「下着は3セット、靴下は5足でいい」稼働率100%クローゼットの作り方

数々のメディアでのスタイリングをはじめ、TV出演やブランドディレクターなど、幅広い活躍を続ける人気スタイリスト・小山田早織さん。

そんな彼女も、1人目の出産時にはそれまでの生活が一変したことに戸惑い、産後はひどく落ち込んでしまったそう。

そして、そんな状況を打破するきっかけとなったのが、「クローゼットの整理」。とはいっても、小山田さんのそれは、単なる断捨離や片付けではありません。コーディネートだけでなく、気持ちも回転させてくれる「稼働率100%」のクローゼットとは?メソッドを直伝していただきました。

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「稼働率100%クローゼット」とは、どんなクローゼット?

クローゼットは常にパンパン、
それが当たり前だったけれど…

 

以前のクローゼットは、「スタイリストだし仕方ないよね」と、とにかくパンパン。見た目にはきちんと並んでいるものの、自分がどんなアイテムをどれぐらい持っているのか、そしてどこに仕舞われているのか、把握できないほどの量でした。

そんな私のクローゼットが、今では各アイテム、各色につき3着ほどの量。この量で以前と同じ満足度、むしろ以前よりもコーディネートが組みやすく楽しくなっているんです。

 

1アイテムにつき3着あれば、
コーディネートはしっかり楽しめる!

 

とはいえ、やっぱり初めは「数が少ないと幅広いスタイリングができなくなる?」なんてことを考えました。ですが、そういえば自分が『10着で1ヶ月コーデ』なんて企画を毎月のように任されていたことを思い出して(笑)。

数えきれないほどの服がなくてもコーディネートはしっかり楽しめる!そう気づいてからもまた試行錯誤を続け、いちばんコーディネートを考えやすい量と感じた、心地よく落ち着いたのが、「1アイテムにつき最大3着まで」という目安。

ただし、いちばん大事なのは、その服を選ぶ理由。目に入るたび「最高」と思える、いちばん好きなもベスト3に絞るのが大きなポイント。そうすれば必然的にいつも最高だと思う服を着ていられるわけです。

 

着回しが得意になるコツは、
手持ち服を可視化させること

 

そして私も今回改めて気づいたのですが、上手に「着回しするコツ」は、持っている服を明確にすること。着回し企画のいちばん初めのページにある、“着回すのはコレ!”というあのコーナーが、いつも自分の頭の中にあること。そうすると、すごくコーディネートがしやすくなるし、アイテムひとつひとつをフル活躍させられる。これこそが、「稼働率100%クローゼット」なんです!

 

いざ!「稼働率100%クローゼット」の作り方

 

稼働率100%のクローゼットを作るために、私が実践したこと。すぐに始めてもらえそうなステップを、書籍からいくつかご紹介します。

 

① 「下着は3セット、靴下は5足」


書籍『稼働率100%クローゼットの作り方』 より。いま小山田さんのクローゼットに残されているランジェリーはワコールのYue、靴下はタビオのもの。

 

仕事柄、海外ブランドもふくめて様々なランジェリーを見てきましたが、やっぱりワコールは秀逸。日本人の体型のことを真摯に考えてくれているなと感じます。産後とくにバストケアなどをしていないにも関わらず、胸の形は下着メーカーの方に褒めていただけるほど。これはワコールのおかげだと思っています(笑)。

そして今クローゼットにある靴下は、白、黒、グレーのベーシックな3色。加えて、この秋はトレンドカラーのイエローを買い足しました。

 

② 各アイテムを3点までに絞る


書籍『稼働率100%クローゼットの作り方』 より。現在のクローゼットの中身を全部まとめると…これぐらいの量に。現在はここからさらにミニマムに進化中なのだとか。

これは、いくつかあるステップのなかでもとくに重要なところ。残す、残さないの踏ん切りに骨を折ると思いますが、そんなときは「猶予ボックス」が負担を軽くしてくれると思います。(「猶予ボックス」の詳しいルールについては書籍をチェックしてみてください)。私も猶予ボックスがなかったら、未だに完成していなかったかもしれません!

ちなみに3着に絞ったのは、心理学的に、人は3パターンまでしか記憶できないと聞いて、しっくりきて。思い出せないのは、量が多すぎるということかもしれません。実際にこの数にしてみたら、本当にコーデしやすくて。この数でトレンドも追えるしベーシックもこなせるし、足りないものもわかるし、私には最適な数でした。

 

③「バッグは運用して循環」


書籍『稼働率100%クローゼットの作り方』 より。最近出番が多いのは右下のボッテガ・ヴェネタのショルダーだそう。

 

常に「稼働率100%」をキープするためには、ときおり循環させることも必要。トレンドやその時の好みを反映させて、“今”いちばん着たい服にしておくのもポイントです。
私のスタイリングはベーシックアイテムをベースに小物で盛り上げる……というコーディネートが多いので、バッグと靴はとくに旬を意識して循環させていますね。最近出番が多いバッグはボッテガやアエタ。公園に行く時にはサンローランのリュックやノースフェイスのウエストポーチが活躍しています。

 

常に「稼働率100%」に保つためのコツ

旬が移ろうブランドバッグは

”とっておく”より”手放す”が賢い

 

バッグって、シーンや環境とともに求めるデザインが変わりますよね。今は仕事前に保育園に寄ったり、自転車にのったり。子育てが落ち着いたらまた使おうと思っても、その頃にはまた、持ちたいバッグもまた違っているはず。それなら潔く循環。リサイクルショップに売って、“今”持ちたいバッグの資金にするのも手。ちなみに旬が終わる前に手放した方が、高く売れるのでおすすめです!

 

服を「減らす」ことを目的に思わず
「心地よい数に絞る」と考えて

今回ご紹介した方法をはじめ、書籍でも、ご紹介しているのは、モノを減らすためのコツ、断捨離のための教訓ではないんです。目的は、コーディネートがしやすくなること。

お洋服やお洒落が大好きな人にとっては、「大事な服を手放すなんて!」と思われるかもしれません。私も服が大好きで、服のトレンドも、コーディネートを組むのも、仕事にするほど大好きです(笑)。ですが、そんな中で思い切った量の服を手放した今……以前よりも驚くほどコーデが組みやすいし、何より楽しい。大好きな服しかかかっていない空間は、私にとって元気を与えてくれるパワースポットとなりました。

大事なのは、ご自身が「心地よい」と感じる量。アイテムによっては“3着まで”にこだわらなくて良いし、逆に少なくても良いんです。このメソッドは、もっともっとファッションを楽しむためのもの。是非、「大好き」が溢れる、心地よいと感じるクローゼットにアレンジしていってくださいね。

 

次回公開の記事では、段ボール100箱分を手放した小山田さんが、手元に残した名品アイテムを公開!コーディネート例も紹介します♪

 

 

PROFILE
小山田早織さん
VERYをはじめ数々のメディアや広告、ショーのスタイリングを手掛ける人気スタイリスト。さらにはブランドディレクションやTV出演など、多岐にわたるシーンで活躍中。プライベートでは二児の母。

 

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『“着ない服”がゼロになる! 稼働率100%クローゼットの作り方』講談社刊・小山田早織(著)

出番のない洋服がひとつもない”稼働率100パーセントのクローゼット”。そんな夢のようなクローゼットに小山田さんがたどり着いたのは、産後の落ち込みがきっかけでした。職業柄、大量の衣装持ちだった小山田さんが、出産を機に段ボール100箱分の服を処分。潔く取捨選択することで、最高に効率的なワードローブと幸福度の高い生活環境、自己肯定感まで手に入れられる、本書では、そのハウツーを丁寧に紹介しています。

取材・文/磯部薫