「妻の子どもへの過干渉が気になる」東大人気教授が送る解決策とは?

家事育児は〝手伝う〟から〝シェアする〟時代に。頑張るパパの悩みに応える連載の第9回。RYUCHELL(りゅうちぇる)さんの愛ある叱咤激励と、ジェンダー論のプロ・東大人気No.1講義の瀬地山 角先生の分析を、ぜひ夫婦でシェアしてみてください。

 

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今月の悩めるパパ ⑨

秋山剛正さん(仮)/40歳。会社員。趣味はフットサルで仕事後の平日夜は仲間と汗を流すのがストレス解消。癒しの時間は週末の娘との二人のお出かけ。1歳下の妻とは友人の紹介で知り合い結婚。

妻の価値観の狭さや、子どもを甘やかすのが気になります。専業主婦だからではと思い、働くことを勧めましたが、何かと理由をつけて働きたがりません。子どもへの過干渉を防ぎたいです

「娘8歳と息子3歳、妻は第一子出産後から専業主婦です。家庭を守ってくれることはありがたいのですが、妻の価値観の狭さや子どもへの過干渉が気になります。娘の教育も理系に進ませたいと言い張り習いごとを勝手に決めたり、3歳の息子には着替えや食事の補助など手を出しすぎていて、そのせいか年齢の割に幼く感じます。「自分でやらせなよ」と言っても聞き入れません。家にいるから子どもにばかり関心がいくのではと思い働くことを勧めましたが、3歳までは一緒にいたい、2人目がほしい、カギっ子はかわいそうなど、そのときどきで何かと理由をつけます。」

 

ジェンダー論のプロ・瀬地山さん
から悩めるパパへのアドバイス

このままでは危険なので
妻が仕事や趣味を見つけて
子どもと距離を取るべき

仕事をしないと必ず視野が狭くなるわけではないとは思いますが、妻から聞く話が公園のママ友の噂話ばかりだとしたら、個人的には辛いですね。エネルギーがあり余ってすべて子どもに向かっているようなので、少し危険な感じがします。子どもの成功が自分の成功になり、子どもの失敗を過度に恐れ、先回りして手助けしてしまうとしたら…。子どもと自分を同一化してうまく子離れできない可能性があります。経済力も時間もあるようですが、習いごともたくさんさせていませんか? それらが親の自己満足になっているように感じられます。真正面から仕事をしろとだけ言っても妻は反発するのでしょうから、「自分の好きなことはないの? 子どもだけがあなたの人生なの?」と話してみては。趣味や資格の勉強など何でもいいので、自分がやりたいことを見つけて、子どもと距離をとることは、子どもにとっても必要なことだと思います。〝3歳児神話〟のような迷信にとらわれては、自分だけではなく子どもまで縛ります。長女の思春期まであと2、3年。その頃には親の言うことなんて聞かなくなるので、そろそろ自分のことを見つめ直すチャンスでは。親の仕事は子どもが離陸して自分の力で空を飛べるようにすること。少しずつ子離れの準備を。


瀬地山 角先生
東京大学大学院総合文化研究所教授。専門はジェンダー論で、東大での人気講義No.1と評判。2児の父として10年間保育園の送迎をし、現在も普段の夕食作りを担当。近著に『炎上CMでよみとくジェンダー論』(光文社)。

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撮影/杉本大希 ヘア・メーク/megu スタイリング/曽我一平 取材・文/宇野安紀子 イラスト/N.Ryosuke 編集/井上智明
*VERY2022年6月号「りゅうちぇるの「パパの子育て悩み相談室」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。