いつか来る「いざ」に備える「親の介護」の基礎知識

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両親と過ごしているときに、ふと”今は元気だけれど、将来「介護」をすることになったらどうしたらいいんだろう”と不安になることはありませんか? 今回は、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんに聞いた、いつ始まるか分からない「介護」について、知っておくといざというときに役立つ基礎知識をご紹介します。
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目次
- 【1】焦って施設を決めない
- 【2】困ったときは地域包括支援センターに相談を
- 【3】認定調査は必ず立ち会う
- 【4】ケアマネジャーにはざっくばらんに何でも話す
- 【5】介護するときは無理に同居しなくてもOK
- 【6】お金のことや介護の希望などは前もって家族と話しておいて
【1】焦って施設を決めない

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「介護保険を利用してサービスを受けられる、特別養護老人ホーム(特養)は順番待ちが長くなるところも。特養をみつけられないときは、まず介護老人保健施設(老健)に申し込んで時間を稼ぎ、じっくり探すのがおすすめです」(太田さん)
【2】困ったときは地域包括支援センターに相談を

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「地域包括支援センターは、介護のことで困ったときはすぐに相談に行ける窓口。専門家に総合的な相談をしたり、支援をしてもらえます。介護を受ける人の居住エリアにより窓口が異なるので、webで調べるか役所に聞いて対象の場所に行ってください。自治体により、呼び名が違うこともあります。行く前に、何を聞きたいかまとめておくと話が早いです」(太田さん)
【3】認定調査は必ず立ち会う

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「身体機能や生活機能など、必要なことができているかをチェックし、介護がどれくらい必要なのかを判定する認定調査。調査で親が見栄を張り、できないことも『できる』と言ってしまい要介護度が低くなることがよくあるので、できるだけ立ち会って家族の話も聞いてもらいましょう」(太田さん)
【4】ケアマネジャーにはざっくばらんに何でも話す

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「介護サービス計画書(ケアプラン)を作成するケアマネジャーは、心強い味方となる存在です。お金のことや親との関係性など、あまり人に知られたくないこともあると思いますが、ざっくばらんに相談すれば、力になってくれます。特に金銭面で無理をしてしまうと自分の生活も回らなくなるので、介護保険の範囲内でおさめたいなどの希望ははっきり伝えるべきです」(太田さん)
【5】介護するときは無理に同居しなくてもOK

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「別居だからこそ受けられるサービスもあります。特に特別養護老人ホームには、独り暮らしのほうが入居の優先順位は高め。無理をして同居するのではなく、別居の場合はどのようなサービスを受けられるのかを調べてから、同居か別居かを選びましょう。お互い無理をして生活を変えると、心身ともに疲れがきてしまいます」(太田さん)
【6】お金のことや介護の希望などは前もって家族と話しておいて

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「介護するうえで、把握できていないと困るのが、金銭関係の現状と、本人の医療方針の意思。預貯金やカードの暗証番号、延命治療の希望の有無などは話しづらいですが、今後のために、例えば自分のことを話して『お父さんはどう?』と言うなど上手に聞きだして。聞いた内容は家族全員で情報共有をすると、トラブル防止に」(太田さん)
親の介護がいつ必要になるかは、誰も予測がつかないもの。相談窓口や事前にしておくべきことなどを知っておくだけでも、いざというときに慌てずに済みますよ。
◆教えていただいたのは◆
介護・暮らしジャーナリスト
太田差惠子さん
ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など著書多数。
Mart2019年10月号 40歳から考える「親の介護」いま知っておくべきことより
構成/Mart