43歳で出産したELT持田香織さん「授かるまでは苦労しましたが、今だからこその育て方もできています」

ELT(Every Little Thing)のボーカルとして活躍していたアーティスト持田香織さん(46)。37歳で結婚し、43歳で第一子を出産しました。ご主人との出会いから、妊娠出産までを語っていただきました。

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夫は自立することの楽しさを教えてくれました

夫とは少し立ち止まり、自分の人生についてこれからのことを考えているときに出会いました。9つ私よりも若いのですが私よりも全然精神的に落ち着いているのでとても頼りにさせてもらっています。私を選んで結婚してくれたことに感謝しかないです。一緒に暮らしていれば意見が食い違うこともありますが、お互いの価値観を共有することで面白さが生まれるのかなとも思いますし、本当に勉強になります。

結婚して間もない頃は、タクシーで移動することが常であった私にSuicaのチャージの仕方を教えてくれたり、海外に行く際のESTAの取り方なども自分で取ることを勧めてくれたり。夫のおかげでなんでも自分でやることが楽しいんだと気づけました。なんでもやってくれるような人も素敵ですが、自立することのたのしさを教えてもらえる方が自分にとっては良かったのかなと思っています。

結婚して子どもを授かることは“あたりまえ”ではないんだと知りました

それこそ、若い頃は結婚はしたくなったら自然にできるものと思っていましたし、とくに難しく考えていなかったのですが、仕事を熱心にやっているとあっという間に30も半ばになり、時間はただただ過ぎていきました。ありがたくも結婚することができて、さぁ子どもをと思いましたが、簡単にできることでもないことも知りました。もちろん調べたりすればわかることもあったかもしれませんが、今よりも情報は少なかったこともたしかで。学生の頃はできないようにとばかり教えられたように思いますから、もっとそのことについて学べる場があったらよかったとも思いました。

80年代90年代頃は、結婚と妊娠の順番が逆だと、“できちゃった婚”と言われる世の中でした。「妊娠しないように気をつけてね」と大人が目を光らせていたような時代だったような。ですから、子どもはすぐ授かるものなんだと勝手に勘違いをしていたところがあったんですよね。今でこそ不妊の話が公に話されるようになって、いろいろとオープンになってくれたおかげで知識も得やすいですが、当時の私は年齢を重ねるごとに女性の身体が変化していったり、妊娠することが難しくなることに対しての危機感がなく、気がつけば30代後半。実際に結婚してから子どもについて考えた時に「え!?」と思うことが多く驚きました。

このタイミングだったからこそ余裕をもって育てられているかもしれません

結婚をしたのは37歳、20周年ツアーを無事に終えたあたりから子どもができたらいいなと思っていましたが、なかなかそういったことに繋がらなかったので、そこからたくさん知識をつけました。妊娠することの難しさをわかっていましたから公表はあえてしないことを選びました。加えて私の場合は43歳と高齢出産ということもありましたし、心配をかけてしまうことも避けたく。

当たり前のことですが子どもを授かるのは早い方がいいと身を持って知りましたが、もし20代の頃に授かっていても、私の場合は、はたして穏やかに育てられていただろうか、と自問することもあります。実際に授かるまで苦労はしましたが、43歳での出産だったからこそ、いま余裕をもって育てることができているのかもしれないと思うと、タイミングというのはあるのかもしれません。もちろん早いに越したことはないのですが。

今はイヤイヤ期と言われる時期で、私もてんてこ舞いです。人間ですから穏やかにとばかりは言っていられないことも多々あります。けれどもやっぱりそこには理由もあって、ちゃんと最初から駄々をこねているわけじゃないみたいで。やっぱり私も私で余裕がないことがあり、“子どもがこうしたい” と求めていることをパッとやってあげたら済むのに「ちょっと待ってね」と言ってしまったりして…。自分で自分の顔って見えないので、きっとものすごい酷い顔をしてるんだろうなってときがあるんです。本当に反省します。夜な夜な、夫とも子育てについてたくさん話し合っていて「これはこういう意味かな?」って答えあわせをしながら一緒に成長していけたらと思っています。

今までマネージャーさんがしてくれた仕事も自分でやるようになると大変さがわかりました

今後の人生は自分が楽しそうだなと思うことに意識を向けて、時間と出逢いを大切にしていきたいと思っています。これまでマネージャーさんや担当者さんがやってきてくれたようなことは自分でやってみるようにしているんです。今回でいえば、直接自分で電話をして、撮影日までの準備の段取りをお話ししたり。自分でやることで、それまでの大変さを知ることもできましたし、実際にお逢いするまでにやりとりがあると会えた時により嬉しかったり、仕事も2倍楽しめます。依頼をしてくれた方に「持田です」と電話をかけると相手の方はすごく驚いていて、本人と直接やりとりするのは、やりにくいと思われているかもしれませんが(笑)。ひとつひとつの繋がりのおかげで仕事への喜びを改めて感じられるようになりました。今後も繋がりを大切に丁寧に過ごしていけたら最高に嬉しいです。

撮影/平井敬治 ヘア・メーク/岡田知子 取材/小出真梨子 ※衣装は本人私物

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