【広末涼子さん連載vol.12】子どもがつくウソ。親はどこまで許容すればいい?

【広末涼子さん連載vol.11】「男らしく?」「女らしく?」家庭でのジェンダーレス教育をする時に心がけていること

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高校生、小学生、幼稚園と各世代3人の子どもを育てながら、女優としても輝きを放つ広末涼子さん。毎月〝思春期ママ〟たちと思いを共有する場となる連載エッセイ。今月は子どもがつく小さなウソをテーマに語ります。

ウソをつかせない、 生まない環境と 親子の対話を

7月号読者ママたちの声

ママの声①

子ども13歳女子 A.Kさん 42歳 専業主婦

娘が小5の時、校外学習のために3,000円をチャージ。次の週に家族で出かけた際には残高不足になり、2,000円以上の使い込みが発覚。問い詰めると、学校のテストの結果が悪くて、問題集を買ったとのこと。それもウソだと疑い「問題集を見せなさい」と言ったら実際に購入していました。使い道が勉強だったことと疑ったことは謝りましたが、勝手に購入したことは怒りました。

ママの声②

子ども12歳男子・12歳女子の双子 Y.Sさん 44歳 フリーランス

娘に宿題やった? と聞いたら「やった!」と言うので確認すると、筆算をせず回答を記入。答えを書き写していたことがわかった。児童館に行くと言った息子の帰りが遅いので、どこに行っていたか問い詰めると友だちとゲームセンターに行き、友達のお金で遊びまくっていたことが発覚したんです。

「参観日に学校へ行ったら、白紙の宿題のプリントがギュウギュウ詰めになってたの! 私には毎日提出してるって言ってたのに」「電車通学だからもしもの時ためにチャージしてあるSuicaなのに、こっそり学校帰りに買い食いしてたみたいで0円になってたの!!」「うちはゲーム禁止にしてるから普段家ではゲームさせてないのに、友だちと公園に行ってくるって出かけて、公園で他の友だちとSwitchしてたのよ! 酷いでしょ?」
 
私がママたちから聞いた、子どものついた〝小さなウソ〞のエピソード。こうして書き出してみると、ひとつひとつの出来事はそこまでおおごとではないようにも感じるかもしれない。すぐにバレることなのに(笑)。子どもらしいカワイイ噓よね。金額も小さいから、などと思う方もいらっしゃるかもしれない。

しかし、ママにとってはとんでもない!! 人生最大の一大事! わが子がこれから大きくなって平気でウソをつくような人間になってしまうのか、ウソなんて絶対にダメという正直者に育つのか、という瀬戸際! 育児においての大きな岐路に立たれているのだから。

大人ならば誰でも知っている。ウソは噓を呼ぶことを。どんなに小さいウソでも、ひとつウソをついてしまうと、そのウソを隠すためにまた噓を重ねてしまうことを。そしてウソをつくことに慣れてしまい、普通に噓がつける人間になってしまうことを。だから、子どものウソを見逃してはいけない。簡単にスルーするわけにはいかないのだ。

ウソを見極めること、その心理を知ること、話し合い理解し合って、次の噓へ繫がる可能性を排除すること。それはママの任務、責務なのだ。

「宿題やりなさい!」という親からの圧力、テストで良い点数をとらなくてはいけないという先生からのプレッシャー、それに対して、なぜ勉強しなくちゃいけないんだろう? 宿題をする意味は? という子どもたちの疑問。めんどくさいなあ……遊びたいな……という子どもの思い。親子間での考え方の違い、気持ちのすれ違いが子どものウソを生んでしまうのではないだろうか。

Suicaを使ってみたい、と思う子どもの好奇心や、単に帰り道にお腹が空いた……喉が渇いてジュース飲みたい……という状況を親がどう理解してあげられるか。学校のルールやお金の使い方の話をして、どんな〝約束〞をつくるのかが大切。

家庭内でどんなにゲームを禁止したところで、友人宅に行けば、Switchもプレステ5もある時代。目の前にある誘惑と、ゲームをしたい、でもしちゃいけない……という葛藤と矛盾。そんな中で、どうすれば親に隠れてコッソリ、とか、ウソをついてコソコソ、を回避できるのか? わが子の気持ちを聞いてあげること、しっかりと親子の会話の時間を持つことが大事。

子どもにウソをつかせないためには、きちんとルールや約束を明確にすると同時に、それ以上に子どものキモチに耳を傾けてあげることが大切なのではないでしょうか。

親の価値観を押しつけたり、大人の常識を植えつけたり、ママの期待で子どもを締めつけてしまうようなことにならないように。ウソなんてつかなくても伸び伸び笑顔で子どもが過ごせるように、私もこれからもしっかりと子どもたちそれぞれの性格と現状にアンテナを張って3人と向き合っていきたいです。

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【広末涼子さん連載vol.9】個性が違う兄弟間の進路や習い事。キャパシティ限界な母はどうする?

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〈次回へつづく〉

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広末涼子

1980年高知県生まれ。14歳でデビュー後、CM、ドラマ、映画と数々のヒット作に出演。日本アカデミー賞をはじめ受賞歴も多数。プライベートでは、高校生、小学生、幼稚園児と各世代3人の子ども達のママ。書き下ろしエッセイ「ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち」(宝島社)が絶賛発売中。

文/広末涼子 撮影/彦坂栄治(まきうらオフィス) ヘア・メーク/倉田明美(THYMON Inc.) スタイリスト/竹村はま子 取材/小仲志帆
【衣装クレジット】トップス¥28,600(シーエフシーエル)パンツ¥26,400(タンジェント)ピアス¥137,500(MAAYA)

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