滝川クリステルさんの2人目育児「読み聞かせは夫婦でやっています」初の翻訳本秘話も!

6月に出版された『本当の赤ずきん』の翻訳を手がけた滝川クリステルさん。私生活は2児の母でもあり、夫婦でお子さんに読み聞かせをすることも多いのだとか。絵本のラストに込めた思いや、夫の読み聞かせエピソードなど、たっぷり伺いました。

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親として「危険を伝えること」をあきらめたくない

──滝川さんはこのたび、フランスで出版された絵本『本当の赤ずきん──こどもは読んではいけません』の日本語版翻訳をご担当されました。

この絵本を邦訳するお話をいただいたとき、一読して赤ずきんの絵本でこういうラストが実はあったんだと驚きました。内容への共感はもちろん、私自身が子育て中で絵本がとても身近な存在になっていたこと、そして自分自身のルーツでもあるフランスの絵本ということで、喜んで引き受けることにしたんです。

 

──私たちが知っている赤ずきんちゃんとは異なるラストシーンまでページをめくる手が止まりませんでした。

グリム童話やそれ以降に広まったお話でよく知られているのは、「赤ずきんは危険な目に遭っても猟師によって助けられる」というハッピーエンド。でも、シャルル・ペロー(17世紀フランスの詩人、作家)の童話集やそれ以前の伝承・説話に登場する「赤ずきん」は今回のようなストーリーで救いがありません。でもこの救いのなさこそ、今の時代の子どもに伝えるべき大切な話なのではないかと、子育てをしている身として強く感じました。フランスで長く伝承されてきた話なので、必要以上の意訳をせずに生かすべき文脈には気をつけ、シンプルな言葉で伝えるように心がけました。ただ、オオカミの口調はあえて柔らかく訳しています。

 

──オオカミの優しい、柔らかい口調がなんとも怖かったです。本当に恐ろしい人は、あえて優しい人のふりをして近づいてくるのだろうと想像してしまって……。

まさに、それを意識しました。男女を問わず、子どもが犠牲になるさまざまな事件が、毎日のように報じられています。子どもたちの周りにどんな落とし穴があるかわからない社会の中で、何が危険なのかを知り、どうすれば身を守れるのかを知ることはとても重要です。この古い物語には現代社会の闇や不安、怖れとどこか通ずるところがあるように感じたのです。小さい子にとっては、親からの言葉がけや絵本を通しての学びも大きな一歩だと思います。我が家もちょうど5歳の息子に「知らない人に誘われてもついていってはダメ」などと教えていたところでした。私の言い方があまりにも真剣だったので、息子はびっくりして泣いてしまっていましたが、世の中に潜む危険を避けるためには、「正しく怖がる」ことも大切だと思っています。息子たちにもこの本を見せて親子で話し合いたいです。読者の皆さんにも、この本を親子の会話のきっかけとして使ってもらえたらうれしいです。

 

子どもが寝るまでが読み聞かせの時間。夫は20冊読むこともあります

──出産、子育てを経て、絵本が身近な存在になっているとのこと。お子さんはどんな本がお好きですか?

息子は絵本が大好きで、書店に行くのも好きです。最近は毎週のように夫婦どちらかが連れて行っています。最近、息子は『ふわふわとちくちく』(日本図書センター)がお気に入り。「よかったね」「だいじょうぶ」など、相手がうれしくなったり楽しくなったりするのが「ふわふわことば」で、「うるさい」「あっちにいって」など、相手が悲しくなったりつらくなったりするのが「ちくちくことば」であるということを、子どもにもわかりやすく教えてくれる絵本です。私があえて意地悪な言葉を発すると「それってちくちく言葉だよ」と指摘してくれることも。そんなとき子どもの成長を感じます。私が読み聞かせする際は日本語がメインで、子どもの気分によっては英語やフランス語のこともあります。「今日は日本語で読んでほしいな」なんて息子からリクエストがあることも。でも、読み聞かせは、私より夫のほうが得意なんです。

 

──夫さんはお子さんに、どんな絵本を読んであげるのでしょうか?

夫が買ってきた本で、今の息子のお気に入りは、ヨシタケシンスケさんの『りゆうがあります』(PHP研究所)と『つまんない つまんない』(白泉社)です。どんなに忙しくても、子どもが寝る時間に帰宅が間に合えば必ず読み聞かせをしています。息子との時間を大切にしたいと思っているからか、「何冊まで」とも約束しません。だから寝つくのが遅い日は、20冊くらい読んであげていることもありますよ(笑)。

最近の滝川クリステルさんは……?

昨年第二子を出産。子どもが2人になってからは今まで以上に自分の時間がなくなってしまって……。読書が好きですがなかなか時間がとれません。最近の本ではありませんが、2人目妊娠中に読んだ『おいしい経済』(ワニブックス)という本にはとても大きなパワーをもらいました。食をテーマにした書籍で、日本食の素晴らしさやフードテック、食品ロス問題にまで言及しているのですが、本当に魂が震えた本で「食で日本を本当に再生することができるかもしれない」と強く感じて、とても元気が湧き出てくる一冊でした。

PROFILE
滝川クリステルさん 

1977年、フランス生まれ。青山学院大学文学部仏文学科卒。J-WAVE「SAÚDE! SAUDADE…」のパーソナリティーを務めるなど、メディアで幅広く活躍中。「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」を設立し、動物保護や生物多様性保全にも尽力。

 

 

『本当の赤ずきん──こどもは読んではいけません』
フィリップ・ジャルベール 著 滝川 クリステル 訳
光文社 1,980円(税込)

無邪気な赤ずきん、狡猾なオオカミ。滝川クリステルさん初の絵本翻訳が日常に潜む“危険”と“嘘”を浮かび上がらせる──

赤ずきんとオオカミ、それぞれの視点から同時並行で話が展開する新感覚絵本。「現代には狡猾で、大人でさえもなかなか気づけない闇があります。 毎日辛いニュースが流れる中、トラウマを抱かせず、シンプルに包み隠さず伝えるために、絵本は有効だと思います。 こどもたちは私たち大人が考える以上に、いろいろなことを知っています。大人が隠してばかりではだめ。 知らない人についていく危険、大人の甘い言葉を信じてしまう危険。 恐れず読み聞かせましょう、大事な宝物を守るために(滝川クリステルさん)」

取材・文/樋口可奈子 撮影/根本真裕美(光文社クリエイティブ) ヘア・メーク/野田智子 衣装協力/CELFORD

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