【宝槻流スゴイ知育連載vol.1】まずは私たち親の価値観を見直すことから始まります

   

「子どもには幸せになってもらいたい」

親であれば誰しもが思うこと。
私も五児の父として、子どもたちにはそうあって欲しいと心から望んでいます。

さて、皆さんにとってのお子さんの幸せとは……
いい大学に入ること? 優良企業に入ること? ということは、学校の成績が良いことがマスト?
もちろんそれも素晴らしいことだと思います。

「勉強ができる=幸せ」
おそらく昭和20年〜30年代に生まれた皆さんの親世代は、高度経済成長期に子ども時代を過ごし、「いい学校を出ていい会社に入り、いい暮らしをする」という価値観の元にそれを体現してきました。それが幸せであると信じて皆さんにも教育されてましたし、勉強はしなくてはいけないものだという認識だったはずです。

でも時代は目まぐるしく変化しています。
AIによる仕事のあり方の変化や、少子高齢化による外国人の受け入れなど、古きよき昭和時代では考えらえなかったことが日々起ころうとしています。
また、仕事の種類に関しても変化してきましたよね。

“しなければいけない仕事”から、“したい仕事”へ。

子どもたちに人気のYou Tuberという職業なんて、想像もできなかったことで……。
「勉強ってなんでしなくちゃいけないの?」なんていう子どもからの質問にドギマギしちゃうご経験は皆さんあるのではないでしょうか?
実際に、学歴だけでは測れない幸せの価値基準も生まれています。
このような中で、昔の価値観に縛られていると、よもやお子さんの可能性を狭めてしまうかもしれません。

ちょっとここで私の話をさせてください。

私は宝槻家3兄弟の長男として生まれました。型破りなオヤジのキョーレツな教育論の下、3兄弟揃って高校に通わず京都大学に入った経歴の持ち主です。私自身は一度は進学校といわれる高校に入学をしたのですが、詰め込み式でワクワク感のない授業内容が肌に合わず、葛藤の末、中退の道を選びました。「なんのために勉強するのか?」「将来なにをしたいのか?」先のビジョンがない状態でニートになってしまった私に、オヤジはさまざまな経験や多くの人との出会いなど好奇心の種を私にまいてくれました。
結果として大学に入り自分のやりたいことを見つけ、教育者となる今に至るわけなのですが、自分の経験則からしても教育をする立場からしても、本当に大切なことがなにか?ひとついえることがあります。

それは「心に火をつける」ということです。

「心の火」こそ、本人を突き動かすすべての原動力になり、「なぜ自分は勉強をするのか」の問いに自分の言葉で答えられる力になります。

さきにもお話しした通り、今の子どもたちには多くの選択肢があり、自分自身で自分の道を掴み取る力が必要になってきています。そのために大切なことは、「自分がなにを好きなのか?」「ワクワクすることはなにか?」を知ることです。私自身も経験した通り、よほどの条件が揃っていない限り、これは子どもだけで答えを導き出すのは簡単ではありません。そして、昔の価値基準通りには将来を約束してもらえない子どもたちにとって、「将来のために勉強しろ!」といわれても心に響かない状況になっている今、親としてなにができるのか?

それは、子どもの探究心に火をつける、「ワクワクする種」をまくことです。
そのためには、親御さんご自身も、昔の価値基準を取っ払う必要があるのかもしれませんし、お子さんとともに壮大な探究の旅に出なければならない可能性も。

「子どもに幸せになってもらいたい=子どもに好きなことにチャレンジしてもらいたい」
それが現代の親の願いである、私はこう思っています。

子どもたちの「心の火」が灯った瞬間、見たくないですか?
子どもの「好き」を親子で探究する、果てしない旅に一緒に出かけましょう!

この連載は全部で24回。
実際のエピソードなど、皆さんに「ワクワクの種探し」のヒントになるような情報をお届けしたいと思っています。どうぞお付き合いください。

宝槻泰伸(ほうつき・やすのぶ)

1981年東京都生まれ。京都大学経済学部卒業。探究学舎代表。幼少期から「探究心に火がつけば子どもは自ら学び始める」がモットーの型破りな父親の教育を受け、高校を中退し京大に進学。代表を務める探究学舎は子どもたちの“驚き”と“感動”の詰まった授業として、三鷹市を拠点とした教室のほか、オンラインでも世界的な人気を集める。’19年「情熱大陸」に出演、’21年「TEDX」に登壇。5児の父。
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