【元宝塚トップ娘役・花乃まりあさん】結婚して大きく変わったことは?
若くして花組・明日海りおさんの相手役としてトップ娘役になった花乃まりあさん。 退団後はリポーターとして新境地を開き人気の花乃さんへ、結婚もなさった今の心境を伺いました。
自分を愛するって力の要ること。他人の愛情も大切です
《Profile》
東京都出身。小学生で宝塚初観劇。2010年、宝塚歌劇団に入団。月組公演『THE SCAR
LET PIMPERNEL』で初舞台後、宙組に配属。’12年、『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』新人公演でヒロインに抜擢される。’14年に花組へ組替え、トップ娘役に就任。’17年 『雪華抄/金色の砂漠』をもって退団。’18年TVドラマ「越路吹雪物語」(テレビ朝日系)にて本格的に芸能活動を再開。’21年に結婚。『ザ・ミュージック・マン』(’23年)など舞台にも次々と出演し、 日本テレビ系「ZIP!」でリポーターも務める。
──スキンケア以外に透明肌のために意識していることは?
最近夫と一緒に青汁を飲み始めたんです。私より先に夫の肌荒れが良くなって(笑)。しばらく続けてみようと思います。美容のためにも自炊が中心で、私一人なら毎日お豆腐や納豆など簡単かつヘルシーな食事でもいいんですが、二人になってからはバリエーションも考え、料理が楽しくなりました。
──結婚されて大きく変わったことは何ですか?
一番変わったのは仕事との向き合い方ですね。結婚前は良くも悪くも常に試されている感覚があって、すごく失敗を恐れていました。でも主婦という社会におけるひとつの役割ができて、仕事ではもっと自由にチャレンジしてもいいと思えるようになって。
これから出産を考えるようになったらまた変わってくるのかもしれないけれど、私にとって舞台に立つということは全てを支える軸になっていると思えるようになりました。
──恐れを感じるようになったのは宝塚時代からですか?
トップ娘役就任時は年齢も若かったし、人としても舞台人としても未熟でした。最初は好きなことを夢中でやっているだけだったのが、お客様に喜んでいただくことに対するプレッシャーが大きくなり、このままじゃダメだとずっと思い続けていて。自分にとって悔しくてヒリヒリとした時間でした。
でも退団していろいろな方とお仕事をさせていただいて、世界ってもっと広いんだ、と気づいたんです。いつまでも未熟だって言うのは謙虚とは違う。相手に失礼になることがある。ダメなところを人は見たいと思わないですよね。ある程度キャリアを積んだ女性として、自信をもって舞台に立ちたいという気持ちが生まれてきました。レポーターのお仕事でも「自分の言葉で自分で話す」力を鍛えてもらっています。
──そして花組トップスター明日海りおさんとの出会いも
明日海さんとの時間は、それが私の全てと言ってもいいくらい濃密な時間でした。それを超える人生でありたいと思うと同時に、超えることはもうないだろうという気持ちがあります。
最初は意思の疎通がうまくできないこともあったけれど、諦めずに育てようとしてくださった。最初は「どうでしたか?」と訊いていたけれど、「こういうふうに考えて、こういうふうにやりたかった」と言えるようになりました。
転機になったのは『ミー&マイガール』です。あの作品が決まったとき、すでに退団を心に決めていて。いつ辞めても悔いはないと思いながらも、もう一皮脱皮したかった。ビルとサリー(主人公の2人)の関係が丸ごとお客様に伝わるからと、本気でぶつかり合うことができた作品です。
──最後に、花乃さんにとって美しく生きるとは?
自分を愛する力というのが私の中のキーワード。自分を愛するって努力を伴うことだと思うんです。他者の愛情に助けられることもありますが。それができる方は表情にも、舞台にも出ている。私もその気持ちを大切に育てていきたいなと思います。
花乃まりあさんからのメッセージ
「『ZIP!』の生中継リポーターも5年目。人の話を引き出す難しさと楽しさを知り、舞台とは違う部分を学んでいます。これからは司会など、生で話すお仕事にも挑戦したいなと思っています」
《衣装クレジット》
トップス¥44,000、グローブ¥11,000、スカート¥64,900、パンプス¥51,700(すべてテラ/ティースクエア プレスルーム)ピアス¥339,900〈サイモン・アルカンタラ〉リング¥350,900〈ヤエル・ソニア〉(ともにザ・サロン バイ ノーア)タイツはスタイリスト私物
2023年『美ST』10月号掲載
撮影/八木 淳(SIGNO)〈人物、静物〉 ヘア・メーク/田中宏典 スタイリスト/朝倉 豊 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子