【韓国人ママ事情】グローバル志向でもサムスン、NAVER、カカオトークから離れない理由

「子どもを海外で通用する人材に育てたい」という考えが一般的になってきた今日この頃、おとなり韓国では一歩進んでいるようで…。マレーシアへ教育移住中のエディター、マーサがK-MOMの教育事情をリポート。今回は、グローバル志向とローカル愛の絶妙なバランスに迫ります。

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韓国料理が世界一!

韓国ドラマを見ていると必ずと言っていいほど出てくる食事シーン。ジャージャー麺をかき混ぜ、熱々のキムチチゲをすすり…。老いも若きも、美男も美女も気づけば韓国料理を頰張っています。とにかく韓国の人たちの自国の料理に対する愛はかなり深く、それはマレーシアで会う韓国ママやキッズも同じ。息子の友達が遊びにきたとき、おやつにインスタントラーメン作ったよと言ったら「韓国のラーメン?」と目を輝かせて聞かれたことも(実際は日本の「出前一丁」だったので、キムチを添えました)。K‐POP、韓国ドラマ、美容、ファッションなど、グローバル市場で存在感を見せつけ、「外に向かうパワー」を感じさせる韓国。子どもの教育においても圧倒的な海外志向で英語教育や留学などに熱いパッションを注いでいます。その一方で食生活にも垣間見える強いローカル愛。キムチ用の冷蔵庫がある、毎日必ず高麗人参エキスを飲んで健康管理している、なんて韓国ママたちも多いし、風邪を引いたら「韓方」を処方してもらうという人も。小さい時から英語塾に通わせる一方でテコンドー道場にも行き、韓国人としての礼儀と伝統を叩き込む、という家庭も多いといいます。

スマホはサムスン、検索はNAVERで

もう一つのローカル愛が自国のテクノロジー。スマホはサムスン、検索はNAVER、韓国ママ同士のやりとりはカカオトークというのがメジャー。iPhoneやGoogleも知っているけど、「これが一番便利だから」「やっぱり自分の生活に合ってる」と、韓国ブランドを選ぶ人が多いよう。そこに「韓国製だから使う」という愛国心もほんのり混ざって、自然と自国ブランドへの信頼が高くなっているように見えます。こんなにもグローバル志向そしてアメリカへの傾倒が強いのに、アメリカ発グローバルブランドの競合製品を生み出し、国内でのシェアは圧倒的に自国、というのが、韓国の面白さであり強さなのかもしれません。

グローバル×コンサバ=最強ママ?

その強さはマレーシアの韓国ママたちからも感じることがあります。とにかく彼女たちは結束力が強い。現地でもすぐにつながり、教育事情や学校情報、最新トレンドもキャッチ。情報を提供することに躊躇がないので、みんなで情報通に。さらに、どこかのママが体調を崩したら、料理を届けたり子どもの送迎を手伝ったりと、助け合いの精神も強く、そんなところが海外でも強く根付いて暮らせる理由なのでしょう。この強固なネットワークのおかげか、クアラルンプールには韓国系の店やサービスがたくさんあります。韓国系の英語塾、サッカー教室、精肉店、お惣菜屋さん、韓国食材専門デリバリー…。そしてますます韓国ママたちの欲しいものが手に入りやすくなるのです。外に向けては積極的に目を向けつつ、日常の足元はブレない。韓国ママたちのこの姿勢、見れば見るほど“芯のある強さ”を感じさせてくれます。「グローバル」と「コンサバ」のふたつを併せ持つことが海外で生き抜く上での必須スキルなのかもしれません。

Q.韓国ママに愛される代表的ブランドって?

サムスンだけじゃないNAVER、カカオトーク…アプリも韓国ブランドが優勢
韓国ブランドの代表、サムスン。Galaxyシリーズは韓国のスマホ市場でシェアが60~70%と圧倒的。「性能」「修理しやすい」などの理由以外に、IoT化が進んでいるので、他の家電との連携がスムーズというメリットも。NAVERは単なる検索エンジンというより、“ポータルサイト”の色が強く、日本のYahoo!に近い存在。そして、韓国旅行に欠かせないカカオトーク。チャットから送金、予約、配車までできるスーパーアプリでLINEより多機能で使いやすいと支持されています。

今月の1枚

 

マレーシアを代表するチョコレートブランドBeryl’s。クアラルンプール郊外に直営のファクトリー&博物館があります。チョコレートを作る現場が見られたり、歴史を知れたり。カフェも併設していて、ゆっくり楽しめる穴場的な観光スポットです。

Profile

マーサ斉藤 MARTHA SAITO

元雑誌編集者。中学受験から逃げるように息子とマレーシアへ移住。最近はK-MOMたちに触発されduolingoで韓国語を勉強中。教育系メディアfindits(findit-s.com)にも参加。

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イラスト/香川尚子 取材/マーサ斉藤 編集/水澤 薫 取材協力/findits
*VERY NAVY 6月号「連載 子どもの頃から海外進出も視野に!?K-MOM流 グローバルエリートの育て方」より抜粋。詳しくは2025年5/7(水)発売VERY NaVY 6月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。