上がっていただけるよう力を尽くします」と、静かな口調に熱を込める田中さん。現在、店舗を改装中で、完成後は全8席に。さらに予約は取りづらくなるが、それを乗り越えれば至福の時間が待っている。

季節のおまかせコース ¥38,000~

メインはシャトーブリアンのステーキ。肉質の良さがうかがえる濃い小豆色、神戸牛ならではの華やかな香りに喉が鳴る。

この日の椀は、ごくやわらかく炊いた牛タンと、香り高い富良野産松茸に、やや昆布が立つ出汁をはった滋味深い一品。

昆布締めにしたハラミのたたき。最後は炭火に直接のせ、燻すように焼いて仕上げる。凝縮した旨みと弾力のある歯応え。

肉屋 田中 銀座
東京都中央区銀座6-4-3 GICROS GINZA GEMS 9F ☎03-6280-6529 営業時間18:00または19:00スタートの2部制 日曜定休※11/2リニューアルオープン。予約は3カ月前から受付。

鉄のフライパンで仕上げる うるっと香ばしい肉の素直な旨み

西永福の「ムーグルモン」は、熟成肉のステーキを自然派ワインで楽しむ肉ビストロ。2席ごとの階段状になっている、コの字型カウンターがユニークだ。メニューは、シャルキュトリ、サラダ、ステックフリット、パスタというシンプルな構成。肉は、岩手の「きむら」、滋賀「サカエヤ」、北海道「エレゾ」などから仕入れる短角牛やあか牛、黒毛和牛から好みのものを選べる(写真はサカエヤの鹿児島産黒毛和牛)。鉄のフライパンに多めの油で、揚げるように焼くスタイルは、大胆に見えてその実とても繊細。肉汁を閉じ込めつつ、中心に向かって旨みを凝縮させていく。仕上がりはクリスピーでジューシーだが、いずれも過剰ではなく、するすると食べられるのが最大の特徴だ。付け合わせのフリットも、ほの甘くほっくりとして、肉の旨みを引き立てる。ワインとともに、どこまでも「自然」な味を楽しみたい。

ステックフリット 100g¥1,700~

ムーグルモン
東京都杉並区永福3-57-16 創和ビル1F ☎080-2117-5863 営業時間18:00~22:30くらい 火・水曜定休(不定休あり)一人予算¥7,000くらい~

十勝の食肉料理人集団が展開する季節感あふれるジビエの世界

今年6月、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー内に開業した虎ノ門横丁。その一角にある「エレゾゲート」は、北海道・十勝の食肉料理人集団「エレゾ」の直営レストラ ンだ。狩猟、飼育、熟成、加工、流通、レストランまで、「命ある状態」から「皿の上」までのすべてを担う、同社が手塩にかけた肉を存分に味わえる。自家製シャルキュトリをはじめとする前菜に、ロースト、煮込み、揚げ物などの主菜、北海道産の乳製品を使ったデザートまで、好奇心をそそるメニューが楽しい。同社を代表するジビエの蝦夷鹿をストレートに味わうなら、ぜひステーキを。その他の日本鹿に比べて味が濃く、鉄の風味が強いといわれる蝦夷鹿の香味を堪能できる。個体ごと、季節ごとに味わいが異なるのも、ジビエならではの面白さだ。

蝦夷鹿のステーキ ¥3,200

エレゾゲート
東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー3F ☎080-7505-2929 営業時間11:30~13:30(L.O.)、17:30~21:00(フードL.O.)日曜と施設休館日は休業 ランチ¥1,500~、ディナーコース¥6,800~ ※アラカルトは20:30~

2020年『美ST』12月号掲載 撮影/田村浩章 取材/伊藤由起 編集/伊達敦子 ※お店のデータは取材時のものです。

美ST