「大人で承認欲求が強すぎる人に起こる悲劇」心理学のプロに聞いてみた…

「承認欲求」=マイナスなイメージがあるかもしれませんが、自分や相手の「認められたい」気持ちをきちんと理解して上手に付き合えば、コミュニケーションを円滑にしてくれる側面も。SNS全盛のいま、切っても切り離せない「承認欲求」のトリセツをお届けします。

「承認欲求」って結局なに?専門家にお話を聞きました

そもそも「承認欲求」ってなに?なんで強くなっちゃうの?ないほうがいいの?「承認欲求」にまつわる疑問や「自己承認欲求」「他者承認欲求」について解説します。

\「承認欲求」とは…【自己承認】+【他者承認】この2つを求める欲求です/

    そもそも「承認欲求」ってなに?

    【自己承認欲求】人が「この世で一番認められたい人」は自分自身
    人は「自分から認められたい」という欲求を無意識的に持っていて、これを「自己承認欲求」といいます。実は人が「この世で最も認めてほしい人」は自分。自分を認められない人は自分で満たせない欲求を他者に求める「他者承認欲求」が強くなるという相関関係もあります。しかし、他者からどれだけ認められても、自分が自分を認めてあげなければ、結局は幸せにはなれません。「自分で自分を認める」ということはある意味、他者から認められることよりも重要だと言えるでしょう。

    そもそも「承認欲求」ってなに?

    【他者承認欲求】周りの人から認められたいのは「人間の基本的欲求」です
    アメリカの心理学者マズローが提唱する人間の基本的欲求は①生理的欲求②安全欲求③所属と愛の欲求④承認欲求⑤自己実現欲求の5段階。承認欲求は4段階目に分類されています。「他者承認欲求」とは「他者から認められ、尊敬されたい」という気持ちのこと。具体的には「話を聞いてほしい」「共感してほしい」「褒めてほしい、高く評価してほしい」「自分の考えを肯定してほしい」「苦労や苦しみをわかってほしい」「気にかけてほしい、かまってほしい」などがあります。

承認欲求が強くなる理由、強すぎると?逆に承認欲求がない人は?

    そもそも「承認欲求」ってなに?

    「承認欲求」が強くなる理由は?
    最も認めてほしい存在である自分が自分を認めてあげないと強い欲求不満状態に。この欲求不満を解消するために自分以外の人=他者からの承認欲求が強くなります。他者から認められる機会が十分ある人はそれほど他者承認を必要としませんが、認められた経験が少ない人はより承認欲求が強まります。他者から認められ承認欲求が満たされると快の刺激をもたらすため、また味わいたい、もっと強い刺激を味わいたいと承認欲求が強くなることも。SNSは〝いいね〟で承認が手軽に得られますが、過度に快の刺激を求めて中毒的になる点に注意を。

    そもそも「承認欲求」ってなに?

    「承認欲求」が強すぎるとどうなる?
    自分をアピールしないと認められない、言った者勝ちという文化の国がある一方で、村八分を恐れて周りの目を気にする文化が刻み込まれている日本人は相手のエゴを繊細に感じ取る傾向が。相手の「認められたい」というエゴが見えると嫌悪感を覚えて距離を置こうとする人も多いのでは?
    称賛を求めてアピールや自慢をするのはほどほどにして、その気持ちをモチベーションに変換して仕事に取り組むなどうまく活用させたいところです。

    そもそも「承認欲求」ってなに?

    「承認欲求」ってゼロのほうがいいの?
    承認欲求はネガティブな面だけではなく、人生に彩りを与える側面も。承認欲求がゼロだったら、褒められても認められても嬉しくない、ということになってしまいます。また「人からどう思われようがまったく気にしない」人はどんな行動を起こすかわからない場合もあるため、承認欲求が健全な社会生活を送る上での制御機能を果たしているという側面も。相手の承認欲求を満たす関わりは心を開き、関係を深めることができるコミュニケーションツールにもなります。承認欲求は上手に付き合えばメリットもあるものなのです。

お話を伺ったのは

藤田耕司さん・日本経営心理士協会 代表理事
経営心理士、公認会計士、税理士。19歳から心理学を学び、1,200件超の経営指導の経験を基に成果を出す人の行動を心理学的に分析し、経営心理学として体系化。その内容を指導し、経営改善の成果を高める。その手法を伝える経営心理士講座を開講。メディア取材も多数。

イラスト/つぼゆり 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc