副業って何すればいい?自らの可能性を広げた40代に話を聞きました
★ 今日がいちばん若い日だから チャレンジし続けたい〟
「会社の制度を活用し、本業と副業でライフプランを叶える」
神谷 絢子さん(42歳・神奈 川県在住 )
ロート製薬株式会社広報・CSV推進部/人財Wellbeing経営推進本部 兼 キャリアコンサルタント
神谷絢子さんが働くロート製薬株式会社は、2016年度より社外チャレンジワーク制度という副業制度を開始しました。社会人3年目以降であれば、土日祝日や就業後を利用して、キャリアアップや社会貢献などのための活動を許可されています。社員の声から誕生した制度で、現在は約80名が制度を活用し副業しています。
「自分がやりたいことを届け出る制度です。副業している社員は部長職から若手まで、男女問わず様々な人が活用しています」。
神谷さんは2018年からキャリアコンサルタントとして副業をしています。副業をしたきっかけは2つありました。一つめは流産がきっかけで心理カウンセラーを勉強したことです。
「まだ会社の副業制度ができる前の2009年のことです。医療と人をつなぐ心のケアの必要性を感じたのですが、自分の強みを活かせる領域とは違うのではと思い、別の道を考えました」。
二つめのきっかけは、部署異動で社員の話を聞いたことです。
「本社には福利厚生として社員向けのリラクゼーションサービスや、薬膳レストランなどがあり、私はそこで、社員を接客する仕事をしていました」。
そこで神谷さんは社員の本音や悩みを聞くことが多くなったといいます。
「活躍している社員が、実はキャリアに悩みを抱えていたり、心が疲れている。大変な思いをしている社員が、驚くほどたくさんいることを知りました。話を聞いているうちに、何か助けになれることがしたいと思いました」。
そこで神谷さんは、キャリアコンサルタントを目指し、国家資格取得の勉強を開始。主に通信教育で勉強する他、講座にも通いました。その間に引っ越しや家族の病気などがあり、中断せざるを得ない状況もありましたが、約2年をかけて見事に資格を取得。
神谷さんは大学生のキャリア相談員として副業をスタートしました。就活の悩みを聞いたり、仕事と家庭の両立について話をする大学生のメンター的な立ち位置です。
「コンサルが終わると、大学生が明るい顔に変わっているんです。その顔を見ると嬉しい気持ちになりますし、やりがいを感じます」。
その他に、人材会社の主催するイベントなどでキャリアコンサルタントとしても活動をしています。
「話を聞く方は公務員や会社員など職業も様々です。転職の相談や仕事内容の相談など多岐にわたります。普段会うことがない職種の人とお話しできることは、私にとっても有意義です。一期一会のお仕事なので、その時間で少しでも顔が明るくなって帰ってくれたらいいな、という気持ちで行っています」。
小学生の2人のお子さんをお持ちの神谷さんは、主に週末に副業をしています。
「副業としてのキャリアコンサルタントは、自分のキャパシティやスケジュールに合わせて仕事を調整しやすいかもしれません。とはいえ本業もありますし、家事や育児との時間のやりくりがいちばん大変ですね。夫も含め、家族の協力があってこそできることだと思っています」。
神谷さんは社外の副業だけではなく、社内兼務もしています。
「社内ダブルジョブ制度といって、複数の部署を掛け持ちできる制度があります。元々所属している広報の仕事以外に、人事関連の仕事も行っています。キャリアコンサルタントと同様に、本業でも人のキャリアに関わる仕事をするようになりました」。
これからも、人と組織の可能性を引き出す仕事に携わっていきたいと神谷さんは話します。
「今はスケジュールも内容も無理をせず、“ゆる副業”としてやっています。 50代に照準を合わせて、そのときにはキャリアコンサルタントとしての柱ができればと考えています。また、私の地元と横浜の拠点生活をするなど、今後のライフプランも考え中です。これからも、今日がいちばん若いんだと思ってチャレンジしていきたいです」。
◯ ロート製薬の副業「社外チャレンジワーク制度」
2016年から始まった制度。
◦許可制ではなく届け出制。つまり、自分がやりたい仕事を書面で提出し副業ができる。
◦社会人3年目から受けられる。
◦土日祝日、有給休暇、あるいは就業時間外を利用しての副業を認める。
◦約1,600名の社員のうち、現在は約80名が利用。
*「社外チャレンジワーク制度」とは別に、社内の複数の部署を掛け持ちできるダブルジョブ(社内副業)の制度もあります。
撮影/BOCO 取材/星 花絵 ※情報は2021年7月号掲載時のものです。