松雪泰子さん、嫉妬心はもうない「気持ちがぐちゃぐちゃするくらいなら、楽しいことをやっていたくて」
ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍する松雪泰子さんが、岩松了さん作・演出の舞台『危険なワルツ』に出演します。若い頃アウトローな生き方をしていた美しい妻(松雪さん)と嫉妬深い夫(岩松さん)の前に、一人の若い男(坂東龍汰さん)が現れたことから、3人の危険な関係が動き出す……というスリリングな新作です。作品の印象や最近ハマっていることなどを、松雪さんに伺いました。
▼後半編はこちら
松雪泰子さん(53)、40代後半から身体の取り扱いに工夫が必要に「若さと体力でカバーできなくなって」
今回演じる吟子は、“退屈な日常に抗う人”という印象があります
――岩松了さん書き下ろしの『危険なワルツ』。お稽古はこれからとのことですが(取材時)、どんな印象をお持ちですか?
今までにない質感なのかなという印象です。もちろん、背景に多くの意味が潜んでいるような言葉をやり取りし合うといった、岩松さんの作品独特の世界ではあるんですが、いつもより滑稽に感じられる要素が多いような気がしていて。ある限定された空間で、極めて人間的なやりとりがされているので、その狭い世界の中でそれぞれの事情が渦巻いている感じが、よりおかしみを醸し出しているのかもしれません。お客様には、それを外から覗き見しているような感覚で観ていただけるのかなと思います。
――それはまた楽しみです。とはいえ、そこは岩松作品。タイトルも『危険なワルツ』ですし、一筋縄ではいかない気がします。
そうですね。不穏な方向に行きそうな予感はあります。段階を追いながら、少しずつ漂ってくる不穏な空気に、引き込まれていく感じがあって。3人の関係が、どんなふうに捻じれていくのか楽しみです。岩松さんが演じられる龍臣と私が演じる吟子は、若い頃どんな悪いことをしていたんだろう?という点にも、ちょっと興味がありますね。後半どうなっていくかによって、それも見えてくる気がしているので、探っていこうと思っています。
――吟子の人物像を現段階でどう捉えていますか?
“退屈な日常に抗う人”、現実からの逃避、という印象があります。かつては周りの人たちをいいように翻弄していたんだけれども、その力は年齢や日々の生活とともに失われていて、それでも“失われていない風”を装いながら、抗って立っているような感じ。そのこじれた様子が、面白いなと思っていて。歳を重ねていくことの悲哀も感じているんだと思います。だからこそ、ふいに現れた不思議な事情の若い男に強烈に惹かれて、自分のほうが絡め取っているつもりなのに、そうじゃない展開になっていくんでしょうね。吟子と若い男の関係性に、達臣さんが何を投じて、どこに帰結していくのか、楽しみにしています。
嫉妬心を燃やすくらいなら楽しいことをやった方がいいなと思っています
――吟子が惹かれる若い男・一寿を演じるのは、坂東龍汰さん。今回が初共演だそうですね。
はい。ビジュアル撮影の時に初めてお会いしたんですけれども、とてもオープンマインドな方で、独特の感性の持ち主だなと感じました。一寿との間に何が生まれてくるのか、どんなトーンの芝居を展開できるのか、稽古で見つけていけたらなと思います。
――龍臣は嫉妬深い役とのことですが、松雪さんご自身は嫉妬心は強いほうですか?
どうでしょう……若い時は嫉妬心もあったかもしれませんが、今はもうあんまりない気がします。嫉妬心を燃やすこと自体、疲れることなので、面倒くさいなと思ってしまって。そういうことで気持ちがぐちゃぐちゃしている時間がもったいないというか、嫉妬心は人との比較なので、極めるべきは自己の内観かと。それよりも、何か楽しいことをやった方がいいなと思ったりするので、自己を極めることにフォーカスしてフラットでいたいです。
最近ハマっているのは台湾の風水。AIに読み込ませて理解を深めています
――松雪さんが、最近プライベートでハマっているものがありましたら教えてください。
“玄空飛星派風水”という台湾の風水の本に、最近ハマっています。鬼門とか吉方位をベースに、いろいろなものが取り入れられている風水で、とても面白いんですよ。ただ、すごく複雑で難しいので、自分なりに本を読み込んでも、なかなか理解しきれなくて。それで、AIにも読み込ませて、自分の頭脳だけじゃ足りないところをAIと話し合って、一緒に解釈したり、分析したりしています。
――理解を深めるためにAIも使いこなされているなんて、すごいです。“玄空飛星派風水”のどういったところに惹かれているのでしょう?
一言で説明するのはすごく難しいんですけれども、私は地層を見たり、地図を眺めたり、あとは古い地図を見て、もとはどんな地形だったのかなと考えたりするのが結構好きなんですね。
――『ブラタモリ』的な世界ですね。
そうです、そうです。そこから、山を見るようになって、山の形から、龍脈(風水における大地のエネルギー=気が流れるルート)がどうなっているのか考えたり、実際にどんな地形になっているんだろうと思って、起伏を辿って散歩してみたり……。そういうことも時々しています。風水というと、部屋にこういうものを置くといい……みたいなインテリアに関するイメージがあるかもしれませんが、“玄空飛星派風水”は土地のエネルギーと水の流れを見て、そことどう調和するか?といったものなので、天文学や宇宙的な話にもなってくるんですよ。
――面白そうです!
そうなんです。そこからいろいろなことが導き出されていって、じゃあ、どう時間を使っていくか?という話にもなってきたりするので、すごく面白くて。いろいろなものを見て楽しんでいます。
――素敵です。そんな知的好奇心と行動力がまた、松雪さんを輝かせているのでしょうね。普段から、興味を持つと勉強したくなる方なのですか?
そうですね。興味を持つと、いろいろ知りたくなってしまって。古代史も好きで、2か月ぐらいずっと古代史関連の本ばかり読んでいたこともありました。そうするとまた、それに関連する神社に行ってみたくなるので、あちこち足を運んだりしています。そう考えると、プライベートも結構充実しているかもしれないですね(笑)。
インタビュー後編に続きます。
【公演情報】
M&Oplays『危険なワルツ』
若い頃アウトローな生き方をしていた龍臣(岩松了)と吟子(松雪泰子)夫婦の家に、配管工事を機に出入りするようになった前田一寿(坂東龍汰)。美しい吟子は、嫉妬深い龍臣をよそに一寿に惹かれていき、夫婦が計画する悪事に一寿を引き込むが……。
作・演出/岩松了 出演/松雪泰子 坂東龍汰 谷川昭一朗 中村加弥乃 但馬智 岩松了
3月6日~22日/新国立劇場 小劇場。大阪、富山、宮城公演あり。
https://mo-plays.com/waltz/
【プロフィール】
まつゆき・やすこ/1972年、佐賀県生まれ。91年に女優デビュー。以降、ドラマ、映画、CM、舞台など幅広く活動。2006年公開の主演映画『フラガール』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞など、2008年公開の『デトロイト・メタル・シティ』『容疑者Xの献身』で同優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作は、ドラマ『最後の鑑定人』『照子と瑠衣』、配信映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』、音楽劇『エノケン』など。連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』が2月15日よりWOWOW、Leminoで放送・配信中。
取材・文/岡﨑 香 ヘアメーク/石田絵里子 スタイリスト/飯田恵理子(CORAZON) 撮影/柴田フミコ
<アイテム/価格(税込)/ブランド名(カナ表記)>
ブラウス/¥46,200/Room no.8 BLACK(ルームエイト ブラック) パンツ/¥57,200/ADORE(アドーア)ピアス/¥57,200/PRMAL(プライマル) リング(ブラックパール)/¥176,000/PRMAL(プライマル) リング(Wフィンガー)/¥244,200/PRMAL(プライマル)
<お問い合わせ先>
◎Room no.8 BLACK(ルームエイト ブラック)
Otto design(オットデザイン)TEL 03-6824-4059
◎ADORE(アドーア)
ADORE六本木ヒルズ店/03-3475-5915
◎PRMAL(プライマル)/support@prmal.com
おすすめ記事はこちら
▶【特別カット集】瀬戸康史さん(37)、穏やかな眼差しと凛々しい横顔、反則級のギャップをお届け