元宝塚スター「男役に徹しなければ!と自分を律する毎日だった」

頼れる〝アニキ〟として花組を支えてきた瀬戸かずやさん。「背中で語れる」ほど細部まで男役を追求した瀬戸さんが今求める、性別を超えた自分らしさとは? 乗り越えてきた試練があるからこその現在を語りました。

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自分らしさを追求して居心地のよいところを見つけたい

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お話を伺ったのは……瀬戸かずやさん

《Profile》 東京都出身。宝塚ファンの母と宙組『エリザベート』のビデオを観て開眼し、2004年、90期生として入団。18年にわたり花組を支える。バウホール等で主演も務め、2021年『アウグストゥス―尊厳ある者―Cool Beast!!』で二番手として退団。愛称は「あきら」。退団後は舞台の他テレビなどでも活躍。男装イケメン女子を演じたドラマ「合コンに行ったら女がいなかった話」(関西テレビ)が話題に。

──宝塚時代、リアルな男性像を極めていた瀬戸さん。かっこよさはそのままに、柔らかさを纏ったような印象があります

男役に徹しなければ!と律していたものが卒業を経てリセットされ、穏やかになったかな。以前は夜活タイプだったんですが、ちゃんと朝起きて日を浴びて、愛犬と散歩する中で四季を感じる。そんな自由な時間の中で少しずつ昔の私が戻ってきている気がします。 もともと私は人の後ろに隠れていたいタイプ。表舞台に出るような性格じゃなくて、宝塚に向いてないのでは、と悩んだ時期もありました。でも今は宝塚で育てていただいた私と元の私がミックスされて、また違った世界が見えてきたのが面白いですね。

──ドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』の男装イケメン女子など、〝花組のアニキ〟がどう進化していくのか楽しみです

〝花組のアニキ〟は退団発表の後、新聞の見出しに書かれた言葉で、組でアニキ~って慕われていたわけではないんです(笑)。でも花組に18年いる中で、そういう存在になれていたのかなとうれしかった。宝塚の男役というのはすごく特殊な業種ですが、そのスキルを持っているってすごいことだなと思います。脚を組んだだけで決まるとか、例えば、手の甲に男っぽいスジを出すために、手のひらをグーでパンチしたり。あのドラマではそういうディテールにこだわったスキルが活かせて表現しやすかった。 女性として生きていくにはそれが足かせになるかなと感じたこともありましたが、ジェンダーレスの時代だし、今は男とか女とかいう前に、一人の人間としてかっこよく生きたいと思っています。最初は女子っぽいファッションにも飛びついたけど、かわいいと似合うは別物だと女子2年目にして気付けました(笑)。

──瀬戸かずやという新しいジャンルが生まれそうですね

宝塚時代から自分らしく、をテーマにしていました。この年齢で女性を学び直すってあまりないですよね。失敗しながら居心地のよいところを見つけられたらと思っています。宝塚時代はありとあらゆる試練を受けて、常に競争があって、どうしてこんな思いをしなきゃいけないの?と感じたことも。でも乗り越えた先に何かあると一生懸命自分に言い聞かせる中で人間として成長できた。それは大きな強みです。

──来年2月に上演される宝塚OGメンバーによる舞台『刀剣乱舞』に光源氏役で出演されますね

宝塚時代はご一緒したことがない方々ばかりで楽しみです。宝塚で『新源氏物語』に出たことはありますが、私はまったく光源氏というキャラではないので、まさか私が?と。楽しんでチャレンジしたいです。

──最後に、瀬戸さんにとって美しい生き方とは?

感謝と笑顔を忘れないことかな。卒業して日がたてばたつほど宝塚への感謝の想いで心が温かくなりますし、日々出会う方々とのご縁もそう。仲間がいると挑み方も異なると思うんです。心が温かく柔らかくなり、自然と笑顔が溢れる。そこから生まれる美しさを大切にしたいですね。

瀬戸かずやさんからのメッセージ

「当たり前だと思っていたことがそうじゃないと、一人で仕事をするようになってわかりました。そういう発見もまた楽しい。宝塚、ファンの皆さんには感謝しかないです!」

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