「30代が転職を考えた時に、まず知っておくべき3つのこと」働き方のプロに教えてもらいました

編集部では毎月、〝読者調査=略して読調〟としてCLASSY.世代の女性にお話を伺っています。まずはファッション中心にお話を聞くのですが、いつも行きつくのがキャリアのお悩み。転職する?昇進は?結婚出産のタイミングは?…そんなリアルなお悩みを先生にぶつけてみました。

転職する?出産のタイミングは?昇進する意味って…?

【お悩み】転職はやっぱり、35歳までにしたほうがいいですか?

通信大手企業に新卒で勤めて10年目、32歳です。営業をしてきましたが、今後の展望がいまいち掴めず、かといって何か専門的な技能があるわけでもなく…転職しようか迷っています。待遇に不満はありませんが、業務にも周りにも慣れ、やりがいなどは正直ありません。それでもこのまま今の会社にいるべきでしょうか。したいこともハッキリしませんが、転職はやはり35歳までにしたほうがいいのでしょうか。(32歳・通信関連勤務)

【タナケン先生がお答え】〝or〟ではなく〝and〟で考えよう!

副業やオンラインセミナーなどでお試ししてみる

転職を見据えるなら、まずは副業で試してみるのも手。副業制度を利用して、本業をやりながら、つまみぐいする。それで上手くいったら転職を決めるひとつの材料になりますよね。時代的にA社からB社へという意思決定はちょっと古い。今はA社にいながらB社もやる、“or”ではなく“and”思考が浸透しつつあります。ですが、キャリアに悩む人はどちらかしかできない、と決めつける人が多いんですよね。例えば子育てか仕事かではなくて、子育てしながら仕事もする。キャリアは二択ではなくグラデーションでいい。そういう価値観を意識すると、キャリアの悩みや苦しみも軽減できるはず。そして、会社にいながら半歩外に出てみると、本業で働く自分を客観的に捉えられます。中にいるだけでは絶対に見えない部分にも気付ける。そして、外に目を向けると本業が楽しくなることも。副業が難しい場合は、オンラインセミナーのような越境学習でもボランティアでもいいですね。少しだけ外に出て視野を広げると転職がより具体的になる。転職とは、まっさらな状態で清水の舞台から飛び降りるような話ではないんです。この相談者にもCLASSY.読者のみなさんにも、もっと柔軟にキャリアの意思決定をしてほしいと思います。

持続可能なキャリアのため、〝やりたくないこと〟を知りトリートメントしよう

キャリアにおけるひとつの成功は持続すること。今は人生100年と言われて、働く期間も長いですよね。その中でキャリアを持続するためには、“やりたいこととやりたくないこと”を把握しておくことが不可欠です。つい自分ができることにフォーカスしがちだけれど、できない・やりたくないことも知り、メンテナンスしていい状態を持続させていく。私も自分なりに“やりたくないこと”を決めていて(たとえばお付き合いのゴルフや、自分が出なくてもいい長時間の会議など)、それはしません。人それぞれにしたくないことは違うので、自分でそれを自覚しておくことが大事。現代社会の情報量だと偶然にいい状態になるのは結構難しいと思うんです。しかも、内的なキャリアにおける心理的幸福感は、周りから与えられず、自分で育てるしかない。だから、髪や肌をいたわるようにキャリアもトリートメントが必要なんです。CLASSY.読者のみなさんは美容や健康など自分をトリートメントすることは得意なはず。自らの声を聞き、どういう状態が理想なのか検証することもぜひやってみてほしい。

自分のキャリアのデザイナーは自分です。組織に貢献しようと思うからどうしても他人軸で働いてしまうけれど、忘れてはいけないのは自分軸。長く会社という組織にいると洗脳されてしまいがちだけど、人生の時間の使い方をよく考えてみてほしい。30代なんてまだ、ポテンシャルしかありませんよ!“無理をしない”と“何もしない”は全然違います。無理をしない中で自分を整える。それを続けることで必ず結果はついてきます。

タナケン先生からのアドバイス

キャリアもトリートメントが必要です!

1.まずは今の会社の中で宝探しを2週間やってみよう
2.次は社内にいながら、ピボット(副業)してみよう
3.その後に転職を考えよう

教えてくれたのは…

田中研之輔/1976年生まれ。

田中研之輔/1976年生まれ。法政大学キャリアデザイン学部・大学院の教授でありながら、社外取締役・社外顧問を31社歴任。企業研修・セミナー登壇は200社を超える。近著に『キャリアの悩みを解決する13のシンプルな方法 キャリア・ワークアウト』(日経BP)。

専任講師着任3年後、外に目を向けたことで本業の楽しさを再確認
キャリアの停滞を感じ、社外顧問を始めた頃。複数の役割を持つことで働きやすさも向上。

撮影/杉本大希 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc