つらすぎる症状はPMDD(月経前不快気分障害)かも?PMSより深刻な症状と対処法

生理前のPMSは思い当たる方も多いと思いますが、それよりもさらに深刻な「PMDD」を知ってますか? 自分でも制御不能のイライラや気分の落ち込み……。放っておくと夫婦関係にも悪影響が及びかねません。独身時代より抱えるものが大きくなる30代、そして40代に向けて、専門家に対処法を伺いました。

 

 

まずは気になる症状をチェック!
月経前の1週間で☑︎が5以上あったら要注意

□突然悲しくなる、涙もろくなる、人に拒絶されることに過敏になるなど情緒不安定なところがある。
□いつもより怒りやすく、人と衝突することが増える。
□憂鬱になったり、絶望的になったり、自分はだめだと思ってしまう。
□普段より緊張しやすかったり、些細なことに苛立ったりすることがある。
□仕事や学校、友人との付き合いや趣味のことなどの日常の活動に興味がなくなってしまう。
□いつもより集中力がない。
□倦怠感、疲れやすい、気力の減退を感じる。
□過食になったり、特定の食べ物ばかり摂取するようになる。
□いつもより長時間眠ってしまう、昼間も眠い、あるいはいつもより眠れない。
□押しつぶされそうな感覚、または自分をコントロールできないと感じることがある。
□乳房の圧痛または腫れる感じ、頭痛、関節痛、筋肉痛、体が膨張する感覚、または急激に体重が増加する。

※PMDDは月経前の1週間程度、上の症状が5つ以上認められ、月経開始後に症状が和らぎ、月経終了の頃には消失していきます。

 

まずは2ヵ月間、
自分の感情や行動を
記録してみてください

◉東京女子医科大学・大坪天平 臨床教授

生理前の胸の張り、お腹の痛み、むくみ、また軽い精神症状などの体の不調は、PMS・月経前症候群と呼ばれます。その中でも特に精神症状に特化し、生活に支障が出るくらい重度なものがPMDD・月経前不快気分障害です。イライラや不安、怒りなどが度を超えて現れ、家事ができない、学校や会社に行けないくらいの症状が出ます。それらが生理前に起きて、生理が始まっていくと消えていき、その後排卵日までの1週間は何の問題もないのがPMDDの特徴です。

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)やもともと過敏な方がなりやすい傾向。幼少期に体験した辛い出来事や嫌なこと、例えば、両親の不仲や兄弟ばかりがえこひいきされていたなどACEs(小児期逆境体験)を経験してきた人は、小さい頃から頭の中が慢性的にストレスフルな状況。いわゆる「幸せホルモン」と呼ばれる〝セロトニン〟がずっと減った状態です。

PMDDもセロトニンと深く関係しており、生理前のエストロゲン減少時に、セロトニンもさらに減少。それを補えるのがSSRIという抗うつ薬です。急激に落ちたセロトニンを補充することで、PMDDが改善する可能性がかなり高いと言われています。

PMDDかも?と思っている方は、まず2ヵ月間、自分の感情や行動を日記に記録し、生理との関係性を把握してバイオリズムをチェックすることが大切です。もしそれが生理前に悪くなり、生理開始と共に消えていく、綺麗な二層性がある場合は、ものすごく改善しやすいです。

東京女子医科大学
大坪天平 臨床教授

東京女子医科大学東医療センター精神科 部長。月経前不快気分障害(PMDD)、男性更年期、発達障害(ASD、ADHD)など各種専門外来を開設。

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今一度自分の心や体、
生活習慣を見直すことが大切

◉PMS/PMDD専門カウンセラー・森井恵子さん

私は20代半ばでPMDDを発症しました。月経前にコントロールできない激しい怒りや悲しみに支配され、精神症状が非常に強く出ていました。症状は悪化し、家族への暴言や自殺願望までも。生理前は何かに憑りつかれたように豹変し、心配した友人に霊媒師を紹介されたほど。今振り返ると、激しい感情が引き起こされるきっかけはいつも、過去の嫌な記憶や、「こうでなければいけない」といった呪縛のような思考でした。

過去の記憶は、私の場合は幼少期にまでさかのぼりました。子どもの頃にとても寂しく辛い思いをしていた感情が癒されないまま大人になり、生理前になると記憶がトリガーになって当時の感情が激しく現れていたのです。しかしこの感情も生理が始まると噓のように消える。私はその落差に疲れ果て、家族と離れて海外に飛び立ちました。

同じ頃、ある書籍をきっかけに自分はPMDDだと確信し、様々な薬を飲み始めました。病気だと分かった安心感はあったものの、薬を飲み続ける不安もあり、海外では生活習慣から整えることに。ヨガやハーブを学び、食事を変えることで体調の変化が分かりました。

また環境が変わったことで症状が軽減されました。しかし帰国後、また生理前に症状がぶり返したのです! そこで私は必ずPMDDを治すと決意し、症状を引き起こす過去の嫌な記憶や、長く蓋をしてきた負の感情と向き合ったのです。その作業は簡単ではなかったのですが、おかげで今はどんな自分も受け入れられるようになりました。

このようなプロセスから、私はPMDDの改善には「体」と「心」の両方ともに改革が必要だと思っています。また脳機能も大切で、感情バランスを整えるセロトニンという脳内ホルモンが女性には特に必要。セロトニンを作る6大栄養素はトリプトファン、鉄、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸、マグネシウム。バナナは全てを網羅しているので、毎日食べることから始めてもいいですね。女性は生理と40年近く過ごさなければなりません。少しでも生理前を健やかに過ごすことができれば、人生のQOLは飛躍的に向上します。もう一度自分の内側に目を向ける、それがPMSやPMDDから解放される大きなカギになると思います。

PMS/PMDD専門カウンセラー
森井恵子さん

パーソナル・メンタルトレーナー、「ホリスティック・レメディ」主宰。
HP holistic-remedy.net/
ブログ ameblo.jp/holistic-remedy/

『いつもやってくる、殺したくなる自分にサヨナラ』
森井恵子著/¥1,760/VOICE出版事業部

■悪化して離婚原因につながるケースも…


A子さん(35歳)
小学1年生の息子と、同い年の夫と3人暮らし。4月から新しい土地で新生活スタート。

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❝生理前のイライラから離婚危機へ!❞

PMSはややありましたが、産後大きく変化。一番辛くなってきたのは33歳頃で、自分ではコントロールできないくらい異常だなと自覚があり、いろいろ調べてPMDDという症状を知りました。生理前になると、とにかくイライラして夫に当たり散らし、子どもにまで感情をぶつけてしまうことも。その状態が続くと些細なことで夫と大喧嘩が増え、お互いお手上げ状態で離婚を意識するまでになり、少し離れた方が良いと子連れで実家へ……。冷静になったところで、夫婦で婦人科を訪れました。毎回攻撃的な私とその度に生理前だからという言い訳にうんざりな夫は〝本当か? 性格なのでは?〟という思いがありましたが、一緒に先生の話を聞き、幸い、「女性の大多数はPMSがあり、奥さまも典型的なPMSです」と診断されて少し安心したよう(笑)。無事、夫婦仲も修復中です。

 

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撮影/清藤直樹 取材・文/Viktoriya 編集/太田彩子
*VERY2021年5月号「生理前のこのイライラ、もしかしてPMDD?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。