妊娠中のプール、気を付けるべきことって?【宋美玄先生監修】

妊娠中に軽い運動を…と思っても、暑さの厳しい夏は散歩もしにくいもの。でもプールなら天候も関係なく、腰や足への負担をかけずに全身運動ができるので検討している人も多いかもしれません。マタニティスイミングのメリットや、妊婦さんがプールに行くときの注意点などを産婦人科医の宋美玄先生に伺いました。

「マタニティスイミングなどプールでの運動は、足腰に負担がなく行えるのでおすすめです!」

宋 美玄先生
産婦人科医。東京都千代田区にある「丸の内の森レディースクリニック」院長。二児の母。近著に『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』がある。

そもそも、妊婦がプールに入って大丈夫?

妊娠が正常な経過をたどっていて、妊婦検診の時に医師や助産師の許可をもらうことができ、体調に異常がなければ基本的には大丈夫です。ただし早産が起きやすい多胎妊娠(双子など)では、正常な経過だとしてもスポーツはおすすめされていません。

これまで運動をしてこなかった人でもトライしやすいのが「マタニティスイミング」。水中ではお腹に負担がかかりにくいので、マタニティヨガと並んで人気のあるスポーツです。ジムや区民プールなどでの「マタニティスイミング」のほか、レジャー施設や自宅プールなどで涼んで楽しみたい場合も、病院で許可をもらい、体調に変化がないことを確認してから行うようにしましょう。また、特に後期になってからは足元が見づらくなるので、転倒には十分注意が必要です。

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妊娠何カ月からいつまで泳いでいいの?

一般的には、体調を見て妊娠12週以降から臨月までOKとする場合が多いようです。なぜ12週以降なのかというと、流産の可能性が減ってくる時期だからで、それ以前に泳いではいけないわけではありません。ただし臨月は出産する病院から遠い場所に行くことは避けたほうがベター。もし、遠くのプールへ行く場合は、臨月のお腹では日常の家事などだけでも十分運動になり得ます。かかりつけの医師と自分の体調と相談し、無理のない範囲で行うようにしましょう。

 

マタニティスイミングのメリットは?

陸の上と違って水中では転倒の恐れも少なく(ただしプールサイドでは要注意)、水圧と運動の効果で血流が安静時の2〜4倍にアップします。膝や腰などを痛めている人でも、負荷なく行えるのがメリットです。

ジムで行われているマタニティスイミングのクラスでは、ゆっくりと体を動かしながら水中器具を使って股関節の可動域を広げたり、呼吸法を教えてもらえたり、出産時に役立つエクササイズができます。また、ゆっくりと泳ぐことで、妊娠中に起こりやすい腰痛や足のむくみ、肩こりなどが改善されることも。出産や子育てのために必要な筋力や体力をつけたり、ストレス解消にも役立ち、またプレママたちとの出会いの場としても活用できます。

 

マタニティスイミングで注意すべきこと

必ず病院の許可をもらい、毎回血圧や出血がないかなど体調をチェックすることが大切。マタニティスイミングのクラスでは、妊娠経過証明書の提出が必須のところも多く、助産師さんが常駐し、クラスの前後で体調をチェックしてくれる場合もあります。より安全に行いたい方は医療スタッフのいる施設を選ぶと安心でしょう。

またプールサイドや更衣室など滑りやすい場所が多いので転倒に注意し、人とぶつかる危険がある混雑したプールには入らないようにしましょう。運動中もお腹の張りや出血、立ちくらみ、頭痛など少しでも異変がある場合はすぐに中止し、必要があればかかりつけ医に連絡をしてください。

またシャワールームなどで立ったまま水着を着脱するのは不安定でとても危険。座って着替えるのがおすすめです。

 

泳ぐ時間帯や水温、頻度について注意点は?

一般的にプールは30〜32度前後に設定されており、その水温で1時間程度のクラスを受講するのであれば体が冷えすぎることもないでしょう。妊娠中は陣痛が起きやすいとされる夜間は避け、また公共交通機関を使う場合は空いている時間を選ぶなどゆったり移動できるスケジュールに。頻度については医師と相談しながら、週に1度など無理のない範囲で行いましょう。

 

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取材・文/有馬美穂