仕事も家事もうまくいく秘訣は、”切り替え力”を味方につけること|WRAY代表取締役 谷内侑希子さん
女性としてこれからのキャリアに悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。第一線で活躍している女性リーダーの方々にお話を伺うと、そこには、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、女性のためのウェルネスブランド事業を展開する、株式会社WRAY 代表取締役の谷内侑希子さんです。(全3回の2回目)

谷内侑希子さん(41歳)
株式会社WRAY 代表取締役
大阪府出身。早稲田大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券会社に入社。その後メリルリンチ日本証券、コンサルティング会社、ブランドPRマーケティング会社を経て、2020年にセルフケアブランド WRAY(レイ)を立ち上げる。プライベートでは3児の母で、現在はオランダ・アムステルダムと日本の二拠点生活を送っている。
「できる方が家事をする」は不採用!家事の分担は明確化
STORY編集部(以下同)――海外生活を送りながら、3人の子育てと会社経営をされている谷内さんですが、どのように仕事や家事をこなしているのでしょうか?
今は夫の駐在に帯同してオランダのアムステルダムに拠点を移しているのですが、私は仕事の関係で日本に帰国することもしばしば。海外と日本との二拠点生活をしながら、会社経営と3人の子育てをしていると言うと、「一体どうやって回しているの!?」とよく驚かれます。日常生活の中で”やらない”と決めていることも多いですし、いわゆる丁寧な暮らしは諦めているというのが、回っている秘訣かなと(笑)。
特に子育てに関しては、最低限”これだけはやる”とルーティン化していることを細々と続けるのが我が家のルール。例えば読み聞かせは、昔からどんなに忙しくても欠かしたことはありません。毎日の送迎や習い事、勉強のフォローなど、子ども3人に関わる基本的なことは私が担当していますが、その分、夫は家事の大部分を担ってくれています。
私たち夫婦は、よくある「その時にできる方が家事をする」という緩いルールにはせず、完全なる役割分担制を採用。「できる人がやる」と言っていると、「今日はできる状況じゃないから」と宙に浮くものが出てしまう。例えば、食事担当の日であれば、料理をするのかデリバリーをとるのかは担当者の自由。健康には配慮しているという前提のもと、食事を出すというミッションさえクリアしていればOKです。タスクを分担して”責任の所在”を明確にすることで、「できる、できない」という曖昧な軸ではなく、体調不良などのイレギュラー以外は「やる」という選択肢しかつくらない。それが、お互いの心的ストレス軽減につながっていると感じています。

毎日を快適に過ごす秘訣は、”切り替え力“を身につけること
――それでも忙しい毎日かと思いますが、日々をやりくりする秘訣やコツはありますか?
朝5時から日本とオンラインでミーティングをして、子ども達を送ったら仕事に戻り、15時には切り上げてお迎え。そして夜にまた打ち合わせやデスクワークをするなど、分刻みで動く日も多々あります。マルチタスクと向き合う中で、女性にとって最も重要だと思うのは、圧倒的に”切り替え力”。以前は料理をしながら仕事のメールを返すなど、タスクを同時並行で進めていたこともありました。でも結局、両方とも中途半端になってしまうことが多くて。可能な限り物事をシングルタスク化できるように心がけています。
そのためにまずしているのは、切り替えるタイミングを事前にイメージしておくこと。次はこれをしよう、何時になったら次のタスクに向けて動こう、と脳内で準備しておく。特に仕事は、常に悩みやストレスと隣り合わせなので、ネガティブな気持ちをいかにプライベートに持ち込まないかが勝負だなと思います。何かの延長線上で次の作業に取り掛かると切り替えが難しい。だからこそ1つのタスクが完了した時には、一旦頭の中を白紙状態にすることが大切です。
――”切り替え力”を養うために、どんなことを実践するのがおすすめですか?
普段から”切り替えタイム”を意図的に設定して、「これがあると切り替えられる」という自分なりの”スイッチ”を持っておくとスムーズですよね。私は香りものが好きなので、アロマオイルを塗って気分をリフレッシュするのがルーティンです。
頭の中がいっぱいになっている時は、小説を読んで異世界に没頭するのも重要なスイッチに。強制的に非現実世界に没入できる小説を読むと、思考がクリアになってスッキリ。あらゆるタスクを一旦忘れられるんです。本が好きなので、出張中や1人での移動時は片時も離さずKindleを持っています。
最近はジムに通っているのですが、私は走ると考え事をしてしまうタイプで、ランニングは逆効果(笑)。そんな風に自分なりのスイッチがどこにあるのか、日常の中でいつも探しています。切り替え力は日々のトレーニングで身につけられるので、忙しいSTORY世代こそぜひ実践してほしいですね。
――切り替えアイテムの中でも、”仕事モード”にしてくれるファッションアイテムはありますか?
私にとって、仕事モードをONにしてくれるアイテムの1つはジュエリー。ライフスタイルが大きく変化する節目で手にいれることもあり、コツコツ集めています。人前に立つなど、見られることを意識するタイミングでは必ずジュエリーをつけるので、「よし、やるぞ」というスイッチが入ります。ピアスにリング、ネックレス、ブレスレットと揃えていて、上品に仕上げたい時はゴールド、ピリッとマニッシュに決めたい時はシルバーと使い分け。最近はゴールドが気分で、ゴールドのセットを作り置きして忙しい朝もパパッと身につけ、気持ちのスイッチを押しています。


手持ちの中でも特に、REPOSSIとTOMWOODのピアスは何にでも合わせやすくて気に入っています。何か新調しても、結局いつも手に取ってしまうスタメンアイテムです。
好きなジュエリーブランドは、ゴールドならREPOSSI、Cartier、シルバーならHERMES。最近は、華奢だけどモードにつけられるREPOSSIに魅力を感じ、ウィッシュリストにアイテムが増え続けています(笑)。
Cartierは年齢を重ねるにつれ、圧倒的な存在感とエターナルなデザインに惹かれるように。今後も相棒となるジュエリーを1つずつ増やして、仕事モードへの切り替えを軽やかにしていきたいですね。
撮影/沼尾翔平 取材/渡部夕子
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