吉田沙保里さん これからの人生、恋も仕事も 「つよメンタルで!」

STORY5月号で「つよメンタルのつくり方」が話題となった吉田沙保里さんのインビュー記事で、語り尽くせなかった話を深掘りします!

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元女子レスリング日本代表 吉田沙保里さん 40歳

「ライバル」の存在が 私を強くした!

―――本誌で語られた“心を強くするのは負けを含めた経験のみ”という言葉がありましたが、その背景にあったものは何でしょうか?

心技体の中で心を鍛えることが一番難しく、そこを強くするのは経験のみという話しをしましたが、その経験の中にはライバルの存在というのも大きかったんです。
私にとって当時のライバルは、憧れの存在でもあった、現在、メジャーリーグでご活躍のダルビッシュ投手の奥様でもある山本聖子さんです。三階級で4度の世界王者になった、圧倒的な女王でした。
自分が調子が悪くて練習したくないと思ったり、少しでも怠けたいという気持ちになったときでも、ライバル達は休まずに練習していると思うと自分も負けてられないっていう気持ちになるし、苦しいのは自分だけじゃない。同じように苦しいメニューをこなしていると思うと、気を抜けなかった。
ライバルとは現役中も会話をすることはなかったです。仲良くすると戦いにくいですからね。全日本合宿だと、違う所属の選手とも一緒ですが、そこでも話すことはほとんどなかったですね。

―――越えたいライバルでもあったダルビッシュ聖子さんですが、本誌での出演をインスタにアップした後、一番にコメントしてくれているという関係も素敵です。
当時の練習は今とは違っていたとのことですが。

時代が違うと言われたらそうかもしれませんが、当時は「休みたい」なんて、絶対に言えなかった。体調が悪くてもよっぽどの高熱か、怪我をしていない限りは練習を休むことはできなかったですね。休みが決まっていても、突然練習に切り替わることもあるので、ライブのチケットを取って楽しみにしていたのに行けないとか、日常茶飯事で。
今は、「休んでいいですか?」ではなく「休みます」と自分で宣言すると聞いています。時代的にも、厳しさが場合によっては問題になるので、そこは難しいですよね。
監督も先輩も当時はとても厳しかったのですが、私としてはそれがあったから強くなれたし、自分にも厳しくなれたので、絶対的な存在がいたというのは、とてもありがたかったです。

―――父であり指導者でもあった吉田栄勝さんが吉田さんをレスリングの道に導かれましたが、親のひいたレールをどのようにしてご自身のものとされたのでしょうか。

家が道場で兄弟もレスリングをしていたので、自然な流れでレスリングを始めましたが、最初はやらされている感じでイヤイヤでした。
小学校までは夢も目標もなかったのですが、柔道の谷亮子さんがオリンピックでメダルを取った時に、初めて「オリンピックで金メダルを取る」と目標が定まりました。そこからは自分の意思で努力するようになりました。
でも進む道は全て父に従っていました。高校も大学も自分は違う学校への進学を考えていたのですが、父には先見の目があり、従ったことが良い結果につながったので、本当に感謝しています。父が華のある人生にしてくれたと思っています。父は生前、「華のある時にレスリング人生を終わらせてあげたい」と母に話していたようで、本来なら勝ったまま引退できたらよかったのですが。
父の教えとして「人にだけは絶対に迷惑かけるな」というのがあったので、現役時代も引退後も常にそれは忘れずに、自分の決めたことは最初から最後まで責任をもって全力でやると決めています。

―――落ち込んだときやイヤな思いをしたときにはどのように気持ちを切り替えていますか?

私、落ち込むことがないんです(笑)。
好きな人に振られて落ち込むことはありますけど、それはそれで仕方がないですよね。私じゃなかったんだと思うしかない。
切り替えは天下一品なんです。
そのコツは……、わからない! なるようにしかならないと思っているから。失敗したら、なぜ失敗したかを考えて、次に同じ失敗をしなければいい。常に次を見るということですかね。
大切なのは全力でできているかどうかだと思います。できていないから、後悔があるので。
迷惑をかけなければ、人にどう思われようが、自分が満足できるならそれでいいと思うんです。
どう思われてもいいと言いつつ、私、以前はずっとエゴサーチしました(笑)。
アンチコメントにへこむこともありましたけど、それも書かれているうちは「吉田沙保里」を意識してもらえてるんだと思えるようになって。
アンチコメントは探すから目にとまるので、探さないのが一番ですよね。

新たな夢は 「家族を持つ」ということ

―――家族を持ちたいという新しい夢があるということですが?

なかなか出会いがないんですよね。
私がいいなと思うとだいたい既婚者か彼女がいる。私がいいなと思い、そして相手もいいなと思ってくれる、そんな相思相愛の人とはなかなか出会えないんです。
でも50歳でも60歳でも初婚という人もいますしね。
友達には「忘れた頃にできるよ。」って言われますが、全然来ない。忘れてないのかも(笑)。でも諦めないですよ。
子どもも欲しいし、パートナーも欲しい。子どもを求めなければ急がなくてもいいんですけどね。いつかは、家族を持ちたい、というのが今の夢です。

撮影/西崎博哉(MOUSTACHE)ヘア・メーク/森ユキオ(ROI)スタイリスト/石毛のりえ 取材/小仲志帆

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