【性教育ワーク連載vol16】大好きすぎて束縛しちゃう?もしかしてデートDVかも?子どもと一緒に、恋人との付き合い方を考えてみよう

親子の15分性教育ワーク。前回はデートについてでしたが、今回は付き合っている中で起こる暴力、デートDVについてがテーマです。

「恋人とは毎日会いたいし、どんなことでも包み隠さず共有したい!」
「一緒に過ごすのは楽しいけど、別々の時間も大切かな」
「付き合っているけど、お互いの友達とかよく知らない」

こんな風に、恋人との付き合い方や恋愛へのスタンスは、ひとりひとり全然違っています。

「この付き合い方が健全!」「この恋愛が理想形です」と決めつけることはできません。でも、どんな付き合い方であっても、相手を束縛したい気持ちや、言いなりにしたい気持ちが出てきて、支配的な関係性となり、暴力が起こることがあります

たとえば、大好きな恋人がいて、付き合い始めたうちは、「一緒に過ごす時間が本当に好き。もっと一緒にいたい!」と考えていたのが、「いつも、ふたりきりで過ごしたい」と強く思うようになり、相手を束縛したい気持ちがうまれて、スマホの自分以外の連絡先を消させたり、友達や家族と過ごす時間を無くしたりするよう相手に要求する。

他には、はじめは「キスしていい?」「セックスしない?」と同意を取っていたのが、付き合いが長くなるにつれ、ふたりで会ったらするのが「定番」となって、同意を取らなくなる。そして、ひとりは「付き合っているから、セックスはして当たり前」と考え、もうひとりは「付き合っているから、自分が嫌でも相手に求められたらセックスしないといけない」となり、同意の無いセックス(つまり性暴力)が繰り返される。

このような恋人間で起こる暴力は「デートDV」と呼ばれています。内閣府の調査(男女共同参画局、男女間における暴力に関する調査、令和2年度)では、女性の16.7%、男性の8.1%は「交際相手から被害を受けたことがある」と回答しています。

デートDVは異性間でも同性間でも、性別に関係なく起こります。ちなみに、上にあげた調査の名称は「男女間における」となっていますが、同性間についても調査されています(性別を限定する名称を変えてほしい)。

今回は親向けパートで「デートDV」についてふれ、その後、親子で一緒に考える内容になっています。

この記事の中は「デートDV」、つまり暴力について扱っています。もし記事を読んでいるうちに苦しくなるようなことがあったら、記事を読むのをやめ、いったん休んでください。また、記事の最後には相談先を載せてあります。

それではワークをはじめましょう!

今回の15分ワークのお題

【親向け】
①デートDVにはどんなものがある?
②デートDVはなぜ起こる?
③二次加害ってなに?
④子どもからデートDVの話を聞いたら

【親子で一緒に】
⑤ふたりきりの世界ってヤバくない?
⑥束縛に気を付けて!
⑦相談先・もっと知りたい人向けおすすめ動画

【親向け】①デートDVにはどんなものがある?

DV(ドメスティックバイオレンス)は結婚や事実婚など、一緒に暮らしている人の間で起こる「暴力」で、デートDVは付き合っている人の間で起こる「暴力」です。DVもデートDVもその構造や種類は似ている点が多いです。

「暴力」と聞くと「なぐる、ける」といった身体的な物が思い浮かぶかもしれませが、色々な種類があります。

下に実例を挙げますが、ひょっとしたら「これは普通の恋人間のトラブルじゃないの?」と思うものもあるかもしれません。デートDVは(DVも)、日常生活のやりとりの中に紛れているので、暴力だと認識されづらいものがあります。

<身体的暴力>
・相手をなぐる、ける
・髪の毛をひっぱる
・部屋にとじこめる
・なぐるふりをして威嚇する

<精神的暴力>
・どなる
・「バカ」「ブス」などの言葉で侮辱する
・無視する
・「言うことを聞かないと別れる」「別れたら死ぬ」と脅す

<性的暴力>
・同意の無いキスやセックス
・避妊に協力しない、繰り返し中絶させる、妊娠の責任を取らない
・裸の写真をSNSで送るように要求する、無理矢理裸の写真を撮る

<経済的暴力>
・一方的におごらせる
・借りたお金を返さない
・無理矢理仕事をさせる、仕事をやめさせる

<強い束縛>
・スマホの着信をチェックする
・友だちづきあいを制限する
・SNSや電話で頻繁に連絡し、返信がないとキレる
・一日の行動をすべて報告させる
・遊びに行く時に許可を取らせる

【親向け】②デートDVはなぜ起こる?

デートDVを起こす人は、暴力を相手にふるうことよりも、相手を自分の思い通りにすることが目的です。そして、「相手が悪い」「何度言っても直らないから」と、デートDVを正当化し、被害を受けた人に責任をなすりつけます。

デートDVは支配的な関係の中で生まれます。支配的な関係ができあがる原因のひとつに、「女らしさ・男らしさ」の植え付けがあります。いまだに「男性は女性を守らないと」「男性は女性にやさしくしないと」「男性は女性をリードするもの」という意見を聞きますが、恋愛関係に上下の関係、支配的な関係を作り上げ、暴力が起こりやすくなります。

また、「付き合っているからキスとかセックスをしてあたりまえ」「激しい恋愛が最高!」「恋人がいないと周りからバカにされるから、暴力振るう人でも仕方ない」という恋愛に対する思い込みがあると、暴力が起こりやくなります。

【親向け】③二次加害ってなに?

デートDVもDVも、「暴力」は起こした人に責任があり、「暴力」を受けた人は悪くなりません。

けれども、自分が受けている暴力について友達や家族などに相談した際、「愛されている証拠」「みんな我慢しているよ」「おおげさじゃない?」「自分にも悪いところがあるのでは」と言われ、暴力を無かったことにされたり、小さく扱われたり、責任を押し付けられたりされてしまうことがあります。このように相談した先で受ける加害を「二次加害」と言います。

二次加害によって「自分が悪いんだ」と傷つく人や、勇気を出して相談したのに否定されたことで助けを求められなくなってしまいます。

【親向け】④子どもからデートDVの話を聞いたら

デートDVは、被害を受けている人が「暴力」だと気付かず、「恋人間ではよくある話」「恋愛ってこういうもの」のように感じていることがあります。

だから子どもからデートDVの話を聞くときは、はっきりと困り事として話されるとは限らず、「最近会ったできごと」「笑えるできごと」として話すかもしれないし、本当は自分に起きたことを「友達から聞いたこと」として話すこともあります。

まずは「話してくれてありがとう」と言い、子どもが「困り事」として認識しているなら、一緒に解決策を考えていきます。もし「暴力」と気づいてないようなら、話を詳しく聞いていきます。

避けたいのは、一方的に自分の考えを押し付けること。いきなり「それはデートDVだよ!」と指摘すると、一方的にレッテルを貼ったように感じとられ、それ以上の相談をしてくれなくなることがあります。

話をよく聞き、専門機関(記事の最後にあります)に相談しながら、解決策を子どもと一緒に考えてみてください。

解決策を考えるうえでの注意点は「デートDVを起こす恋人を変えることはとても難しい」ということ。

デートDVを起こしている人は「相手のためを思って」「恋人のダメなところを直すために」と、暴力を正当化し、「相手にとって良いことをしている」と思い込んでいることが多いです。この考えを改めることは専門家の介入が必要となり、時間もかかります。専門家に介入してもらうにしても、恋人と距離を置くにしても、本人たちだけでは解決できないことが多いので、一緒に考え、支えていきましょう。

それでは、ここから親子で一緒にやるワークです。

【親子で一緒に】 ⑤ふたりきりの世界ってヤバくない?

子どもと一緒にイラストを見て、考えてみてください。

「恋人から『つきあってるんだから、いつもふたりだけでいたいな』って言われて他の友達と遊べなくなったら、どう思う?」と聞いてみてください。

「うざい」「やばいよね」「大好きってことだから嬉しいかも」など、色々な意見が出てくると思います。意見が出てきたら、次へ進みます。

「恋人から『いつもふたりだけでいたいな』と言われたら、嬉しい出来事っぽいけど、一緒に遊ぶ友達がいなくなっちゃうかも。恋人と別れたら、周りに誰もいなくて、困るね」と伝えましょう

そして、「『嫌われたくないな』と思って、恋人の言う通りにしたくなる人もいるけど、イヤな時にはイヤと言って大丈夫。イヤと言ったら怒ったりする人とは別れることを考えた方がいいかもね」と話してみてください。

【親子で一緒に】束縛に気を付けて!

子どもと一緒にイラストを見て、考えてみてください。

「恋人からスマホにたくさん連絡がきてるね。これってどう思う?」と聞いてみてください。

「しつこいね」「なんで、いちいち遊ぶ相手を教えなきゃいけないの」「仲良しなのかな?」など、意見が出たら次へすすみます。

「恋人が今何をしているのか、気になる人もいるんだけど、イラストにもあるように、いちいち聞かれていたらうんざりするよね」と、まずは話しましょう。

また「恋人であっても、自分の全てを教えなくていいし、言いたくないことはいわなくて大丈夫。逆に、恋人だからって、相手のことをなんでもかんでも知ることはできないよ」と伝えてみてください。

そして「恋人を自分の思い通りにしたり、支配したりすることをデートDVと言うよ。友達と遊ぶのを禁止したり、スマホでしつこく情報を聞くのもデートDVだよ。」
「DVの『V』は暴力の頭文字。なぐったり、けったり、怒鳴ったり、相手の悪口を言ったり、無理矢理キスとかセックスするのもデートDVだよ。恋人からそういうことをされているとき、自分だけで解決できないこともあるから、誰かに相談したり、電話とかチャットで相談できるところがあるよ」と伝えてください。

【親子で一緒に】⑦相談先・もっと知りたい人向けおすすめサイトや動画

【相談先】
・DV相談ナビ 連絡先 #8008(『#』を押した後に8008)

内閣府男女共同参画局が行っている相談サービス。配偶者からの暴力(DV)も、恋人からの暴力(デートDV)も相談できます。ここにかけると、最寄りの相談機関の窓口に電話が転送されて、直接相談することができます。

・DV相談プラス URL:https://soudanplus.jp/ 電話:0120-279-889

こちらも内閣府が行っているサービス。サイトからはメールやチャットでも相談ができます。

※性暴力についての相談先は、連載第12回の記事にまとめてあるので、ご参照ください。
https://storyweb.jp/lifestyle/219577/

【もっと知りたい人向けおすすめ動画】
とらきちのおはなし URL:https://kuni-sta.com/2022/01/18/torakitidouga/
ストーリー仕立てとやさしいイラストで分かりやすく解説しています。デートDVとは、DVとは何なのか、なぜ起こるのかについて子どもも大人も学べる内容になっています。
動画の作成は、くにたち男女平等参画ステーション・パラソル。
また、サイトの下の方にある「デートDV防止動画」は、デートDV全体を知るのに分かりやすいです。こちらもオススメ。

お疲れさまでした!

次回は、次回は、自由研究にもおすすめ!「赤ちゃんができる仕組みを、科学的に説明できる?」です。

〈次回へ続く〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

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アクロストン

妻(みさと)・夫(たかお)であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

インスタグラム
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