モデル冨永 愛さん✖️キャスター徳永有美さん対談「壁はいつも前にあるけれど、 やっぱり仕事は好き」

冨永 愛さん
冨永 愛さん
1982年生まれ38歳。17歳でNYコレクションにデビュー後、スーパーモデルとして世界で活躍。チャリティ・社会貢献活動にも力を入れ活躍の場は多岐に。16歳の息子の母。
徳永有美さん
徳永有美さん
1975年生まれ45歳。フリーアナウンサー。2018年に13年振りにテレビ朝日の「報道ステーション」にキャスターとして復帰し話題に。現在、11歳女児と7歳男児の2児の母


★ 壁はいつも前にあるけれど、 やっぱり仕事は好き。

--だから、仕事をする罪悪感と隣り合わせで 精一杯、子供と接しています

徳永 上の娘が小学校に上がった時に仕事復帰を決めたのですが、寂しさや我慢を強いることが気がかりで……。でも、逞しくあってほしいと娘を信じて復帰しました。

冨永 どんな仕事にせよ、子供の傍にいられない罪悪感はありますよね。でも、それを感じるのが母親の愛なんだと思う。

私は、息子が小学校4年生になるまで精力的に仕事をしていたのですが、ある時、子供の寂しさが爆発する様子を見て。それで、もっと一緒に過ごそうと、仕事をスパッと休む決断をしました。「モデルの仕事も、このまま終わってしまうかもしれない……」と不安もありましたが、割り切って期限は決めずに休業しました。

徳永 大きな決断ですね。仕事も育児も中途半端でない! お子さんは喜ばれたんじゃないですか?

冨永 それが正解だったかどうかはわかりませんが、朝から晩まで母親がいる生活は嬉しそうでしたし、PTA役員にもなって。形から入ろうと、シンプルなセーターや白シャツと保護者っぽい服も買いました(笑)。それで、自分の中の罪悪感は消えたかもしれない。

徳永 私もその罪悪感を消すべく、眠くても子供のために5分早く起きたり、休日はずっと一緒にいて愛情の洪水態。それも、自己満足ですけれど……。

「罪悪感を抱えながら 仕事をすることが母親の愛」

徳永 でも、復帰のタイミングはどうやって決めたのですか?

冨永 3年経った頃、息子が「そろそろ仕事してもいいんじゃない?」って。今度は息子のほうに、自分のせいで母親が仕事を休んでいる、という罪悪感があったのかもしれない。

徳永 息子さんなりに母親の仕事を誇りに思っているのでしょうね。ワーママの子供は、〝寂しさ〟と〝誇り〟が表裏一体なんですよね。

冨永 母親が懸命に仕事をする姿を見るのは、子供にとっても良いことだと思い、撮影現場に子供を連れて行くこともありました。

徳永 私はコロナ禍で娘と交換日記を始めたんです。夜遅い番組だけど、「起きていていいから、ママのニュース見て感想を書いて」と。どんな思いでこの仕事をしているのかを徐々に伝えるようにしようと思って。

冨永 そうやって策を練りながら、一つ、また一つと壁を乗り越えて……。でも、息子が16歳になった今も壁は尽きないですし、この先もきっと壁が待っていると思う。一人の人間を育て上げるって大変ですね。

徳永 ほんと。だから、最近私は自分の弱さを子供に見せることにしています。忙しくてイライラする時も子供は大人をよく見ているから隠しきれない。そんな時は「ごめん」って謝って仕切り直すようにしてます。

「ワーママの子供は 〝寂しさ〟と〝誇り〟とが表裏一体」

冨永 私も息子が高学年になった頃から悩みを息子に相談しています。でも、そんなふうに〝痛み〟を共有することで支え合える関係になった気がするんですよね。

徳永 私は、「子育てしながら夜の報道番組をするってすごいね」と言われますが、正直両立なんて全くできてない。悩んでばかりだし、両親にも頼りっぱなしで。

冨永 私も両立なんかできてない! でも自分の性格を知るからこそ、母親のアドバイスは貴重ですね。私も母の教えでずっと心に残る言葉があって。「何を諦めても、子育てだけは諦めちゃダメ」と。その言葉は、私の中の核になっていると思う。

徳永〝母は強し〟ですね。私、思うんです。覚悟の上で、仕事は楽しまなきゃ損だなって。

冨永 私は仕事している時が本当に楽しい!

徳永 私も!!

冨永 だから、正解はないけれど、立ちはだかる壁を一つ一つ乗り越えるしかない。働く母と隣り合わせの〝罪悪感〟と一緒にね(笑)。

<子供と過ごす中、 私が心がけていること>

痛みを共有すること――。

息子が高学年になる頃から「ママ、今日生理で体が辛い……」と、伝えていました。性教育と共に女性を思いやることのできる男性に育ってほしい、と私の体の痛みも共有していました。

弱みを見せること――。

休日でも体調がすぐれない時は、「ママ今日疲れているから、お出かけせずに、お家で一緒に過ごそう」と話し理解してもらって、無理せず家でゆったりと愛情を注ぐようにしています。

冨永さん:フェザートップ¥286,000シャツ¥82,500フェザースカート¥374,000サンダル¥108,900(すべてサルヴァトーレ フェラガモ/フェラガモ ジャパン)ピアス¥62,700ネックレス¥111,100リング¥81,400(すべてシャルロット シェネ/エドストローム オフィス)

徳永さん:ジャケット¥150,700ベスト・パンツセットアップ¥160,600(ともにローベリイテ アンドシーオー/ドレスアンレーヴ)パンプス¥104,500(セルジオ ロッシ/セルジオロッシ カスタマーサービス)左耳イヤーカフ¥103,400右耳イヤーカフ¥24,200左手Wフィンガーリング¥132,000左手重ねづけリング¥77,000(すべてブランイリス/ブランイリス・ジャポン)時計、バングル、右手リングは本人私物

撮影/西崎博哉(MOUSTACHE) ヘア・メーク/ITSUK(I SIGNO〈)冨永さん〉、荻山夏海(KAUNALOA)〈徳永さん〉 スタイリスト/Sohei YOSHIDA(SIGNO)〈冨永さん〉、越水史子(STYLE55)〈徳永さん〉 取材/小仲志帆、奥村千草 ※情報は2021年5月号掲載時のものです。

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