ともさかりえさん「3度目の結婚は、苦手なことをカミングアウトするところから始まりました」

同じ時代を生きながら、常に私たちの前を走ってきたともさかりえさん。12歳から仕事をはじめ、44歳の今、女優として主役を張り、ど真ん中にいた若い頃とは異なる魅力を纏うその姿は、同世代女性としてますます気になる存在です。

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自分で自分の人生を満たせる。気づいた今、人生でいちばん自由です

Rie Tomosaka

1979年生まれ。12歳でデビュー後、ドラマ、映画、舞台、音楽活動と幅広く活躍。近年の出演作はテレビ大阪・BSテレ東「湯遊ワンダーランド」、日本テレビ系「それってパクリじゃないですか?」。アパレルブランド「My weakness」、美容ブランド「neutrial」のディレクションも手掛ける。

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若い頃から人の期待に応えることが、自分に与えられた課題だった

「やっぱり、しんどかったな……」

これまで蓋をしてきた自分の気持ち、見て見ぬふりをしてきた本当の自分――。それは、コロナ禍のゆったりとした時間の中、ふと過去を振り返って自身と向き合ったとき、聞こえてきた心の声でした。

12歳でデビューし、若い頃からずっと、人の視線の中でその期待に応えることが課題でした。私は私の人生しか知らないし、比較できるものがなかったから、壁にぶつかり苦しく感じることがあっても、こういうものなんだと受け止めて生きてきました。

でも、必然的に立ち止まる時間を得たコロナ禍で、心の奥底にあった、「本当の気持ち」に気がついて、否定したかった過去ともフラットに向き合えるようになったのです。そして、そんな気持ちにちゃんと向き合わないと前に進めないと思ったのも大きな変化でした。それは、年齢を重ね、いい意味で〝おばさん〟の図々しさも持ち合わせるようになって(笑)、過去を振り返る余裕と勇気ができたのかもしれません。それまでの私は、シャワーを浴びながら、「なんであんな言い方しちゃったんだろう」とか「あのシーン、どうしてもう一拍待てなかったんだろう」と、いつも反省し続けていましたから。

私は、2度の離婚を経験していますが、それ自体に後ろめたさを感じたり、悲観したりすることはありません。その選択が、その時の最善の方法だったから。ただ、関係をうまく維持できなかった反省はあります。

2度目の離婚の後には、修行僧のように自分を見つめ直す時間がありました。その中で気づいたのが、自分の人生は自分で満たせるということ――。その答えを見つけられたことが、自信にも繫がりました。それまでは、キャリアのスタートが早かった分、自分で何かを選ぶこともなかったし、そもそも選択の権利がないと思い込み、ずっと誰かにコントロールされる人生だとすら思っていたのです。

だから、「人生は自身で選択できる」、そう自覚してからは、仕事も人付合いも好転したように思います。「今がいちばん幸せそう」「何だか自由に見えるね」――。最近、周囲から言われるそんな言葉は、今の自分を映し出すものなのかもしれません。

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3度目の結婚は、「家事は苦手です」とカミングアウトするところから始まった

掃除や洗濯、家を整えるあれこれ、お金の計算……、そんな日々の生活の当たり前のことが、私は苦手。これまで騙し騙しやってきましたが、今の夫とは「苦手です」とカミングアウトするところから、始まりました。

最初から飾ることなく、できないことをさらけ出せたから、気持ちが楽。私は根っからの長女気質でちゃんとしたフリが得意で、内面はいっぱいいっぱいでも、これまで「できない」とは言えなかったんです。でも、「できない」「わからない」ことは、恥ずかしいことではないんですよね。正直に伝えたほうが、相手も自分も結果的にハッピーだなと気づきました。

夫は、私の「できない」を否定せず、「人には向き不向きがあるのは当然。でも、苦手なことを理解してできるようになったら楽しいよ」と一緒にサポートしてくれる。押し付けるのではなく、同じラインに立って、寄り添い、学びをくれる彼に救われています。でも、先日は「りえちゃんに多くを望まないけど、スキンケアした後のベタベタした手でドアノブを触るのだけはやめてもらえたら嬉しい」と、唯一夫からリクエストがありました(笑)。

できないことを頭から否定せず柔らかく提案をしてくれるから、私も傷付かずに済むし、歩み寄れるのだと思います。3度目の生活で大事にしているのは、とにかくお互いに我慢をしないこと。我慢を重ねることが違和感に繫がることを知っているから、それを感じたら正直に伝え合うようにしています。

毎日の生活の中、掃除は断然、夫のほうが得意なので、積極的にやっていただけるよう常に褒めて伸ばしています(笑)。私は、もっぱらごはん作りがメイン。ずっと息子に作り続けてきたから、自分の味に飽きていて、本当は毎日外食でもいいのですが(笑)、夫は毎日家で食べたいタイプ。平日は家で食べて、週末は外食でのんびりさせてもらうリズムが定着しています。

どちらかの息が詰まるとバランスが崩れるから、無理せず気楽に。彼は、やりたいことや趣味がたくさんあって、私が仕事で忙しくしていたり、友達と出掛けても、ひとりでエンジョイできる人。二人でいながらも、それぞれが、自分の時間を持つスタイルが私たちに合っているのだと思います。今の私だからこそ得られた新しい関係を、毎日大切に刻んでいます。

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撮影/三瓶康友 モデル/ともさかりえ[身長:168㎝] ヘア・メーク/伴まどか スタイリスト/石関靖子 取材/坂本結香 撮影協力/Bio cʼ Bon麻布十番店 ※情報は2024年2号掲載時のものです。

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