【性教育ワーク連載vol14】親子で一緒に「恋愛アップデート!」

親子の15分性教育ワーク。今回は恋愛についてがテーマです。

「親子の」とタイトルにありますが、今回はどちらかといえば親世代が恋愛事情についてアップデートできるよう、お手伝いする内容になっています。「最近の恋愛事情って、どうなっているの?」「若者の考え、よくわからん」という方におススメです。

私たちもそうですが、世代的に「恋愛サイコー!」みたいな価値観や、恋愛に興味の無い人を「草食系」と呼ぶ風潮の中で過ごしてきた方が多いのではないでしょうか。

恋愛したり、友達と恋バナして盛り上がったりするのが好きな人にとっては、過ごしやすい環境だったかもしれませんが、その陰で気まずい思いをしたり、傷ついたりした人もいます。

「恋愛サイコー」な価値観のまま、子どもと恋愛について話すと、その価値観を引き継ぐだけでなく、悩みをもたせてしまうことも。

今回は、まず親が「恋愛アップデート」して、その後子どもと一緒にワークをする構成になっています。

 

それでは、ワークをはじめましょう!

今回の15分ワークのお題

【親向け】
①「アロマンティック」について知ろう
②異性愛と決めつけない!
③子どもの恋愛を詮索しない!

【親子で一緒に】
④「だれかを好きになる」ってどんな気持ち?
⑤「モテ」なくても大丈夫!
⑥言いたくなければ言わないでOK!

【親向け】 ①「アロマンティック」について知ろう

「アロマンティック」とは、他人に恋愛感情を持たない人のこと。

子どもの性行動について調べた大規模な調査(第8回青少年の性行動調査報告、2017)の中で「あなたは、いままでに、何人の人と付き合ったことがありますか」と聞くと、高校生女子の30.9%、高校生男子の38.6%は、「付き合った人はいない」と答えています。

「付き合った人はいない」と聞くと、本当は付き合いたいけど、いい出会いがない人」のように思うかもしれません。

でも「付き合った人はいない」と答えた高校生のうち、女子の44.2%、男子の47.9%は「いま、(付き合う相手が)ほしいとは思わない」と回答しています。「アロマンティック」の人は、一般的に思われているよりも多いです。

「高校生ぐらいになったら、恋愛して当たり前」という思い込みから、「恋愛に興味が無い自分はダメなんだ」と落ち込む子がいるのですが、そんな時に「恋愛に興味の無い人は結構いるよ」と声をかけられるといいですね!

ちなみに、他の人に性的な感情を持てない人は「アセクシャル」といいます。

【親向け】②異性愛と決めつけない!

「恋愛」と聞くと、どうしても「女の子と男の子」のイメージがあるかもしれませんが、実際には同性同士など、色々な性別の組み合わせの「恋愛」があります。

先程の調査で、恋愛の対象となる性別についても質問しています。恋愛の対象が「異性」としたのは大学生女子の88.7%、男子の95.3%でした。恋愛の対象が「同性」と答えたのは、大学生女子0.2%、男子0.9%でした。そして、恋愛の対象が「異性・同性どちらも」としたのは大学生女子の5.9%、男子の1.6%でした。

また、どんな性別の人を好きなるのかは、固定したものではなく、変化もしていきます。

子どもと恋愛について話すことがあったら、「彼氏(彼女)」と、性別を限定せず、「好きな人」「恋人」「付き合っている人」と、言葉を置き換えて話してみてください。

【親向け】③子どもの恋愛を詮索しない!

「この年になって恋人ができない」「最近、付き合っている人ができたのかも。知りたい!」など、心配な気持ちから子どもの恋愛事情について、聞き出したくなるかもしれません。

でも、どんな人が好きか、どんな人と付き合っているのかなどは、その人自身の個人的なこと。誰に話すのか、話さないのかは、自分で決めることができます。

また、親から詮索されたことで、子どもは「親に信用されてない」と思ったり、何かあった時に相談したりしなくなる子もいます。
「困った時には話してね」という感じのスタンスで、見守るのがいいです。

さて、ここからは、親子で一緒にやるワークです。

【親子で一緒に】 ④「だれかを好きになる」ってどんな気持ち?

まずは「『だれかを好きになる』ってどんな気持ちかな?」と子どもに聞いてみてください。

ここは、正解はなくて、子どもも大人も、ひとりひとり違う考えがあると思います。
「ドキドキする感じ」「近くにいたい」「たくさん一緒に過ごしたい」「よくわからない」など、親子でお互いの考えを気楽に話してみてください。

⑤【親子で一緒に】「モテ」ってなんだろう?

次のシナリオを子どもと一緒に読んで、考えてみてください。

友達のAさんが相談をしてきました。「ほんと、全然モテなくって落ち込む。自分はダメなんじゃないかと思う」

「友達からこう言われたら、なんて答える?」と子どもに質問して、一緒に考えてみてください。

「モテなくても大丈夫だよ」「そのうちモテるようになるよ」「モテない人のほうが多いから気にしなくていいんじゃない」など、モテに対する考えとか、友達への対応の仕方とか、色々なことが垣間見えると思います。

是非、自分の意見も話しつつ、子どもと一緒に考えてみてください。

最後にまとめとしてこちらのことを話すといいです。
「テレビとかネットで『モテた方が幸せ』『モテないのは不幸』みたく言われることがあるけど、そんなことないよね」
「見た目とか、分かりやすい魅力がある人がモテやすいけど、人の魅力って分かりやすいものだけじゃない、隠れたものもあるよね」

「モテないとダメ!」みたいな価値観はいまだに強くあります。モテたい気持ちは否定しないけど、モテないからって自分自身の価値を低く考えることはないよね、と伝えられるといいですね。

話せたら、次にすすみます。

【親子で一緒に】⑥言いたくなければ言わないでOK!

次のシナリオを子どもと一緒に読んで、考えてみてください。

男子がたくさん集まって、好きな女子の話をしています。
みんなは盛り上がっていますが、A君は好きな女子がいないので話に加わっていません。
すると、B君が「Aも好きな女子いるでしょ?教えてよ!」としつこく聞いてきました。

シナリオを読み終わったらまずは、「A君はしつこく聞かれてるけど、これってどう思う?」と聞いてみましょう。

「Bがウザい」「なんでそんなに他人の好きな人を知りたいのかな」という批判的なものや、「A君は『好きな人いない』って言えばいいのに」という意見も出るかもしれません。

意見が出たら次へすすみます。

「自分の好きな人が誰かとか、好きな人がいないとかは、言いたくなければ言わなくていいよ」と伝えましょう。
また、「あとB君のように、他の人のことを無理矢理聞き出すのはやめようね」と伝えましょう。

そして、「好きな人がいない人もいれば、自分と違う性別の人が好きな人もいるし、自分と同じ性別の人が好きな人もいるよ」と伝えてみてください。

 

お疲れさまでした!

次回は、親密な関係性だからこそトラブルにもなる、「デートするってどういうこと?」です。

 

〈次回へ続く〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

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アクロストン

妻(みさと)・夫(たかお)であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

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