「PMSがない人は和食好きの傾向あり⁉」|細川モモさん・モヤモヤインタビュー③
「これまで生理には、正しいデータも、軽くする方法もなかった」--そんなショックな提言が話題になっている、予防医療コンサルタントの細川モモさん。“生理は病気ではない”から、これまで婦人科で使われていたデータは約60年前のアメリカのデータだったそう(!)。初めて日本女性2万人に行った調査から導き出した、私たちにショックな事実とは…!3回に渡ってインタビューします。
第三回は、コロナ禍でひどくなっている人も多いという、PMSについて聞いてきました。
遺伝ではなく、正しい情報が得られないことでPMSがひどくなっているかも
「私たちが調査を進めていくなかで、多くの女性が生理痛やPMSは「仕方のないもの」として、じっと耐えているということがわかりました。閉経まで生理が続く限りずっと、耐え続けなければいけないということはかなりの苦痛ですよね。
PMSの症状は様々で原因もいろいろありますが、女性ホルモンが不安定になることで起こると考えられています。生理痛やPMSの症状はずっと変わらないということではなく、加齢や体型の変化、出産といったライフイベントによって軽くなったり、重くなったりします。日々受けているストレスや生活習慣、生活環境には個人差があるので、生理痛やPMSに個人差があるのも当たり前。生理前のメンタル不調はあなたのせいではないので、「ホルモンの大暴走」と捉えましょう(笑)。
なかでもPMSに大きく関わっていると言われているのが、セロトニンというホルモン。抗うつ剤に似た構造をしていて“ハッピーホルモン”と呼ばれたり、鎮痛効果もあります。生理前に女性ホルモンが増加することでセロトニンが減るとされており、これがメンタル不調やPMSの時期の痛みの悪化につながっていると考えられています。セロトニンが減りすぎないような食事や生活習慣を心がけることでPMSは軽減することや改善することができるのです。
当たり前ですが、男性に生理はありません。若いときほど健康について深く考えることは難しいですし、痛みや体の違和感がない限り、なかなか病気に気付くことは難しいです。でも私たち女性には生理を通じて自身の健康や生活習慣と向き合う機会があり、軌道修正するチャンスに恵まれていると思うと、憂鬱な毎月の生理にも少しポジティブになれませんか?」
和食を食べている人はPMSが少ない傾向あり!?
「本当に食事が生理の悩みに効果的なのか…と半信半疑な人もいると思います。これまで2万人に渡る女性の調査を行なってきたのですが、生理の悩みがない人の食事の状況を調査したことがあります。ここでいう生理の悩みがない人とは、生理が正常に来ていて、生理痛が軽い&PMSがない人のことを指します。
生理の悩みのない人の特徴に共通するのは、食事は和食を好んでとっているということ。生理の悩みがない人は、揚げ物をあまり食べず、焼き魚や豆腐、野菜などバランスよくちゃんと食べられていました。揚げ物などの酸化した油は体内で痛みの物質を量産してしまい、頭痛や生理痛を悪化させてしまうことが。魚にはその暴走を抑える効果があります。
摂取カロリーの内訳を見たときにバランスよくたくさん食べて、体の中がいいもので埋まっているイメージですね。「カロリーが高い=太る」というイメージが先行していることもあり、現代の日本人女性の1日の摂取カロリーはなんと戦後直後を下回っています。カロリーの充足は円滑な女性ホルモンの分泌の条件であることが最新の研究で明らかになっています。
生理の悩みがある人はどんなに忙しくとも食事をおざなりにして欲しくないですし、和食中心であればカロリーの量はあまり気にしなくても大丈夫。まずはサバの缶詰や鮭フレークなど簡単なものを普段の食事に一品追加するだけでも大丈夫なので、和食中心の食生活を心掛けてみてくださいね」
目からウロコの情報がいっぱい
生理にまつわる正しいデータを知るだけでなく、生理痛やPMSを自分で改善する方法を身につけたり、あるいは「これは病気かもしれないから病院に行こう」などと、正しい判断もできる知識が身につくことを目指した本著。2万人の調査で最新の生理データを集めた、日本で初めての書籍。
PROFILE
予防医療・栄養コンサルタント。一般社団法人ラブテリ代表理事。両親の闘病をきっかけに予防医療を志し、米国で栄養疫学と出会う。14年に三菱地所と働く女性のための「まるのうち保健室」を立ち上げ、「働き女子1,000名白書」を発表。女性のヘルスリテラシー向上と大規模調査を行っている。