元宝塚・夢咲ねね×花乃まりあ【スペシャル対談】宝塚OG8人が揃い立つ話題の舞台で共演!
過去に何度も上演され映画化もされているミステリー作品『8人の女たち』が、元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華顔合わせにより、ストレートプレイとして上演! CLASSY.ONLINEでは4回にわたりキャストの方にスペシャルインタビューをお届けします。まずは元星組トップ娘役の夢咲ねねさんと元花組トップ娘役花乃まりあさんのお二人に、今回の舞台にかける思いを伺いました。
――元宝塚歌劇団トップスターのOG8人が女性役でストレートプレイをする『8人の女たち』。出演が決まった時のお気持ちを教えて下さい。
夢咲 過去に『8人の女たち』を観る機会はなかったのですが、登場人物が女性だけの作品ということに興味を持っていました。出演が決まって映画版の作品を拝見しましたが、8人それぞれがとても濃いキャラクターで! 「これに負けずに演じられる人たちって?」と思いました。でも、キャストがこれ以上の個性を持った宝塚OGの皆さんだったので「誰も負けていない!」と思い、この瞬間から楽しみでしかなくなりました!
花乃 映画を拝見して最初に思ったのは、これだけやりがいのある作品に出演するということは俳優として新たな挑戦になるなということです。次に出演者が全員宝塚OGだとお聞きし、なんてスペシャルな舞台なのだろう!と思いました。今は興奮と喜びと緊張と…いろいろな気持ちが入りまざっていますが、憧れの先輩方と共演できることが何よりも嬉しいです!
――トップ娘役時代は正統派の女性を演じることが多かったお二人が、今回は一癖ある女性を演じます。
夢咲 私が演じるのはメイドのルイーズ。〝正統派の女性〟ではないですが、映画を観て一番惹かれた役です。一見クールに見えますが、実は誰よりも欲が深くて熱いものをひた隠しにしている女性だと思うので、それをどれだけ深堀りできるかが役作りの課題です。宝塚時代にナポレオンの妻ジョセフィーヌを演じたとき、悪女と呼ばれる人の本質を知っていく過程がとても面白かったので、今回もそれを楽しみたいと思っています。映画ではエマニュエル・ベアールさんが演じているのですが、目の動き一つで魅せる演技がとてもセクシーで! 彼女からもスパイスをいただいて役を作っていきたいです。
花乃 私は姉妹の末っ子のカトリーヌを演じます。内に悪を秘めているというより、やんちゃないたずら心がある子です。悪意があるわけではないので、どう表現するかが難しいなと思っています。本当の悪い子ではないですが、今までの私の役のイメージとは違うので意外に思われるかもしれません。でも、カトリーヌの少年っぽさは10代の幼い頃の自分に近い部分があるので、楽しく演じられそうだと思っています。私も三姉妹の末っ子なのですが、母と姉と一緒に『8人の女たち』の映画版を観たときに、二人に「小さい頃のあなたにそっくり!」と言われたくらいですので(笑)。
――今回の舞台を通して、共演者の皆さんから学びたいと思っていることはありますか。
夢咲 出演者全員が元トップで、立っているだけで場が埋まるようなスターオーラを持っている方々ばかりです。そんな皆さんのオーラのぶつかり合いってどんななんだろう?!と興味がありますね。このオーラのぶつかり合いをお稽古場から間近で見ることは、とても貴重な経験になると思っています。また、宝塚OG8人の学年差を崩さないと成り立たないというところと、歌と踊りのないストレートプレイというのも高いハー
ドルだと思っています。これを皆さんとどう乗り越えるのか、今から楽しみです。
花乃 宝塚で一時代を築いた方たちには自分の色や武器があると思うんです。それを宝塚以外の世界でどう活かしているのか、どう役に投影していくのか。その過程をそばで拝見できるので、思いっきり目を見開いて吸収しようと思います! でも、下級生だからと受け身でいるだけではなく、「いかに攻められるか」を役者としての課題にしています。
――花乃さんが夢咲さんから学びたいことは何ですか?
花乃 ねねさんは舞台の上ではビシッと役として立たれていいますが、普段はとてもナチュラルなんです。どんなふうにスイッチを入れるのか知りたいです。
夢咲今はスイッチを意識することはないですね。下級生の頃は「スイッチ入れるぞ!」とやっていたのですが、気合いを入れ過ぎたぶんの歪みがきてしまうので、あえてスイッチの切り替えはしないようにしました。本番前のルーティンも意識していなかったです。ルーティンをつくってしまうとできなかった時に焦ってしまうので(笑)、基本的に自分を縛ることはしていません。
花乃 自由度が高くて、魅力的です!
夢咲 自由とはよく言われる(笑)。良くも悪くもね(笑)
――夢咲さんが花乃さんから学びたいことはありますか?
夢咲 かのちゃんが宝塚に入ってきた時、「宙組に可愛い子が来た!」と話題になって私も見に行きました(笑)。組は違いましたが、かのちゃんを見ていて可愛いだけでなく実力もあるから、あっと言う間にトップになるだろうなと思っていたんです。そうしたら、本当にトントントンとトップになりました! 私はブレがちで悩むことが多かったのですが、かのちゃんは昔から芯があるなと思っているので見習いたいです。
花乃 恐れ多い事ばかり言っていただきましたが…ねねさんがブレがちで悩むことが多かったというのが意外です!
。
夢咲 相手役の柚希礼音さんがすごい方すぎたので、それに足らない自分に押しつぶされそうになっていました。劇団に入団してから、娘役とは儚く健気であるべきだしそうありたいと自分で自分を縛り付けて、等身大の自分に目を伏せ悩んでいたことも原因の一つです。私は娘役にしては身長も肩幅もありましたから。でも、自分の欠点から目を背けられないのが宝塚の世界。舞台で美しくなかったら自分の責任なので、衣装合わせではウエストの位置、スカート丈、リボンの長さ…すべて自分で考えて一番美しく見えるようにお願いしていました。ダメな自分と向き合うことは本当に大変でしたが、あの時代があったから自分を知ることができたので、今の糧になっていると思います。
花乃 完璧なねねさんでも悩むことがあったんですね。これからのお稽古でいろいろ教えていただきたいです!
夢咲 かのちゃんは今のまま行けば大丈夫! 卒業して5年経っても昔とイメージが変わってないよね。それって、昔からブレていないという証拠だと思うから!
花乃 変わらないのは、頑固だからかも…(笑)。変えたくても変えられない、隠したくても隠せないんです。
夢咲 私も同じ! 全部顔に出ちゃう(笑)! 自分に蓋をしていないで、自分らしくいられているってことでもあるよね(笑)?
花乃 そうです! いい事だと思います(笑)!
夢咲 私達らしく、お稽古を頑張りましょうね!
夢咲ねね(ゆめさきねね)
’03年宝塚歌劇団に89期として入団。実力の高さと美しさから注目を集める。’09年柚希礼音の相手役となる星組トップ娘役に就任。’15年退団。トップコンビの任期は6年を超え、平成以降では2番目の記録となる。退団後もその実力と華やかさをいかし、舞台を中心に活躍。
花乃まりあ(かのまりあ)
’10年宝塚歌劇団に96期として入団。可憐な容姿と演技力で入団当初から注目される。’14年花組トップ娘役に就任し、明日海りおの相手役となる。’17年退団。卒業後は舞台だけでなく情報番組『ZIP!』のリポーターを務めるなど映像でも活躍する。’21年、結婚を発表。
『8人の女たち』
宝塚OGキャストがおくる、極上のミステリー劇、開幕! フワンソワ・オゾン監督によるミュージカル映画化も話題になった傑作戯曲が宝塚歌劇団元トップスター8人により、ストレートプレイ版として上演。キャスト:湖月わたる 水 夏希 珠城りょう 夢咲ねね 蘭乃はな 花乃まりあ /真琴つばさ 久世星佳●東京 サンシャイン劇場 8月28日(土)~9月4日(日)大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 9月9日(金)~9月12日(月)
【衣装】<夢咲さん着用分>トップス¥46,200スカート¥50,600 (ともにボーダーズ アット バルコニー☎03-6451-1108 )ネックレス¥14,300 (ジェンマ アルス/GEMMA ALUS JAPAN ☎03-6438-0178)ピアス¥9,720 (アビステ ☎03-3401-7124)<花乃さん衣装協力>RPKO ダイアナ ete
撮影/木村 敦 ヘアメーク/池田ユリ(éclat)<夢咲さん>、miura(JOUER INTERNATIONAL)<花乃さん> スタイリング/池田未来(inthe pink)<夢咲さん>、鬼塚美代子(アンジュ)<花乃さん> 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)