【性教育ワーク連載vol.3】1回15分。紙ナプキン「これ、なーんだ?」

親子の15分性教育ワーク。今回のお題は生理用品について。
前回、生理の仕組みについてのワークを紹介しましたが、そこからさらに進んで生理用品を使う練習を子どもとやってみましょう! 男の子にもぜひトライして欲しいテーマです。

「恥ずかしい!」と思うかもしれませんが、生理用品はからだのケアをする衛生用品のひとつ。ティッシュとか綿棒とかの仲間です。親子で生理用品のことについて話すのは全然変なことじゃありません。

学校で生理用品の使い方を習う前、あるいは、学校であまり教えてもらえず、初潮を迎え困ってしまう子もいます。

また、男の子が生理用品について知るのも大切なこと。知らないがゆえに、生理用品に対して「エロいもの」という偏見を持ち、ナプキンを持っている女の子を冷やかしたり、教室に落ちているのをみつけて大騒ぎしたりする子もいるそうです。逆に生理のことを何も知らずに大人になり、「生理は病気じゃないのに、何で辛そうにしているの?」と発言してしまう人も。

私たちは学校の授業で女の子と男の子、一緒に生理用品を手に取る授業をしていますが、男の子から「いちいち交換して大変そう」「結構お金かかるんだね!」など、「生理のリアル」を理解したからこそ出てくるセリフもあります。

というわけで、女の子も、男の子も、ぜひ今回のワークにトライしてみてください。

今回の15分ワークのお題 【前準備】練習用の紙ナプキンとショーツを用意する
①子どもに紙ナプキンを見せつつ「これ、なーんだ?」と聞いてみる
②一緒に紙ナプキンの使い方、捨て方を練習する

【ここから上級編】
③タンポンってどうやって使うのかな?
④最新の生理用品についても知ろう

【前準備】練習用の紙ナプキンとショーツを用意する

紙ナプキンは、羽つき、羽なし、昼用、夜用、どれでも構いません。家にあればそれで大丈夫ですが、子どもが好きそうな包装の物を買ってくるのもいいですね。ショーツも何でも大丈夫ですが、サニタリーショーツや、④で紹介する吸水ショーツを用意するのもおすすめです。男の子はふだん履いている本人の下着で大丈夫です。

①子どもに個包装の紙ナプキンを見せつつ「これ、なーんだ?」と聞いてみる

「何それ?」「ポケットティッシュ?」「生理のときに使うやつ?」などの答えが返ってくると思います。「これは生理の時使うもの。生理の時って血が出てくるよね。そのままにしておくと、下着についちゃうから、生理用品を使うよ」と、生理の話をおさらいしつつ、簡単に説明し、練習に誘ってみましょう。

まだ生理が来ていない子であれば、「いつ生理がきても大丈夫なように、使う練習してみようか」。

生理がすでに来ている子であれば、「いま使っているのと別の物もあるから、ちょっとあけてみない?」。

男の子には、「生理用品について知っておくと、周りの人の手助けになることもあるらしいよ。一緒にあけてみよう」。

②一緒に生理用品の使い方、捨て方を練習する

①で用意したショーツを使って練習します。まず開いて、包装紙をはがしてもらってください。「ベタベタするところと、フカフカのところ、どちらをおまたに当てるでしょう?」と聞くと、子どもから「ベタベタ!」と言われることもあります。ベタベタの方を下着につけて、フカフカの方はからだ側であることを伝えてください。また、ナプキンには前と後ろがあることを伝え、広い方が後ろ側(お尻側)と伝えて下さい。

そして、ナプキンを下着にはりつけます。下着は履かずに、親がウエスト部分を持ち上げると、ナプキンをはり付けやすくなります。羽根つきの場合は、下着をくるむようにつけることを伝えます。

最後は捨て方の練習です。「どうしたら血にさわらず、捨てる時に血が隠れるように外せるかな?」と質問してみてください。使ったことが無くても、クルクル巻くことを思いつく子もいます。思いつかなくても、「こうやってクルクル巻くといいんだよ」と一緒にやってみてください。

ナプキンを巻き終わったら、「このまま捨てるとベタベタのところがゴミ箱の中にくっついちゃうから、包装紙かトイレットペーパーに包んで捨てよう」と言って、最後にゴミ箱に捨てておしまいです。

お疲れ様です!

ここからは上級編。もう生理がきているお子さんや、ナプキンで興味津々になったお子さんにおすすめ。

【上級編】③タンポンも使ってみよう

保護者の方からよく「子どもがタンポン使って大丈夫?」「処女膜が破れない?」と聞かれることがあります。タンポンは子どもが使っても問題ないです。また「処女膜」というのは都市伝説みたいなもので、実際には膣にあるヒダ。膜ではありません。運動中にこすれて、気づかぬうちに無くなっている人もたくさんいます。タンポンを用意しておいて、ナプキンの時と同様に子どもに「これ何でしょう」と聞いてみてください。子どもに包装をあけてもらって「人差し指と親指でギザギザのところを持って、膣の中にいれてから、中を押し出すよ」と、下の図を見つつやってみてください。

タンポンの使い方

    ①使う前にヒモを引っ張って、ヒモがぬけないこと、切れないことを確認。プラスチックの筒(アプリケーター)の真ん中あたり、ギザギザしている部分をきき手の親指と中指で持ちます。もう片方の手で小陰唇を開き、膣口を探します。
    ②プラスチックの筒を膣口から入れていきます。真上ではなく、お尻の方向に先が向かうように筒をねかせてスーッと進む方向をさがすのがコツ。持っている手の親指が膣口に当たるまで入れます。
    ③きき手の人差し指か、もう片方の手で、体の外に出ている芯の部分を奥までおしこみます。正しく深い位置に入れることができたら、タンポンが入っている違和感はなくなります。そのまま、プラスチックの筒をそっと膣口から取り出します。ヒモは膣口から出ているままにしておいてください。
    • 子どもから「痛そう!」と言われるかもしれませんが、「タンポンが入る場所は、全く痛みを感じないし、感覚がなくて入っていることすらわからないから大丈夫」と伝えて下さい。違和感がある場合は入れる方向が間違っている可能性があります。また、連続して使えるのは8時間であることも伝えてください。長時間の使用でタンポンに黄色ブドウ球菌が増殖し、菌の毒素が体内にめぐりTSS(トキシックショック症候群)という重篤な症状がでることがあります。

【上級編】④最新の生理用品についても知ろう

生理用品はナプキンやタンポンだけでなく、吸水ショーツや月経カップなど、新しいものがたくさん出てきています。おしゃれなサイトが多いのでネットで一緒に見るのも楽しいと思います。何よりも親自身にとって役立つ情報です。私たちのワークショップや授業を見学している保護者も、新しい生理用品を目の前にして前のめりになる方が多いです。

まずは吸水ショーツ。見た目は下着そのものですが、大体ナプキン2枚分ぐらいの経血を吸収してくれます。子どもでも使えるし、ユニクロやGUでも販売され、手に入りやすいです。生理ははじめのうち周期が不規則なので、いつ来てもいいように普段から使うのも安心です。私たちは、娘が11歳の時に吸水ショーツを一緒に選び、購入しました。いつ生理がきても大丈夫なように、ナプキンと吸水ショーツを一緒にしたポーチを通学リュックに入れています。

そして月経カップ。ここ数年メディアでもたくさん取り上げられているので知っている方もいるかもしれません。膣内にカップを挿入して、経血を外に出さないようにするアイテムです。経血の量がそこまで多く無ければ8時間は使用できるし、高校生ぐらいから使える小さめのサイズのものもあります。運動してもずれることはなく本当に便利です!

生理は我慢するものではなく、自分でケアの方法を選択するもの。そんなメッセージにもなるので、ぜひ色々な生理用品を子どもと一緒にふれてみてください。

 

〈次回へつづく〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは12月28日発売の書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

アクロストン 妻・夫であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

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