【10年先のSNSを見据えて】制度やルールが追いついて健全化…私たちがすべきことは?
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結婚に出産、キャリアだって築きたい…人生の選択が多いCLASSY.世代。正解がわからないからこそ、指針が欲しいもの。特に気になる分野の有識者の方に、この先10年、世の中はどう変わっていくのか、どう行動すべきかを伺いました。
AIやアルゴリズムがより進化し今よりも必要な情報だけを取れるように
天野 彬さん(メディア研究者)
──これからSNSはどのよう変化していきますか?
この10年ほどでスマホとSNSが広く普及しました。利用者の数や時間が増えたことで、現在ではビジネスの場としても重要になり、巨大な産業を構成しています。その一方で、フェイクニュースやアドフラウド(広告不正)といった問題は解決しておらず、対策は急務の状況です。
そんななか、日本はもちろん、アメリカでもティーンエイジャーのメンタルヘルスにかなり悪影響を及ぼしているのではないかという研究結果が発表され、SNSにやや批判的な論調も目立つようになりました。効率的に情報を得られるようになり、たくさんの人と繋がれるようになった一方で、誹謗中傷やネットいじめの温床になってしまうリスクがあること、友達のキラキラとした投稿を見ては自分と比べてしまって落ち込んだりと自己肯定感を低下させてしまうことも…。ただ、SNSに投稿されているのは、その人の生活のほんの一部で、本当はどこかで無理をしているのかもしれないし、そもそもフェイクかもしれない…と俯瞰して見られる人が増えたのも事実です。
また、昨年10月からいわゆるステマは景表法違反となり、企業から宣伝を頼まれているものに関しては♯PRと言った表記を明確につけるのがルール化されました。こんな風にユーザーのネットリテラシーが上がってきていることに加えて、制度やルールも徐々に追いついてきているので、中長期的には健全化に向かっているはずです。
──見分けにくいフェイク情報や見たくない情報には、どう向き合うべきでしょうか?
今、人々が欲しい情報だけをより的確に、手短に取れるよう、タイムパフォーマンスを向上させるテクノロジーの進化が顕著です。中長期的には、触れたくない情報を高精度で事前に捌いてくれるようになる可能性があります。また、Yahoo!ニュースは、昨年から生成AIがニュースへのコメントを要約して伝える機能を試験的に提供し始めました。個々の尖った意見や攻撃的な意見を目にすることがなくなり快適な印象です。情報の届き方やインターフェイスが改善されることで、私たちはSNSともっと上手に付き合えるようになるのか、注視していきたいと思います。
教えてくれたのは…天野 彬さん
電通メディアイノベーションラボ主任研究員。著書に『新世代のビジネスはスマホの中から生まれるーショートムービー時代のSNSマーケティングー』(世界文化社)など多数。
撮影/イ ガンヒョン〈人物〉、五十嵐 洋〈静物〉 取材/棚田トモコ 編集/鈴木日向 再構成/Bravoworks,Inc.