【鈴木保奈美さん】専業主婦時代を語る「完璧な母親も子どももパートナーもいない」
〝完璧なママなんていない〟という特集テーマに憧れの先輩ママ、鈴木保奈美さんのインタビューが実現。子育てに必死だった当時は気付けなかった、今だからわかること。成人した娘さんたちとのエピソードも交えたママたちの心がフッと軽くなるお話です。
こちらの記事も読まれています
▶︎TBS退社・堀井美香アナの“第二章”「わが家は今それぞれの居場所で自由に生きています」
先輩ママ・鈴木保奈美さんが
VERY読者に伝えたいこと
❝「お弁当作り頑張りました」と
話した過去を、最近反省していたんです❞
シャツ¥33,000 パンツ¥39,600(ともにデパリエ/デパリエ ニュウマン新宿店)シューズ¥81,400(ジミーチュウ)ピアス¥41,800 リング¥24,200(ともにレストロ/イセタン サローネ東京ミッドタウン)
私が素敵に見えたなら
これは〝奇跡の1枚〟です
──「完璧なママなんていない」という今回のテーマ、素敵な先輩ママの鈴木さんにお話を伺うことができて光栄です。
ここ最近、子育て中のエピソードを語ったインタビューを振り返り反省していたところでした。〝お弁当作りを18年間頑張りました〟とか、私のように発言が活字になる立場の人間が言ってよかったのか、と。お弁当を作り続けたことは悪いことではないし、後悔もない。ただ、私の発言が褒められることで〝そうすべきだ〟と、誰かに強制するロールモデルになってしまったら、それは良くなかったかなって。当時も今も子どもたちのためなら何でもやってあげたいと思っています。でも、それは自己満足だったのかもしれない。成人した娘たちと話していると〝そこまで頑張る必要なかったかも〟と思うこともたくさんあります。
── 娘さんたちとのどんな会話から、そう感じたのですか?
例えば、学校やお稽古事。3人を同じところに通わせていましたが、それは母親の都合を優先させていただけで、本人たちの個性に合っていなかったのではないかと、長いこと気にしていました。ちょうど今朝、その話を娘にしたら「何をやっても結局は本人の得手不得手だから。お母さんがどうしたとか、そんなに関係ないと思うよ」って。親が与えたものがきっかけになることもあるけど、そうでないこともある。子どもをすべてコントロールできるなんて思い上がりだったと、改めて気づかされました。あんなに頑張ったお弁当作りも、好物と信じて疑わなかったおかずが「実は苦手だった」と後から知らされて驚いたり。それが入っていたときは、友達とおかず交換できる楽しみがあったそう。今では笑い話です。完璧なんて無理ってことです(笑)。
❝心に残っている言葉。
「お母さんじゃないとできないこと以外は
ほかの人に任せていい」❞
── そう言ってもらえるとホッとしますね。鈴木さんは育児に専念するために長期休業されていましたが、仕事復帰への焦りや、母親の育児負担に不満を感じたことは?
専業主婦の母を見て育ったので〝育児は自分でするもの〟と思い込んでいて、大きな決断をしたつもりはありませんでした。無意識の刷り込みですよね。長女を出産するとき、年配の女医さんが〝お母さんでなきゃダメなこと以外は、人に任せていいのよ〟と言葉をかけてくださったんです。当時はその意味がよくわからず、お弁当も洗濯も、宿題の手伝いや体操着の用意まで、ぜんぶ母親の仕事と思い込んで当たり前にやっていました。でも、よく考えるとどれも、〝お母さんでなきゃダメ〟なことではない。〝ひとりで抱え込まなくていいんだよ〟という先生の言葉の真意を、20年前の自分に教えてあげたいです。
── 一生懸命すぎて気づけないこと、あるかもしれません。まさに子育て真っただ中のママたちに改めてメッセージをお願いします!
私たちが〝完璧なママではない〟と思うのと同じように、きっと完璧な子どもや完璧なパートナーもいないのだと思います。それを受け入れるとラクになるのかな。この私の写真を見て素敵と思ってくださる方がいたら、これは1時間かけてヘア・メイクをしてもらい、素敵な衣装を纏い、魔法のようなライティングがあってこそ。奇跡の1枚なんです。完璧に見えるSNSも、たぶん奇跡の1枚の寄せ集め(笑)。奇跡と比べたって仕方ありません。不安に感じることがあったら参考にするのはいいと思います。いろんな人の意見や経験を参考に〝自分がどうありたいか〟、プランを立てる。見て聞いて考えて、そしてそれを言葉にして発信すること。大切なのはコミュニケーションだな、と思います。
HONAMI SUZUKI
1966年生まれ、東京都出身。大ヒットドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ)をはじめ、数々の名作ドラマや映画、舞台で活躍。現在はWOWOWドラマ『フィクサー Season2』放送中。2023年10月から公演の舞台『レイディマクベス』にも出演予定。
あわせて読みたい
▶︎吉瀬美智子さんの現在地「“ママとしての黒”からもう一度自由に大胆な黒を」
▶︎中林美和さん「子育てが落ち着いてきた頃が一番悩ましかった」
▶︎安藤優子さん「仕事、育児、夫婦関係の愚痴…それって立派な社会問題です」
撮影/酒井貴生〈aosora〉 ヘア・メーク/福沢京子 スタイリング/犬走比佐乃 取材・文/櫻井裕美 編集/羽城麻子
*VERY2023年8月号「キラキラインスタに真っ向勝負! 私たちにこれ以上、期待しないで♡ 言っとくけど、完璧なママなんていないからね! Part5 「完璧な母親も子どももパートナーもいない」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。