【中学受験⑫】良い印象、悪い印象、両方、大事にしましょうね
皆さん、こんにちは。教育ジャーナリストの鳥居りんこです。
今回も「実際に学校説明会に参加してみよう!」編。第4回目です。
前回、「学校は文化。文化は街が育む」ので、学校最寄り駅からの街歩きを楽しんでくださいと申し上げました。
なんとなくでいいので「この街、好きだなぁ・・・」と思えるかどうかも、学校選びのポイントになりますよということでした。
学校選びは「結婚相手選び」にも似ていると主張している私ですが、実は「不動産探しみたいだな」とも思っております。
皆さんも、お家を選ぶ際には価格もそうですが、立地条件や周りの環境を重視すると思います。学校も同じでして、もちろん偏差値も基準になりますが、同時に諸々の環境も気になるところでしょう。
私たちは「学校の立地」にも大きな影響を受けてしまい、それが「我が家に合うか、どうか」の印象を少なからず左右させるのです。
私自身のことをお話ししましょう。
我が子の中学受験のために、学校説明会に頻繁に顔を出していた頃の話です。
私はある日、気が付いちゃったんですね。
「墓がダメ・・・」
どの学校も「息子の志望校になるかも!?」と期待感満載で出かけるのですが、高確率で墓地にぶつかってしまうのです。ええ、通学路、或いは見える場所に墓地があるってことです。
何のトラウマなのか分かりませんが、私はその時、「私は墓がダメなんだ!?」ってことに気が付いちゃったんです。もちろん、息子には関係しないことです。彼は今も昔もそこは何とも思わないでしょう。
しかし、私は想像しました。
学校から何かのお呼び出しを受けた場合(多くは成績不振です)のことをです。
「私には、ひとりぼっちでここを通るメンタルの強さはない!」
しかし、学校を選び放題できるほどの成績であろうはずもなく、墓地を越えて行く学校を視野に入れなければならなくなりました。
どうしたか・・・?
私はその墓そば学校の偉い先生に向かって、こう相談したんです。
「先生、貴校はすっごくいい学校だと思います!でも、ダメなんです。私、墓が怖いんです!」
ええ、ええ。こんなアホなことを個別相談する女はいませんから、未だにこの偉い先生の
海馬に強烈な印象を残しております。
しかし、その偉い先生は、その時、豪快に笑って、私にこうおっしゃったのです。
「墓が怖い?ワッハッハ!!面白い!!お母さん、本校は墓を通らないルートの通学路も用意しているので、安心していらっしゃい。待ってますよ!」
そう太鼓判を押されても、迷います。
しかし、重ねて申し上げますが、学校を自由に選べるほどの頭がないものですから、最後はこうなりました。
「墓!?上等じゃない!!合格させてくれるなら、どこにだって行くわよっ!」
結果、「墓見え学校」も2校受けました。
6年生母の切羽詰まり度具合が少しでもご理解いただけると幸甚に存じます。
墓騒ぎが収まった後のことでございます。
まだ若かりし私は娘のために学校説明会に行き出したのです。
すると、今度は「坂騒ぎ」が起きました。
学校説明会に行けども行けども、そこには高確率で「坂」があったのです。
何のトラウマなのか分かりませんが、私はその時、「私は坂がダメなんだ!?」ってことに気が付いちゃったんです。
そして、私は想像しました。
学校から何かのお呼び出しを受けた場合(多くは成績不振です)のことをです。
「私には、ひとりぼっちでここを登るメンタルの強さはない!」
私は神奈川県人なので県庁所在地は横浜ですが、横浜は坂の街。横浜はほぼ全ての学校が全滅です。
ああ、困った。学校を選び放題できるほどの成績であろうはずもないのに、坂がない学校を視野に入れなければならなくなりました。
どうしたか・・・?
私は「坂なし学校」を求めて、大河を越えて、範囲を都内まで広げていったのです。
子どもの学校選びなんだから、親の趣向は関係ないじゃん?ですか・・・。
そうかもしれません。
しかし、私はこうも思うのです。
やはり、「ダメなものはダメ・・・」。これは若い女性がよく口にする「生理的に無理!」って感覚に近いかもしれません。
もちろん一番優先されるべくは我が子の気持ちですが、それでも母が「なんか嫌!」って思う学校は長い目で見ても「やめとけ!」って思っています。
「親子の中学受験」です。できれば、家族が一丸となって「この学校!」と惚れこめる学校を目指す!ことが気持ち良い受験に繋がります。
そういう意味で「なんか、この学校好き♫」って気持ちと同様に「なんか、分かんないけど、この学校は好きじゃない」って親子の気持ちを両方、大切にして欲しいなって思っています。
次回、7月15日にお会いしましょう。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
ブログ:湘南オバちゃんクラブ https://note.com/torinko
Facebook: 鳥居りんこ: https://www.facebook.com/rinko.torii
構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香