【窪塚洋介さんインタビュー】齊藤 工監督作品『スイート・マイホーム』でホラー・ミステリー映画に挑戦!

俳優としてはもちろん、レゲエDeeJay、執筆など多岐にわたり活躍している窪塚洋介さん。9月1日公開のホラー・ミステリー映画『スイート・マイホーム』の出演を前にCLASSY.ONLINEに窪塚さんが初登場! インタビュー前編では今回の映画についてのお話を中心に伺いました。

――神津凛子さん原作のホラー・

――神津凛子さん原作のホラー・ミステリー小説を映画化した作品。参加した感想を教えてください。
内容的には、歯止めがきかなくなった人間の怖さというか。自分の家という身近な距離感で起こる怖さを描いている。「こんなこと本当に起こるの?」って思う話ではあるけれど、リアリティを持って人間の欲望の果てみたいなものを描いてるので、お化けが怖いとか暴力が怖いとかっていうことはあれど、結局、「それぞれの人の心の在り方みたいなものが一番怖い」というのを上手に描いてらっしゃるなあと思いました。

――窪塚さんが演じたのは主人公の兄で、見えない何かの監視の目に怯えて引きこもっている清沢 聡。監督は俳優でもある齊藤工さんでしたが、演じてみていかがでしたか? 
普段、演じることがほとんどなかったタイプの役だったので、脚本を読んだときにすごく面白そうだなと思いました。「こういう人間を俺だったらどういうふうに演じられるかな。今作の素材として、どこまでできることがあるかな」っていうのは楽しみだった反面、「どこまで、どういうふうにやればいいんだろう」という怖さは正直あって――。そこは齊藤監督にゆだねたというか。クランクイン初日に「自分が思ってる感じでやるけど、その方向ではないということなら、何の忖度もなしにどんどん言ってください」って話してから最初のシーンを撮ったんです。だからそのさじ加減は監督に任せて、不安をぬぐって、やるべきことをやりました。

――聡の見た目は少しおどろおど

――聡の見た目は少しおどろおどろしい感じですが、目や体の動きなどディテールは齊藤監督の演出ですか? それとも窪塚さんの提案でしたか?
話が重複しますけど、まずは僕が提案してやってみて、そうじゃなかったら言ってくださいと伝えていました。体が揺れてしまうとか指がすごく動いてしまうのも、そのさじ加減については微調整程度でしたが監督にゆだねていました。自分では観終わった後に「ちょっとやり過ぎたかな?」(苦笑)って感じはしたんだけど、さっきも言ったとおり初日の時点で「そのへんは監督に任せるね」ってことで始めたので。
 
――「怖い話を撮っていたけれど、齊藤監督の演出の仕方がとても心地よかった」とコメントしています。どんなところが心地よかったのでしょうか。
まず演者でもあるので、演者の気持ちがすごく理解できるじゃないですか。かつ映画が好きで、監督という裏方の立ち位置でスタッフの気持ちもよくわかってるので、そのバランス感覚がいい。もともと自然体で、出すぎず、出なさすぎもせずっていう絶妙なところにいる人なので。現場でもそのままの自然体でいるってことが、演者側にもスタッフ側にもいい影響を及ぼしていたと思いますね。あと、僕も好きなんですけど、奇しくも彼も腸活だったり微生物や発酵食品に興味があって、現場のみんなに腹巻きを配ったり、味噌汁がいつも用意されてたり。みんなの腸内環境を考えている(笑)。今までそんな現場はなかったので。どんな人間も分け隔てなく腸が大事なんですよ。そういうことで根本的にポテンシャルを上げて、いいパフォーマンスをするということにも監督は着眼して現場を作ってました。それをプロデューサーたちにかけ合って、形として現場に落とし込んでる姿も素敵だなと思ったし、そういう意味での心地よさや安心感がありましたね。

――今作の窪塚さんへのオファー

――今作の窪塚さんへのオファーも齊藤監督のたっての希望だったとか。もともと齊藤監督とは仲が良かったんですか? 
最初に会ったのは約4年前のインディードのCMでした。そのときからの縁なんです。それからLINEで連絡を取るようになって、俺がやってるYouTubeで腸活や微生物の話をすると「僕もそう思います。知れて良かったです」ってレスポンスをくれてたんです。彼がいいと思ったものを俺の誕プレに送ってくれたりしていたので、交流はありましたね。飲みに行ったりしたのは、今回の現場で一緒になってからですが。

――主人公であり、聡の弟・賢二

――主人公であり、聡の弟・賢二を演じた窪田正孝さんとの共演はいかがでしたか?
もちろん芝居もすごくいいんですけど、芝居をしやすい現場を自然体で作ることができる人だと思いました。俺は30歳過ぎてから、意識的に現場を作ることができるようになったんですよ。20代前半とかはもっとオレオレというか自己中な感じだったと思うんですけど、自分が芝居をしやすい状況をつくることが現場を作ることであって、それが自己中心的じゃなく、それこそ工の味噌汁みたいにみんなのポテンシャルが上がるような温度感の現場にする。自分の態度でもいいし、言葉でも行動でもいいし、ちょうどいい温度感の現場を作る作業が大事だなと思うようになったんです。窪田も工もそれを自然にやってるなあと思いましたね。子役の子が結構大変だったときもあったんだけど(苦笑)、誰も嫌な顔せずやっていて「すごい忍耐力だな。腸が整ってるな、俺もまだまだだな」って思ったり(笑)。ちなみに窪田も腸活に詳しいです。工と窪田のツートップなら大丈夫だと思ったし、すごく優しく懐深く子役と接しているのを見たらすごいなと思った。俺はちょっとイラッとなってしまったけど(笑)。

窪塚洋介
‘79年5月7日生まれ 神奈川県出身 血液型 O型●’95年ドラマ『金田一少年の事件簿』で俳優デビュー。’00年ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で注目される。’01年、映画『GO』に主演し日本アカデミー賞新人俳優賞と最年少で最優秀主演男優賞を受賞。その後も数多くの映画に出演。‘17年『Silence -沈黙-』でハリウッドデビューを果たし、’19年BBC×Netfrix London制作連続ドラマ『Girl/Haji』でメインキャストを演じるなど海外でも活躍。最近の主な出演作は映画『ファーストラヴ』『全員切腹』『Sin Clock』など。

『スイート・マイホーム』
監督・齊藤 工×主演・窪田正孝が挑む、予測不能のホラー・ミステリ―。極寒の地に住むスポーツインストラクターの清沢賢二は愛する家族のために念願の一軒家を購入。地下に建物全体を温める暖房施設がある家で新居生活をスタートさせた一家だが、「家」を中心に様々な思惑と怪異が折り重なり恐怖へと転じていく。一家がたどり着いた驚愕の真相とは?出演/窪田正孝 蓮佛美沙子 奈緒 窪塚洋介ほか。監督/齊藤 工 原作/神津凛子『スイート・マイホーム』(講談社文庫) 脚本/倉持 裕●9月1日(金)公開

撮影/杉本大希 ヘアメーク/佐藤修司(botanica makehair) 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)