♡さゆりさん「いっぱい病気と”仲良く”していると、知らないと損することがすごく多いって気づくんです」

数々の不調と向き合ってきた、♡さゆりさんのお話をうかがうと、健康に慢心し、無知に気づかないことの恐ろしさを思い知ります。

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◯ ♡さゆりさん(53歳・漫才コンビ「かつみ♡さゆり」)

1969年7月15日、兵庫県生まれ。2000年、夫婦漫才コンビ〈かつみ♡さゆり〉を結成。借金などに負けないたくましさと明るさで人気を博し、関西では何本もレギュラーを抱える売れっ子に。自身の美容を語った『♡さゆり52歳 生き様ビューティー』(ヨシモトブックス)も好評発売中。YouTube「かつさゆのボヨヨンチャンネル」も大人気。

エストロゲンに振り回されて40年。
病の数だけ増えた
知識と意欲が支えです。

10代のころから婦人科系の不調に悩まされてきました。尋常じゃない生理痛や貧血、生理のときの大出血で何度も倒れていたのですが、ほったらかしにしていたら30代で命が危険にさらされるほどの危機的状況に。子宮筋腫や卵巣嚢腫が見つかったことで手術をする一方で、子宮内膜増殖症にもなりました。極度の貧血やめまい、ナプキンを何枚重ねてもどうにもならない多量の出血、痛み止めを飲んでも効かない痛み、生理が月に2度も来ることも。

お医者様のお話によると私は人よりエストロゲンの量が多かったみたいなんです。ガン化しやすい子宮内膜増殖症の壁を、半年から1年に一度、全身麻酔をともなう治療をするのはどんどん負担になっていったので、11年ほど前にいよいよ子宮を全摘出して婦人科系の不調を一掃しようと決心。レギュラー10本を抱え大忙しの日々でしたが、1カ月お休みをいただいて、いざ入院となったときに、アメリカから新しい治療法のお話をいただいて、子宮摘出ではなく、体内に特殊な器具を入れて対処することになりました

–「女性ホルモンとワタクシの人生は切っても切り離せません」と話す♡さゆりさんは、関西を中心に大活躍の夫婦漫才コンビ、かつみ♡さゆりのメンバー。その明るさとキュートさで今改めて注目の存在です。そんな元気印の♡さゆりさんが活躍の裏で壮絶かつ複数の病と向き合っていたとは驚きです。「不調があったら早めに病院へ行けば大事には至りません。私みたいな思いをしないためにも皆さんはなるべく早く検査をしてほしい」と言います。

運よく器具を入れることができて、10年間は生理もおこらないおかげで、ひどい痛みや貧血からも解き放たれて体が楽になりました。10代、20代の時より元気満タンな40代でした。

でもエストロゲン過多、というぐらいですから生理は止まっていても女性ホルモンはちゃんと出ているんだろうと勝手に思ってたんです。ちょうどここ2〜3年、一時期落ち着いていためまいが起き始め、不眠や中途覚醒、吐き気みたいな更年期症状があらわれるようになっておかしいなと思い始めていた頃でもあり、器具の寿命が10年ということだったので、1年前に新しいものに入れ替える手術を検討したときに、女性ホルモン検査(*1)してみたらなんと、エストロゲンの分泌を示す数字が10・00以下! つまり測定不能って出たんです。

もうエストロゲンが出ていないわけですから器具を入れなくていいのは良かったけれど、30代や40代、場合によっては50代でも250くらいある人もいるのに、ワタクシはほぼゼロ。本当にショックでした。

そこで婦人科の先生に掛け合ったのが「ホルモン補充療法」。エストロゲンが出ていないことでおこっている更年期症状を改善したくてお願いしたら「♡さゆりさんは婦人科系の問題が多いからホルモンを補充するとあまりよくない影響があるかもしれません」と言われてさらにショック!

だってエストロゲンが出なくなるといろんなところに影響が出るイメージ。体の不調もそうですが、何より私の大好きな美容にもめちゃんこ影響しそうで、そこから必死です(笑)。

【*1】 女性ホルモン検査

血液検査して血中のホルモンを調べる検査。女性ホルモンのE2(エストロゲン)、P4(プロゲステロン)、性腺刺激ホルモンであるFSH(卵胞刺激ホルモン、高いと脳下垂体がバグっている)、LH(黄体形成ホルモン)、卵巣機能に影響する下垂体ホルモンPRL(プロラクチン)の5種類。これらによって更年期の体の状態や月経異常、不妊症などいろんな不調の原因が判明することも。

◇ 女性ホルモンが減ると顔の骨から土砂崩れに! 世の天才たちが作ったものを「ご利用様」して

骨の密度が弱くなるのは美容的にも問題。特に顔の骨、目のまわりは穴が開いているから骨がやせていきやすい。頑張って高い化粧品を使ってもそれを支える骨が崩れだすと元も子もない。だってお家でも土台、基礎工事がちゃんとしていないと素敵なお家にならないですもんね。

ワタクシ、女性ホルモンの影響で本当にいっぱい苦しい思いをした結果、逆にめちゃくちゃ勉強していろんなことを知りました。骨についても「骨美容」としてYouTubeにアップできたので、これは STORY読者の方にはぜひ知ってほしいです。

「更年期症状? 自分には無縁だわ」なんて油断しているとタイヘン。ぜひ、自分の体と真剣に向き合って少しでも違和感があったら婦人科へ行って相談して、エストロゲンを補ってほしいです。なくなった物は、よそから頂いちゃえばいいんです。それを私は「ご利用様♡」って呼んでます(笑)。

◇ いくつもの婦人科系病のためにホルモン補充療法は断念! 今は〝必死のパッチ〟で食品からイソフラボンを摂ってます

–「算数や理科は苦手だった」と言いながら、医学的エビデンスに詳しい♡さゆりさん。「健康なら無頓着でいられたかもしれないけど、これだけいっぱい病気と仲良くしていると自然に勉強するし、勉強すると世の中、知らないと損することがすごく多いって気づくんです」と言います。

今感じている更年期症状も、20代の頃の毎日世界が歪むような、まっすぐ歩けないくらいのめまいや貧血に比べたら全然軽いもの。いっときは明石家さんまさんが司会の収録番組で不正出血し、座っていた椅子が血まみれになって立つに立てなくなったこともあります。

でもさっきお話しした骨美容もそうですけど、今って良い時代です。世の中にはたくさんの天才たちが素晴らしい商品を作ってくださるからどんどん「ご利用様♡」すればいいって思うんです。

私は10年後の自分に褒めてもらうために今日できることを頑張っています。自分の体の仕組みを知るのって、すごく面白いです。20代はダイエット目的で摂っていたサプリも今は骨や血液サラサラ、骨のためのカルシウム高いコレステロール値を下げるために摂っていて、そんな変化も楽しい。

ワタクシは最近親に認知症の傾向が出たことで自分もMCI検査(遺伝性腫瘍をスクリーニングする検査)したらアルツハイマー型認知症将来リスクめちゃんこ高し、という結果が出て、必死のパッチでトマトを食べて、脳の血流を良くするようにしていますし、エストロゲンが補充できないので、イソフラボンは大豆製品やサプリで補っています。足りない物は何でも補えばいいんですよ。中途覚醒で夜中に目が覚めた時も「これは保湿タイムだわ」と思って乾いた肌にクリームを塗りこむ時間にあてられるし(笑)。

毎日変わっていく顔や肌に対応していくのも生きていくモチベーションの一つ。人生におけるマイナスな出来事も全部新しいことを知るきっかけと捉えると面白いんです。

今、母に認知症の傾向が出て心配していますが、親は子供を自立させた後も、老いていく姿を子どもが見ることで子どもは勉強させてもらうことができると感じています。どんなことも神様からのギフトなんやなあと思います。

それと、波瀾万丈すぎるけれど、愛する旦那様・かつみさんと一緒にいる時間の幸せも人生のギフト。基本、お仕事へはかつみさんの運転で向かうのですが、その道中に季節を感じたり、サービスエリアに寄り道して蒲鉾などを食べるのも楽しみ。一緒に美術館を巡ったり、家で映画やドラマを観てゆっくりしたりするのも生きる意欲の源だし、ピアノを弾く時間も好きだし、永遠の推し・天海祐希様のご活躍を見守るのも生きがい。大好きな人と大好きな仕事をしながら健康&美容オタクを極めるなんて最高の贅沢ですから、多少の不調もボヨヨーン、どんとこい! なんです

撮影/前川政明 ヘア・メーク/加納真由美 取材/柏崎恵理 ※情報は2023年2月号掲載時のものです。
服はすべて♡さゆりさんの私物です。

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