不登校は克服できます――5月号「全然ありです。勇気を出して『不登校』」を担当して by ライター竹永久美子
STORY5月号掲載の「全然ありです。勇気を出して『不登校』」(P.228)では、子どもが学校へ行かなくなったというママたちの悩みや、不登校になった子どもたちへの対応の仕方、そして、実際に不登校だったという経験を持つ作家の金原ひとみさんの話を紹介しています。
●取材した私自身、不登校になってもおかしくなかった
そもそも自分自身が学校に行きたくなかった時期があり、「不登校新聞」の石井さんや、金原ひとみさんのお話をうかがう中で、共感しか湧きませんでした。
なんとなく学校には行かなければいけないものなのだろうという気持ちで、いつの間にか、何もなかったかのように登校した記憶はありますが、新学年や夏休み明けになると、胸の奥に刺さる何か鈍いものが湧いてきて、毎日、子どもを送り出すたびに、未だに思い出される厄介なものがまだ私の中にあります。
コロナ禍での休校以降、この、“なんとなく行かなければいけないという気持ち”は、弱くなってしまったように思います。
学校に行かなくても毎日やり過ごせてしまった経験は、すぐに消せるものではなく、特に学校での楽しいイベントもなくなってしまったのであれば、登校へのモチベーションをどのように高めればいいのか? また、人間関係の悩みを抱えていた場合、公然と休めるなんていうのはこの上ない幸せでもありますよね。
親としても「行きなさい」という気持ちと、「休んでもいいんじゃない?」という気持ちが半々でしょうか。とはいえ、何もせずに家にいて不安にならない親はいないでしょうし、この企画の意図として、そのような中で親子ともに視点を変えるきっかけになれば……という気持ちがありました。
●親の悩みは尽きない
以前、別件で、ある学校の先生と話す機会があり、不登校の話題になりました。
「安易に休むというのにも異論を唱えたい。学校は勉強するだけの場ではなく、社会生活を学ぶ場でもある。問題解決能力を養う機会とは捉えられないだろうか?」
この意見は“ごもっとも!”と思う反面、それでも不登校の子どもを抱える親は、“子どもを守りたい”という気持ちと“子どもに強くなってほしい”という願い――2つの狭間で悩み、苦しむのだろうとも思いました。
また、公教育以外の選択肢も増えていますが、そうなると実際のところ、何が子どもにとって良いものなのか? 迷いを生じさせる原因のひとつになっているのかもしれません。
●心のメンテナンスも考えて
子どもをどれだけ観察すれば正解が見えてくるのでしょう……。これは滅入りますよね。
取材した読者さんがこう語っていました。
「子どもが不登校になったとき、自分の心のメンテナンスも大事だった。後になってそれに気づいた」
この言葉は重く受け止めないといけません。
いろんな方のお話を聞いた中で、これはいいかもと思ったのは、“いま起こっていることを話して、ただ聞いてもらうこと”。
金原ひとみさんも、“自分の気持ちを表現してみること”を不登校の子どもたちにお勧めされていましたが、これは親にもあてはまることで、アウトプットが大切。相手はカウンセラーだったり、気の許せる友達でもいいかもしれません。意見は求めず、ただ聞いてもらうだけ、少しずつ心の澱を出していく。
●子どもは親の想像をはるかに超える
さて、企画冒頭のエピソードにあった不登校のお子さんは、学年が上がってから約1年ぶりに学校に行き始めたそうです。SNS内で友人ができ、自分の居場所を学校に限定しなくても良いと感じたのが、きっかけのひとつだと。
「自分で答えを導き出して成長するわが子に、親が育てられている」
そんなお母さんの言葉に深く考えさせられました。
ああ、「子育て」って、なんて儘ならない!
子どもは親の考えをヒョイと越えていってしまうものなんですね。そう考えると、親の枠組みの中だけで子どもを育てるのには限界があるのかもしれません。(特に私たち世代が子どもの頃は、決まった枠組みでベストスコアを出せばOKの時代でしたから)
取材の中で語っていましたが、金原さんのお嬢さんは、毎日学校に行くのがとっても楽しみなんだとか。
「あんなに学校がイヤだった私の娘なんですけどね」
●一緒に歩んでいきたい
子育ては分からないことだらけ。
でもその限られた時間を楽しむために、分からないことを知り、親自身が成長すること。
Junior STORYの企画では、そのための時間を皆さんと共有できたらと思っています。
文/竹永久美子
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