フジテレビ岸本理沙アナ「緊張は避けられない」と自覚した就職活動

数多くある難関企業や人気の職業のなかでも、特に狭き門と言われているのがアナウンサー。どんなES、どんな自己PR、どんな面接のスタイルの人が実際に合格しているのか。それを知るために、今年の春にフジテレビに入社した岸本理沙さんにお話を伺いました。

家族で囲む食卓に支えられた就活のピンチ

–アナウンサーを志した時期ときっかけを教えてください

学生時代、ラジオ番組に出演していたのですが、そこで伝えることの楽しさに触れて。3年生の初め頃にはアナウンサーを目指すようになっていました。それからいくつかの業界のインターンに参加して、そこでの発表やプレゼンでも、「楽しい」と感じることが多かったんです。もうひとつは、もともと飽き性なので、いろいろな経験ができるアナウンサーという仕事に魅力を感じたのも志望したきっかけのひとつです。

–自己PRはどんなことを話していましたか?

ラジオ番組に出演していた経験を一番にアピールしていました。なぜ伝えることが楽しいと思ったのか、放送を通してなにを感じたか、という内容が中心です。小さい頃に海外で生活をしていたことがあったので、英語が少し話せます、ということもアピールしていましたね。自己PRで話すことは「じゃあやってみて」と言われる可能性があると思って準備をしていて、実際に面接で「英語を話してみて」と言われることもありました。マイナスな一面を聞かれたときには、飽き性であることを正直に話していました。マイナスな面も、面接官の捉え方によってはプラスになるかな?と思って飾らず等身大の自分を伝えましたね。

–アナウンサー就活は狭き門だと思います。なにか就活中に心がけていたことがあれば教えてください

結果が悪かったとしても、なぜ落ちたのか、どこがよくなかったのかを直接言われることがないので、就活中はずっと不安でした。そのため落ち込んだり悩んだりしたことはあったのですが、アナウンサー就活から離れて、もう一度挑戦しようと決意した時はあまり気にしすぎないことを心掛けるようにしました。あとは、よく食べることでしょうか(笑)。実家から通っていたので、家族と一緒にご飯をしっかり食べて、スタミナを切らさなかったのが良かったのかなと思います。

意識したのは「みんなが好きなものを好きになれるか?」

–大変だったことはありますか?

テレビ局のインターンでなかなか思うような結果が出せず、キツイ時期がありました。そこからはアナウンサー以外の職種・業界を見るようになって、他の選択肢も含めて考えていたことも。だけど、このままだと心にモヤモヤが残ったまま消化不良になってしまいそうな気がしたので、もう一度アナウンサー就活と向き合おうと決めてチャレンジしました。

–テレビ業界の就活に向けて意識していたことはありますか?

いろいろなことにアンテナを張ることを大切にしていました。私が当時思っていたテレビ局で求められるものは、新しいものを追い続けられること、人が好きなものを好きになれることの2つが大きいかなと感じていたんです。自分だけが知っている新しい情報も大事だけれど、みんなが好きなものに乗っかって楽しめる感性も大事だろうと…。だからこそジャンルを問わず興味を持っていようとは意識していました。

緊張しても、何事も楽しむメンタルで!

–実際にアナウンサーになられて、印象に残っているお仕事はありますか?

「Live News イット!」のフィールドキャスターとして、2分半くらいの中継のコーナーを代行する機会があったのですが、良い意味でも悪い意味でも印象に残っています。リハーサルなしの本番一発勝負だったのですが、原稿なしで2分半話し続けることはかなり高いハードルのように感じられて。その日が祝日だったこともあり、子どもがまわりにたくさんいたり、思わぬハプニングも発生したり…。とても印象に残っている仕事です。

–生中継のお仕事はかなり緊張すると思いますが…

緊張もしますが、あまり顔に出ないタイプだと言われるんです。ですが、内心はいつも心臓がどきどきするほど緊張しています。それと、不安を感じていたとしても、目の前のことに集中できるようにすると、生中継が終わる頃には緊張していたことすら忘れてしまっているので、「やるしかない!」と腹を決めてカメラの前に立つようにしています。

–就活中も緊張する場面があったとは思うのですが、今振り返ってみていかがですか?

たしかにどんな場面でも緊張は避けられないものですよね。「緊張している自分」を自覚しながら、いかにうまく付き合っていくのかが大切なのかな? 第三者的な視点を持って客観的に自分を見られるようになると、少し落ち着いて話ができるようになると思います。就活中に効果的だったのは、「何事も楽しむ」というメンタルを常に持っていたこと。それが言霊のようになって、緊張した場面でも楽しめるようになったので、ぜひ試してほしいテクニックです。

不安な気持ちを無理に消さないで向き合ってみて

–入社されてから感じた、ご自身のフジテレビらしい部分、また会社の魅力はなんですか?

「何事も楽しむ」という姿勢がフジテレビとフィットしたのかな?と思います。入社してみて、好奇心旺盛な方や、新しいことに挑戦することが好きな方がすごく多いように感じています。「こういうことをやりたい」「こんな夢を実現したい」という熱い思いを持っている人も多く、一緒にいるだけで刺激をもらいますし、自分もなにか新しいものを常に持っていたいな、と思わせてくれる環境です。

–今後やってみたいことはありますか?

これからのことはまだ正直掴めていないんです。自分の適性がまだどこに向いているのかが全然わかっていない状態なので、今はとにかく幅広く仕事をやらせていただきたい、という思いがあります。そして、“置かれた場所で咲く”ではないですが、「岸本にはこれが向いているんじゃないか」と思っていただき、その中でひとつひとつの仕事を大切にしていきたいです。

-最後に、アナウンサーを志望している読者の皆さんにメッセージをお願いします!

就活は不安でいっぱいだと思いますし、実際私も不安でしょうがなかったです。それでも、少しでもやってみたいなと思うことがあったら、後悔につながらないようにとにかくやってみてください。やってみるだけでまた違う世界が見えてきたりもします。不安な気持ちを無理やり消し去るのではなくて、大切に向き合いながら、でもやれることはやってみてください。ぜひ自分がやりたいことに向き合うことを頑張ってほしいです!


フジテレビに今年入社した岸本さんの就活体験記、いかがでしたか? 同期入社の松﨑さんのインタビューと合わせて読み込んで、参考にしてみてください。

写真/沼尾翔平 ヘアメイク/小松胡桃<ROI> 取材/中村有希 編集/岩谷 大