宇垣美里さん(34)不妊症に悩む女性を好演「30歳までに結婚しなければ、なんておかしいですよね」【ドラマ『できても、できなくても』インタビュー】
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アナウンサー、モデル、俳優に加え、執筆活動も行うなど、マルチな才能を見せている宇垣美里さん。現在放送中のドラマ『できても、できなくても』では、連続テレビドラマ単独初主演を務めています。演じるのは、不妊症に悩む主人公・桃生翠(ものう・すい)。現場での様子や主演としての心構え、そして宇垣さん自身の結婚観についても聞きました。
Profile
1991年4月16日生まれ、兵庫県出身。2019年にTBSを退社し、現在は俳優、モデル、執筆業など幅広く活動。近年の主な出演作に、ドラマ『財閥復讐〜兄嫁になった元嫁へ〜』、『1122いいふうふ』、『おとなになっても』など。
できる側、できない側、どちらの立場にも立って考えてほしい
——宇垣さん演じる主人公・翠が、ブライダルチェックで不妊症が発覚することから物語が展開していきます。今作に対して、どのような印象を抱きましたか?
私はまだ結婚も出産も経験していませんが、周りの方から「まだしていないの?」と聞かれることもたまにあって。そこに悪気がなくとも、なんとなく責められているような印象を抱くことがあったんです。それはきっと、時代が変わったとはいえ、みんなが思い描く「幸せモデル」が決まっているからなのかなって思っていて。「結婚」「出産」のように1つずつスタンプラリーのようにハンコを押しながら進んでいけば幸せになれる、と信じている方もいる。翠も、恋人との結婚を目前に控え、同じように幸せへの道のりを歩もうとしていたうちの1人だったんだと思います。でも、不妊症をきっかけに、自分が思い描いていた幸せが目の前から消えてしまった。そうして困惑している翠の姿は、未婚で出産経験のない同世代の女性として、決して他人事には思えませんでした。
——1話で、翠の後輩・美咲(樋口日奈)が、不妊症で悩む翠に対して「女失格」という言葉を使ったのが衝撃でした。
あれは演じているこちら側もダメージを受けましたね…。でも、美咲のようにあからさまに敵意を向けられている相手からの言葉よりも、何気ない言葉のほうがグサッとくるなと感じたんです。例えば、翠の妹・琳(大原梓)は、悪気なく「早く幸せになって」「結婚して子どもを産んでほしい」と翠に声をかけるんです。結婚して子どもがいる琳は、“自分の中の普通はみんなができるもの“だと思っているので、姉を心配するあまりそうした発言をするのですが…できない側からするとキツイですよね。
——何気ないひと言が相手を傷つけてしまっていた、ということですね。
そうなんです。翠として琳を見ていると、“きっと、私もこんなことを言ったことがあるんだろうな”って思い返す部分もあって。これは、できる側、できない側、どちらの立場からも言えることだと思うので、そうしたことを考えながら見ていただけたらうれしいです。
“子どもを産みたい”のか、“育てたい”のかでベクトルは全然違うと思う
——宇垣さん自身は、どのような結婚観を持っていますか?
「30歳までに結婚しなければ」みたいなものが昔は漠然とありましたけど、今思うと、ちゃんちゃらおかしいですよね(笑)。もちろん「一生一緒にいたい」と思える相手がいるということは、すごく素敵で幸せだと思っているけど、そこから先は自由でいいんじゃないかなって。それこそ結婚してもいいし、しなくてもいい。相手が異性なのか同性かも、どちらでもいいと思っています。もちろん、子どもを産みたいという観点では、肉体的な面で決断しなければならない時期やタイミングがやって来ますけど…。私は、無理に産むものではないかなという考えです。それこそ、できても、できなくても、どちらでもいいです。
——その考え方になったのは、どうしてですか?
30歳を超えたあたりから「子どもを産むか産まないか」に対する解像度が上がってきたような気がしているんです。例えば、子どもを産みたいのか、育てたいのかでもベクトルが全然違うと思うんです。育てたいのであれば、養子縁組の道もあるし、姉や友人の子どもの子育てにコミットしたっていい。いろいろな道が広がっているんだと分かることで、漠然とした恐怖が薄くなってきたような気がしています。
主演として中心に立つ以上、毎日ご機嫌で、朗らかでいたいと思っています
——今作が、地上波連続ドラマ初主演です。主演として心掛けていることは?
毎日、ご機嫌でいること! 主演として中心に立つ以上、基本的には朗らかでいたいなと思っています。もちろん、意見交換の際は言いたいことを言うようにしていましたが、そのときも言い方には気をつけていました。というのも、私はキャスト陣のなかでも年齢が上のほうだったので、そうした心掛けは大切なのかなと思っていて。
——そうした主演像は、どこで学んだのですか?
これまでの作品を振り返ったとき「いい現場だったな」と感じていたのは、いい雰囲気で監督やプロデューサーさんたちと意見交換ができている現場だったんです。疑問を疑問のままで終わらせず、きちんと話し合える場所であることが大切なんだ、と気がつきました。そのためにも、スタッフさん、共演者のみなさんとなるべくコミュニケーションを取りながら、誰かが「しんどい」と思わないような現場にしたいなと。
——コミュニケーションを取る上で、会話の糸口はどのようなところから探していたのでしょう?
私は信じられないぐらいおしゃべりなので、そこにはまったく困らないんです(笑)。相手に興味を持ってさえいれば、話すことはいくらでもある気がしていて。本当になかったら、天気の話でもいいと思っています。そういう意味では、『できても、できなくても』の現場は、スタッフとキャストみんなが気のいい人たちだし、和気あいあいと現場の空気を楽しみたいタイプの方がそろっていたから、いつも何かしら話していたような気がしますね。
ありのままの自分を肯定してくれる人がいる幸せ
——すぐに仲良くなれたのですね。
妹の琳(大原梓)と親友のエリカ(水崎彩女)と3人のシーンで、スタッフさんから「いつ見ても仲良しですね」と言われたのですが…、まだ3人での現場は2回目だったんです(笑)。それくらい、みなさんとはすぐに打ち解けることができました。そのおかげで、姉妹として、親友としての距離感が早い段階からつかめたのだと思うし、そうした空気感はしっかりと芝居にも出ているんじゃないかなと感じています。
——ドラマを見ていても、翠はとても周りの人に恵まれているなと感じました。
不妊症だと分かったとき、翠は「私には何もない」と落ち込んでしまう瞬間があったかもしれないけど、彼女は決して1人ぼっちではないし、幸せだと思っています。だって、翠には、琳やエリカ、そして悲しみから掬い上げてくれる真央(山中柔太郎)たちがいる。「そのままのあなたでいいんだよ」と肯定してくれる人がいるって、すごく幸運なことですよね。自分の人生に立ち返ってみても、そういう存在がいたから頑張れたことってたくさんあったと思うし、彼らの存在は翠を演じるうえでも救われていました。
——最後に、宇垣さんの最近の美容法を教えてください!
冬になると甘酒を飲むようにしています。お腹が空いた時に飲むと、甘酒は満腹感があるのに罪悪感はないのでありがたいなと思っていて。それに、ちょっと肌の調子も良くなってる気がするので、現場でもよく飲んでいました。「なんだか体にいいことしているかも!」って思えるし、その気持ちが大事なんじゃないかなって。おすすめです!
Information
木ドラ24『できても、できなくても』
10月9日よりテレ東ほかにて、毎週木曜深夜24:30〜放送中。朝日奈ミカによる電子漫画を原作に、不妊症をテーマに描く大人のラブストーリー。ブライダルチェックで不妊症が発覚したことを機に、7年付き合った彼氏に振られ、退職に追い込まれた主人公・桃生翠(宇垣美里)が、年下イケメン男子・月留真央(山中柔太朗)と出会い、“本当の幸せ”を見つけるために奮闘していく。
©「できても、できなくても」製作委員会
取材/小林揚 編集/越知恭子