【釈由美子さんの母子山旅】絶滅危惧種ライチョウを探して、深まる絆!|STORY

2008年から2009年にピークを迎えた”山ガール”ブーム。そのときの女性たちもSTORY世代になり、結婚や出産を経て山から遠ざかってしまった人も少なくないはず。幼少期から山に親しみ、登山愛好家としても知られる女優の釈由美子さんもそんな1人。今回は、釈さんが母子で参加した「日本アルプスライチョウ観察ツアー」体験をご紹介。かつての山ガールたちが久しぶりに山に登ってみたいと思えるきっかけになり、さらに絶滅危惧種のライチョウについて知ってもらえれば幸いです。

途中までバスで行けるので初心者にも安心

ライチョウの生息域が近い乗鞍・畳平は標高2702m。ここまではバスやタクシーで来られ、今回拠点となる白雲荘も畳平のバスターミナルに隣接しているので、初心者や子供連れでも安心してツアーに参加することができます。

スケジュールは頼れる山のプロが天候に合わせてアレンジ

【スケジュール】※天候などで変わる可能性があります。

1日目

12:00 乗鞍観光センター シャトルバスに各自乗車

12:50 乗鞍畳平バスターミナル到着 ライチョウガイドさんと合流

白雲荘に荷物を置いて観察ツアーへ出発

16:30頃 白雲荘に戻ります

2日目

早朝 ご来光とライチョウ観察ツアーへ出発  午前中は観察ツアー

11:30頃 白雲荘に戻り ツアー解散

各自で昼食

13:05 乗鞍畳平バスターミナル出発

13:55  乗鞍観光センター着

今回ツアーのガイドを担当してくれた登山ガイドの岩井美香さん。40歳で登山をはじめて、様々なジャンルの山を登っているうちに山の魅力に魅せられ、たくさんの方に安全にそして楽しい登山を伝えたいと思いガイド資格や山岳指導員の資格を取得。ライチョウガイドとしては数少ない女性ガイドです。

ライチョウってどんな動物?

ライチョウは特別天然記念物で、自然環境が厳しい2,400m以上の高地で生息する高山鳥。古来より日本では神聖な“神の鳥”として敬われてきたため、日本のライチョウは人間を怖がらない珍しい鳥なんだとか。この鳥が今、絶滅の危機にさらされているということで、ライチョウについて知り、私たち登山者1人ひとりの思いやりで守っていくことが必要とされています。

【1日目】いよいよライチョウ観察へ!

白雲荘でガイドの岩井さんと合流し、ライチョウ観察にあたってのルールをレクチャーしてもらい、いよいよ出発です。釈さんは子供の頃からライチョウが生息する山には何度も登っていたけれど、鳴き声だけで、出会ったことは一度もないそう。今回はガイドさんの豊富な経験値と勘で出会いの期待値も上がります。まずは畳平周辺のお花畑を散策。

 

美しい緑と可愛らしい高山植物が咲くお花畑は、歩いているだけでとても癒されます。しばらくするとガイドさんが立ち止まり、お花畑の中を見つめ、早くもライチョウを発見!とは言えライチョウ初心者にとってはそこからが一苦労。「ウォーリーを探せ」ならぬ「ライチョウを探せ」で、かわいい鳴き声はすれどなかなか見つけることができないのです。この時期のライチョウのお母さんは茶色のまだら模様で、背景と馴染む保護色。赤ちゃんは黄色がかったまだら模様でさらに見つけにくいのです。

そして、見つけました!

 

なんてかわいいのでしょう♡つぶらな瞳とモフモフのシルエットがたまりません。お母さんライチョウと4羽の赤ちゃんライチョウを見ることができ、「絶滅して欲しくない。。」と心から願う瞬間でした。そのために何ができるのか?まずはライチョウ観察のルールをきちんと守ることが大切だとガイドさんが教えてくれました。

・距離感を大切にする
基本的には5m以上の距離をとり、ライチョウが近づいてきても急に動かずに、ゆっくりと離れましょう。

・大きな声を出さない
子育ての時期はお母さんはヒナへ声で合図をしているので、その邪魔になるような声や鳴き真似はNG。

お母さんがびっくりしてパニックになると、ヒナとはぐれてしまい、温度に対する適応能力が低いヒナは寒さで命を落としてしまいます。ライチョウの気持ちになって観察させてもらうことが大切なんだそう。

釈さん親子も、はじめてのライチョウにほっこり。ヒナはお母さんライチョウの周りをヒョコヒョコと走り回り、寒くなったらお母さんのお腹の中へと戻ります。その間もお母さんは危険がないか少し首を伸ばして辺りを見回し、子供たちを守っています。厳しい自然環境や天敵が多い中で子育てする姿に胸を打たれました。

 

つづいて魔王岳まで山登り

名残惜しい気持ちをグッと堪えて、お花畑を後にします。前日にガイドさんがオスのライチョウを見たという魔王岳まで行ってみることに。魔王岳は畳平のバスターミナルから20分くらいで、山頂近くまで階段も整備されているので子供連れでも気軽に登山が楽しめます。

「親子登山の魅力は絆が深まるところ。登山は山に登る以外、他の遊びがないので会話が増えるんです。手を繋いで山を登っている間、ずっとたわいもない会話をしています。絵を描くのが好きな息子が、新緑の緑は柔らかい黄緑色を使うんだよ、とか、さっきの池の色はどうやって作ればいいか?など、子供の瑞々しい感性でいろんなことを吸収しているのが嬉しいんです」と釈さん。

ピンク色の花は高山植物の女王と呼ばれている「コマクサ」

魔王岳山頂に到着!

目の前に広がる雄大で美しい景色や、足元に咲く高山植物に見惚れていたら、あっという間に山頂に到着!残念ながらオスのライチョウには出会えなかったけれど、6歳にしてサクサクと岩場も登る釈さんの息子に一同びっくりな登山でした。

宿での夕食&お風呂タイムで疲れを癒やして

3時間ほどの観察ツアーを終えて白雲荘に戻ります。飛騨の家具が趣深い食堂で、お待ちかねの夕食タイム。こんな美味しいご飯が山の上で食べられるなんて驚き!というくらい美味しいすき焼きをいただきました。

そして驚いたのが、お風呂に入れること。水が貴重な高山で入るお風呂はなんと贅沢なことか。ヒノキチオール豊富なヒバ材を使用したお風呂で、芯からぽかぽかに。外気温10℃を下回る中でも、ぐっすりと眠りにつくことができました。

 

ライチョウツアー2日目

21時就寝の3時半起床と、ご来光に備えてものすごい早寝早起きをしたけれど、この日はあいにくの天気でご来光登山は中止に。

ゆっくり朝食をいただいてから、ガイドの岩井さんに白雲荘の館内ツアーをしていただきました。

白雲荘の入り口や廊下に貼られている資料は、全て白雲荘のスタッフの方の手作り!高山に生息する動物たちの大きさ比べや、ライチョウの春夏秋冬の様子など、わかりやすくて大人も子どももついつい見入ってしまいます。

雨の大黒岳へ

雨が小降りになったタイミングでライチョウツアーに出発。乗鞍最高峰の剣ヶ峰登頂は残念ながら断念して、30分弱で登れる大黒岳まで登山することに。ガイドさんをはじめ山のプロたちが、天気や山のコンディションを考慮してツアーを遂行してくれるので、雨の中の登山も安心。傘もささずに雨の中を歩く機会も普段はなかなかないので、6歳の童心に帰って楽しむことができました。

大雨の日のライチョウは、ハイマツという常緑低木の下で雨から身を守っているそう。大人の腰下くらいの高さのハイマツ群の山道を歩きながらライチョウを探しましたが、ガイドの岩井さん曰く「今日のライチョウさんはかくれんぼがお上手!」とのことで見つけることはできませんでした。でもライチョウがついばんだ植物や、ライチョウの羽を見つけて、彼らの気配を感じることはできました。

釈さんの息子とお話ししているのは、山のプロの1人でもある白雲荘のオーナーの小林さん。白雲荘でのおもてなしだけではなく、今回のツアーに同行してくれて、山の動物や植物の名前をすべて教えてくれる博士っぷりは、6歳男児の憧れの的でした。

別れ際には名残惜しそうに「また絶対登りに来ます!ライチョウにもまた会いに来ます!」と山の男の固い約束を交わしていました。

【番外編】釈さんの山ファッションチェック

STORYとして気になる釈さんの山ファッションについて伺いました。

ライター木村

二日間ともとてもおしゃれなウェアでしたが、山に登るときのファッションでこだわっていることはありますか?

釈由美子さん

機能性が高いということはもちろんなんですが、山ファッションはなるべくカラフルできれいな色を取り入れたいと思っています。 今日着ているパタゴニアはファミリーで着られるラインナップが豊富で、いつか息子と山に登るときにお揃いで着たいなと思ってたんです。おしゃれなだけでなく、リサイクル素材を使用していたり、使い捨てではなく何年も着られるように修理ができたりと、自然環境にも配慮されているので、そういう視点でも選ぶようにしています。

ライター木村

なるほど!自然環境にも配慮した服選びが、絶滅危惧種のライチョウを守ることへとつながる一歩なのかもしれませんね。

 

撮影/BOCO   取材/木村まい

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