「朝起きられず不登校」親子で睡眠不足…医師に聞く【劇的改善のコツ7選】

日本人は世界で一番睡眠時間が短いことを知っていますか? 大人世代はもちろん、子供世代の睡眠不足も深刻化。スマホや受験勉強、病気によるものなど理由はさまざまですが、脳の発達にも深く関わりがあるだけに見過ごせない問題です。今回は読者親子のエピソードとともに、睡眠の質を上げる方法を専門家に伺いました。

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CASE1

子供は中学校の3年間、朝起きられず不登校に。人間関係が原因?と思っていたら起立性調節障害だったよう。

主婦・47歳 平均睡眠時刻:2時~6時
娘・高3 平均睡眠時刻:24時~7時

受験して入った中学ですが朝起きられなくて学校を休みがちに…なかなか起きることができない子供を必死に起こす日々。学校に行きたくないのかと悩んでいましたが中2の時に思い切って行ったクリニックで起立性調節障害との診断が。入院治療を経て半年ほどで劇的に改善。今はすっと眠れてすっきり起きられる快眠生活に戻ることができました。睡眠の大切さを親子ともに心底実感。

CASE2

やっと終わった中学受験。塾で22時まで勉強、迎えて帰宅しお風呂、宿題…と、どんどん就寝時間が遅くなり。私も電車で座ると一瞬で寝てしまい、同僚に心配される状況でした。

会社員・43歳 平均睡眠時刻:2時~6時半
息子・小6 平均睡眠時刻:23時~7時

塾へのお迎えがあるため自分の入浴はいつも深夜になりがち。仕事もやりたいこともたくさんの欲張りタイプ。気が付けば平均睡眠時間がほぼ4時間程度に。クマくっきりで電車で秒で寝落ちする私に同僚が「まずいよそれ」と指摘してくれて、はっと気が付きました。やりたいことを効率的にやるためにももう少し寝なくては! と受験が終わったのをきっかけに睡眠時間を見直しています。

脳の発達・健康維持に睡眠はとても重要です

世界的に見て日本の大人も子供も必要な睡眠時間を取れていない人が多い状況です。現状は成人で6時間10分程度(理想は8時間15分)、小学生で8時間15分程度(理想は9時間〜10時間)。特に発達段階にある子供の睡眠不足には学習・情緒・健康面に重大な問題を引き起こす可能性があります。さらに女性は特に性周期と睡眠に密接な関連があり、睡眠不足だと婦人科疾患に罹患しやすくなり、肥満やうつ病の危険性も。特に24時以降の就床が習慣になっていると高リスクです。

質の良い睡眠のためには、以下の対策が有効です。

①毎日同じ時刻に就床し、起床する習慣を
②年齢相応の十分な睡眠時間の確保
③週末に寝だめをしない。平日との就床・起床時刻の差は+/1時間以内に
④寝る時には部屋を真っ暗にする
⑤光を発するデバイス使用は遅くとも寝る1時間前には終了
⑥ストレッチ、アロマ、ハーブティーなど自分に合う入眠習慣を作る
⑦寝る1時間以上前に入浴を済ませる。(特に子供は体温が下がらないと寝付きにくいため)

お話を伺ったのは……
文教大学 教育学部 発達教育課程教授
成田奈緒子先生

医学博士・小児科医。発達脳科学者として子供の発達と睡眠の研究に長年携わるスペシャリスト。関連書籍も多く執筆。科学的に正しい脳育てを提唱。

産業編集センターより『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』を発刊。

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2024年『美ST』6月号掲載
イラスト/naohiga 取材/佐藤理保子 編集/矢實佑理

美ST