【高良健吾さん】独占インタビューで教えてくれた“役作り”へのこだわりとは?

10代でのデビュー以来、ドラマや映画、CMと多数の作品に出演し、日本を代表する実力派俳優の一人として存在感を示す高良健吾さん。彼が出演する映画『おもいで写眞』が、1月29日(金)より公開されることを記念し、スペシャルインタビューを敢行! 映画の見どころからステイホームの過ごし方まで、今の気持ちを伺ってきました。第一弾は役作りの裏話や作品への思いなど、映画にまつわる質問をメインにお届けします!

演じる中で学んだ「自分らしさ」との向き合い方

-いよいよ映画が公開されますね

-いよいよ映画が公開されますね。最初台本を読んだ時の印象を教えてください。

この映画は、祖母の遺影がピンボケしていたことに主人公が大きなショックを受けるところからストーリーが始まっていくのですが、僕の祖父が亡くなった時の遺影もピンボケした写真だったんです。他に選べる写真がなくて…。その時に「ちゃんと撮っておけばよかったね」と家族で話したのを覚えています。僕自身も体験したことがある“遺影のピンボケ問題”が物語の起点になっていたので、身近に感じた部分はありますね。

-撮影はおととしの夏だと聞きました。

そうなんです。新型コロナの感染が拡大する前の年の夏で、富山での3週間オールロケで撮影をしました。ここ1年は僕たちの仕事の形もかなり変わってしまったので、今だったら絶対できないような撮影ですね。映画の撮影をしていた頃と今では、世の中がガラっと変わってしまったなと感じます。

-今もアクリル板越しにお話を聞

-今もアクリル板越しにお話を聞いています(笑)。『おもいで写眞』の撮影を振り返ってみて、思い出に残っていることはありますか?

この映画の撮影が終わったとき、「“らしさ”を大切にする」ことがいかに大事なのかを知ったような気がしました。その人の価値観が自分には理解できなくても、その人にとって大切で本物であればそれは否定できないし、大切にしなきゃいけない。誰かと違う価値観を主張すると叩かれたり、自分と違う価値観に理解を示せなかったりする人が多い世の中だけど、それぞれの人の“らしさ”を知ろうとしないからなのかなと。

-“自分らしさは何?”って聞かれて、即答するのも難しい気がします。

勝手にこっちが決めた“その人らしさ”を押し付けていることもあると思うんです。そうではない、相手の本当の“らしさ”を見つめるのが大事なんだなと気づかされました。

-具体的に映画のどの部分からそう感じたのでしょう?

主人公の結子の立ち振る舞いですかね。結子は、自分らしさはもちろん人の“らしさ”も大切にできず、そんな自分にイライラしている。でも、写真を撮ることを通して、だんだん自分らしさを大切にできるようになって、周りの人のらしさも見つめられるようになります。物事にはいつだって多面的な部分があって、自分から見えている部分だけで勝手に決めつけていいものじゃないということを、結子から感じてもらえると思います。そういう多面性への理解って、今の時代にとても必要な感覚ですよね。

役作りのキーワードは“見守る”こと

-結子を演じる深川麻衣さんは事

-結子を演じる深川麻衣さんは事務所の後輩です。お二人のテンポ良い掛け合いが印象的でしたが、役作りで何か意識した部分はあるのでしょうか?

僕が演じる一郎は結子の幼なじみで、物語の中では結子という人を見守っていく存在だなと感じました。実際、深川さんが事務所の後輩で“見守る”というのはリアルと被っている部分もあるのですが、なるべく普段の感情は隠して演技したいと思っていて。とはいえ、深川さんが現場で考えて悩んでいたのを見ていたので、一郎としてはもちろんですが、僕自身としても、「今深川さんはどう考えているのかな」とか「何を悩んでいるのかな」を考えながら、二人の空気感を作っていった感じですね。

-役どころと現実が、シンクロしていたんですね。

それに近かったと思います。一郎のいいところは、結子にこうした方が、ああした方がと多くを意見するのではなく、そっと見守ることができるところ。結子が自分やっ周囲の人の“らしさ”を大切にできていないのと対比の存在で、自分が接する周りの人の、その人らしさをすごく大切にできる人なんです。そんな一郎が結子を見守るように、僕も深川さんのことを見守っていた感じはありますね。

-何か深川さんにアドバイスした

-何か深川さんにアドバイスしたりは?

人にアドバイスをするのってすごく難しいことだと思うんです。タイミングもあるし、自分の掛ける言葉の使い方で受け取られ方もさまざまで。自分の思っていることを全部言うのは、受け取る相手にもかなりの負荷をかけることになる。今回、見守ることでいい空気感が作れていたように感じていたので、アドバイスらしいアドバイスはしてないです。

-高良さんの思う自分らしさはどんなところにあるんでしょうか?

好奇心がめちゃめちゃあるというのが自分らしさだなって思っています。いつでもインプットしようとしている。本、映画、自転車、旅。自分の好奇心が向いている方向はずっと変わっていないんですが、それに対して深く掘り下げていこうとするのをやめないところが自分らしさですかね。

-では、今後身につけていきたい“らしさ”はありますか?

ズルくない人でありたいですね。嘘ついてもいいし、本音を隠してもいいけれど、「ズルくない人」になりたい。僕にとってクールな人は、昔からずっと変わらず「ズルくない人」なんです。でも今33歳で、そうなれているかと聞かれると、そうではない部分もある。40歳に向けて、いろんなことを試しながら少しずつ「ズルくない人」を自分のものにしていきたいです。

高良健吾(こうらけんご) プロフィール:

1987年11月12日生まれ、熊本県出身。2006年『ハリヨの夏』でスクリーンデビューして以来、映画やドラマを中心に、多彩なジャンルで活躍する実力派俳優。2月14日より放送開始のNHK大河ドラマ『青天を衝け』や2月26日公開予定の映画『あのこは貴族』など、4月GW公開予定『くれなずめ』など、2021年も出演作が目白押し。

映画『おもいで写眞』

祖母の死を機に故郷へ戻った主人公・結子が、遺影写真を撮る仕事を始めたことで、老人たちとの触れ合いを通して人生の意味を見出していくヒューマンドラマ。深川麻衣が主演を務め、『ユリゴコロ』『君に届け』などの熊澤尚人監督による感動のオリジナル脚本。高良さんは、結子の地元で役所勤めをする幼なじみ、星野一郎を演じる。2021129日より全国ロードショー。

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撮影/佐々木大輔〈SIGNO〉スタイリング/渡辺慎也〈Koa Hole〉 ヘアメーク/高桑里圭 取材/大塚悠貴 構成/CLASSY.ONLINE編集室