富士山のふもと、神秘の森「樹海」と洞窟探検【Mart WEEKENDER SOLA】
こんにちは!
Mart WEEKENDER、フォトグラファーのSOLAです。
日に日に緑が濃くなってきました。木陰はそよ風が吹き、暑い日には水遊びも楽しめる、アウトドアが最高にハッピーな季節ですね。GWのとある日、前から気になっていた「富士の樹海」を子どもたちと探検してきました。
「青木ヶ原樹海」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
昔読んだ本で、「磁石が狂う」、「入ったら迷ってしまって出られない」…といった話が耳に残っていて、怖い印象を持っている人もいるかもしれません。
私もその一人でしたが、近くを通るたびにその森の美しさが気になっていて。今回、その懐で、樹海の不思議な魅力に触れる機会が持てたので、レポします。
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目次
- 樹海ってどんなところ?
- 初めての樹海散策なら、地元の公認ガイドさんが案内してくれる「ネイチャーガイドツアー」がおすすめ。
- 実験 「磁石が効かなくなる」は本当?
- 洞窟探検
- まとめ
樹海ってどんなところ?
富士山北西山麓に広がる「青木ヶ原樹海」は、約1,200年前、富士山の噴火によって流れ出た溶岩の上に育った森です。その面積は東京ドーム約642個分、山手線の内側エリアがすっぽり入るほど広い!
約1,200年前の噴火で北麓一帯を焼け野原にした溶岩は、やがて冷え、800年の不毛の期間を経て、植物が芽生えたのはここ300年のこと。まだ浅く、若い森です。
まず最初に土がなくても育つ苔が育ち、その上に少しずつ、他の植物が芽生えていきました。
土壌は岩の上の10cm程度木の根は溶岩の上をうねるように這う周りの木々と根を絡ませ合って立つ樹海の木土壌は岩の上にたかだか10cmほどの薄さしかありません。そこに育つ木は、根を地中に張るかわりに溶岩の表面をうねるように這い、凹凸にしがみつき、周りの木々と根を絡ませ合って、一生懸命立っています。
太い木も、高さは周りと同じ。頭ひとつ飛び出ることで、強風に倒れてしまうことを知っています。
倒れても、ねじれてもなお、またそこから枝を伸ばし、緑の葉をつけている木もある。苔のしっとり具合を手のひらで確かめる。川もない、保水する土もない、岩の上。こんな条件下でも、生きよう、上に伸びようとする木々の生命力・エネルギーに触れられることが、樹海の魅力の一つです。
初めての樹海散策なら、地元の公認ガイドさんが案内してくれる「ネイチャーガイドツアー」がおすすめ。
樹海の森、ただ歩くだけでも雰囲気を楽しんだり、発見や感動はありますが、こうした森の成り立ちや動植物の話を聞き、理解を深めながら歩くと、楽しさが何倍にもなります。
子どもたちの好奇心や「なぜ?」にも完全対応してくれるガイドツアーをお願いするべく、起点となる「西湖ネイチャーセンター」へ。
ガイドツアーには
・当日空きがあれば飛び込める「定時ガイドツアー」 と、
・オンデマンドでお願いできる「予約ガイドツアー」 があります。
定時ツアーは一人500円とリーズナルブルながら、森を1時間かけてたっぷり散策できるコース。予約ツアーは、所用時間も歩くエリアも、ある程度リクエストができます。
詳しくは……
西湖ネイチャーセンター(西湖コウモリ穴・クニマス展示館)
- 山梨県南都留郡富士河口湖町西湖2068
- TEL:0555-82-3111
- https://fujisan.ne.jp/pages/363/
実験 「磁石が効かなくなる」は本当?
ある場所でふと、足を止めたガイドさん。取り出した方位磁石は、正しい方向を指しています。
これを、ゆっくりと地面に近づけていくと……、数センチの高さで、針がクルッと回ってしまいました。だけど、立った位置まで持ち上げると、元通り正しく機能します。
広大なフィールドの中でも、この溶岩が、ピンポイントで磁石を狂わせる場所らしい。数センチまで近づけると、方位磁石がクルクルと動く。これが「樹海で磁石が狂う」のいわれ。溶岩の一部は、噴火時に磁気を帯びているからだそうです。ただ、方位磁石は多少影響を受けるものの、それはかなり接近させた場合だけ。
しかも、こうした磁気乱れスポットは、樹海の中にも現時点で数箇所しか発見されていないのだとか。(逆に、よく見つかったな〜と思います)
つまり、「ひとたび樹海に迷い込むと、磁石は狂い、帰れなくなってしまう」というのは、ちょっぴり盛られた都市伝説のようなものかもしれません。
実際に歩いた5月の樹海は、生命力が交錯した神秘的な景観の中に、多様な生き物が暮らす、とても美しい森でした。シジュウカラ、ヒヨドリなど200種類を超える野鳥たちが、きれいな声で歌っています。
森にときどき落ちているこれ、なーんだ?これは、通称「森のエビフライ」と呼ばれる、リスのお食事跡。松ぼっくりの鱗片をむいて、中の実を下から食べていき、先っぽだけ残してポイするそう。洞窟探検
樹海のもう一つの魅力が、エリアに点在する多様な洞窟。
観光地としても有名な「富岳風穴」や「鳴沢氷穴」をはじめ、数々の神秘的な溶岩洞穴は、いずれも火山活動の歴史が生んだ、自然の芸術です。
今回、行ってみたのはこちらの2つの洞窟です。
【1】コウモリ穴
総延長350m以上に及ぶ、富士山麓の溶岩洞穴の中でも最大規模のもの。
洞穴の内壁は、噴火で流れ出た溶岩が固まりできた鍾乳石や縄状溶岩で、ダイナミックなドレープになっています。
洞穴内は冬もあたたかで、かつて多くのコウモリが冬眠の場として生息していたことから、この名がついたそう。
【2】胎内樹型
溶岩が流れ下る時に樹木を取り込んで固まり、燃え尽きた樹幹の跡が空洞として残った洞穴を「溶岩樹型」と言います。
内部の形態がお母さんの胎内を思わせることから「御胎内」と呼ばれ、洞内を巡る「胎内巡り」という信仰行為が行われるようになったそう。
船津胎内樹型や、吉田胎内樹型などが有名です。いずれも、鳥居や神社の奥に祀られている聖域。静かに、自然の声に耳を澄ませたいですね。
まとめ
子連れ樹海ウォーク、少し近寄りがたいイメージとは裏腹に、木漏れ日がさす気持ちいい森にフラットな遊歩道があり、気軽にダイナミックな原生林や洞窟の探検が楽しめました。
子どもたちは、本物の大自然の中で、探検隊長を決めたり、歩き方を工夫したり、発見を伝え合ったり。地球の鼓動を体感する冒険を経て、ひとまわりたくましくなった気がしました。
首都圏からの日帰りも可能な、山梨県の大秘境・樹海。
ぜひ一度、親子で歩いてみてくださいね。
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Mart本誌が不定期刊になるため、Mart WEEKENDERのブログも終わります。 長い間ご愛読いただきありがとうございました。
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写真・文/SOLA
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